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なぜ上司は部下に権限移譲したがらないのか(人が権力に執着する理由についての考察)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

突然ですが「なぜ人々は権力に執着するのか」というテーマについて話してみたくなりました。20年くらい前の話ですが、当時のぼくの上司に権限移譲を提案したのですが、逆ギレされたことがあったんですよね。「そんなに権力が好きなの?」と、当時に辟易した覚えがあるのですが、権力へ執着するのは人間の性質みたいなものなんですって。

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上司に権限移譲を提案が逆ギレされた

20年くらい前の職場は、めちゃめちゃワンマンな上司がいて、ブラックな職場だったんですよね。休日も仕事だし、毎日終電でした。当時はまだ20代だからかろうじて耐えられましたが、ストレスも半端なくて、このころから心療内科に通うようになりました。

めちゃめちゃワンマンでブラックな上司も(どこまで本気かはわかりませんが)、ワークライフバランスの悪さは自覚していたようで、「どうやったら早く帰れるか」という会議をしたことがありました。ぼくは心のなかで(いや、お前が無理な目標を設定したり、お前のお伺いを立てないと仕事が回らないやり方をしているのが根本問題なんだろよ……)と冷ややかに思っていましたが、当の上司から出てくるアイデアは「作る資料の標準化をする」とか「タイムマネジメント研修を受ける」みたいな、表面的で当たり障りのないことばかり。

ぼくは意を決して「いや、権限が課長に集中しているのが問題なんじゃないですか。ぼくらの判断で動けるようにしてくれたら、判断を待つ時間がなくなって、無駄もなくなるんじゃないですかね?」と意見を言ったのですが

「何の権限をほしいんだ!言ってみろ!えっ!?」

みたいなことをキレながら言われました☹ まさか逆上されるとは思ってもいなかったので、とっさのことに面食らったぼくは何も言えずに、すごすごと引き下がってしまいました(ここらへんがぼくのダメなところ)。

結局は「タイムマネジメント研修を受ける」というのが唯一の対策となってしまいました。研修を受けた後は「お前たちは研修を受けたのだから、それでも遅くまで仕事をしているのは、お前たちが悪いのだ」みたいなことを言われるようになりました。ひどい上司ですよね~。ぼくの人生の中でもワースト3本に入るひどい上司でした💦

そもそも人はなぜ権力を欲しがるのか?

この上司には「そんなに権力が好きなの?」「たかだか権限を移譲するだけじゃないか」と、当時に辟易した覚えがあるのですが、その後もいろんな上司を見ていると、権力に執着するというのは、個人差はもちろんあるものの、人の基本的な特性ではないか、と思うようになりました。そこでいろいろ本を読んだり、心理学の論文を斜め読みするようになったのですが、「そもそも人はなぜ権力を欲しがるのか?」について、興味深い説を見つけました。

まず、「PLOS ONE」というジャーナルに載った"The Impact of Power on Humanity: Self-Dehumanization in Powerlessness"(拙訳:権力の人間性への影響: 無力における自己非人間化)という研究によると、権力っていうのは自分や周りをコントロールする力のことで、人は誰でもある程度のコントロールが欲しいものなんだろうです。確かに、ブラック上司から権限を剥奪しようとした20代のぼくもまた、権力(≒自分でコントロールする力)を欲していたと言えなくはありません。しかも権力がないと、自分が「人間らしさ」を失ってしまうような感じになることもあるんだそうです。つまり、権力がないと、自己否定的な気分になってしまうのだとか。

別の研究でも、似たような結論を導いているものがあります。"Power Corrupts, but Control Does Not: What Stands Behind the Effects of Holding High Positions"(拙訳:権力は腐敗するが、支配は腐敗しない: 高い地位に就くことの効果の背後にあるもの)という研究では「人が高い地位を求めるのは、他人に対する影響力を得るためではなく、個人的な支配欲を満たすためである。」と言っています。もう少し具体的に言うと、他者に対する影響力と、自分の人生に対する影響力の両方を獲得したいという欲求がある、ということですね。これも要するに、自分の思い通りに物事を進めたい、ってことなんですね。人に邪魔されず、自分のペースで何かをしたいという気持ちはよくわかります。それを実現するために、人は権力を欲しがるのだ、ということです。

当時のぼくの上司が、部下に権限移譲したがらなかったのは、自分の持つ影響力を削ぎ落としてしまい、自分の思いどおりに物事が進められなくなる「恐怖」に基づくものだ、と言い切るのは暴論でしょうか。

権力を手に入れるにはどうすればよいか?

じゃあ、どうすれば権力を得られるのでしょうか?

これには"The Power Paradox"(拙訳:権力のパラドックス)という研究が、面白い事を言っています。一般的には、権力を得るには、力で支配する、相手を騙す、相手を操作することが有効だと信じられているように思いますが、どうでしょうか。権謀術数を駆使して、人を蹴落とし、人の上に立つ、みたいなイメージですね。(いわゆるマキャベリスト)

でも"The Power Paradox"という研究によれば、そうした権謀術数を駆使して手に入れた権力は、権力を持った後に弱まることが多いんだそうです。反対に、社会的な知性、協力、謙虚さといった、他人とうまくやっていく力や人の気持ちを理解する力が、権力を得るのに重要なんだそうで。いわゆる「人たらし」のスキルなんですかね。確かに権謀術数を駆使して権力を手に入れても、その後に権力を維持するには、部下と協調的になる必要もありそうです。ぼくのケースのように、権力を獲得した後も部下に強権的に振る舞っていると、「あいつは権力の亡者だなあ」とバカにされても不思議はないですもんね。

もっと実務的な意味もありそうです。権力を維持するには、その立場において成功し続けること(もしくは失敗しないこと)が重要になります。しかし、自分一人の才覚だけで、この複雑な世の中で成功し続けることは困難です。部下の知恵や経験をうまく使いながら仕事をしなければ、成功もおぼつかないでしょうし、成功しなければ権力の座から引きずり降ろされても仕方ありません。そういう点でも、やはり他人とうまくやっていく力や人の気持ちを理解する力……言い換えれば「あの上司のために力を尽くそう」と思ってもらえるように仕向けることが、権力の獲得と維持には重要なんでしょうね。

というわけで、人が権力を求めるのは、自分の周りを自分の思い通りにしたいからということでした。でも、権力を得るためには他人と上手に付き合う力が実は必要だということでした。要するに、権力っていうのは自分だけのためじゃなくて、みんなのために使うものだということを忘れちゃいけない、ってことですかね。

このブログ見てますか?当時の上司さん?😊

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