おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条5.1「リーダーシップ及びコミットメント」を2回にわたり解説します。2回目の今回は、ISO45001:2018 箇条5.1の規格要求事項を解説します。
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ISO45001:2018 5.1 トップが積極的にやらないものを 従業員が積極的にやるはずがない(1)
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箇条5.1の規格要求事項(トップが自ら実行する必要があるもの)
では、トップが果たすべきことが何なのかを、規格要求事項に従って解説します。
規格では、ここに書かれているa)からm)までの13項目について、トップが「実証しなければならない」と要求しています。
「やらなければならない」ではなく「実証しなければならない」と規格には書いていますので、単にやるだけではダメで、やったという事実を証明することまで求められています。
このa)からm)までの13項目は、おおきくわけて2つのグループに分けられます。一つは上のグループですが、これは規格要求事項を読むと、「~する」という語尾で終わっているグループです。ここに書かれていることは、トップが自ら実行する必要があるものです。反対にいうと、トップが権限移譲できないものです。
例えばa)は「労働に関係する負傷及び疾病を防止すること、及び安全で健康的な職場と活動を提供することに対する全体的な責任及び説明責任を負う」とありますが、トップは、安全で健康的な職場を作ることに(強調しながら)全責任があります。さらには「そういう職場を作るために御社は何をやっているんですか?成果はでているんですか?」と誰かに訊かれるようなことがあっても、社長自身が説明できないとダメ、ということです。こうした責任や説明を、部下に任せるということはできません。
では、この上(うえ)のグループについて、他の項目もみていきましょう。
e)は、トップは、安全に働ける職場、健康を守れる職場がどれだけ大事かを、従業員や社外の関係者に伝えなさいということです。そして、このISO45001の規格に書いていることを守ることがどれだけ大切かも、伝えなさい、と言っています。
g)ですが、トップは、安全に働ける職場、健康を守れる職場をつくるように指示をしたり、サポートしたりしなさい、ということです。
h)は、トップは、より安全や健康な職場をつくるための方法を考え、実行できるようにしなさい、ということです。
i)は、トップは、他の管理職の人たちが、それぞれの仕事で、安全や健康を守るリーダーシップを発揮できるように支援しなさい、ということです。
j)は、トップは、会社の中で安全や健康を大切にする文化を作り、それを広めなさい、と言っています。
k)は、トップは、主に現場の従業員が、社内に潜む危険やリスクについて報告することを奨励しなさい、また、報告をしたことでその従業員が不利益な扱いを受けないように守りなさい、と言っています。
最後のm)ですが、トップは、安全や健康に関する委員会の設置をサポートして、そこで働く人の意見を聴いて改善をするなど、委員会がうまく機能するようサポートしなさい、と言っています。
箇条5.1の規格要求事項(トップが部下に権限を移譲できるもの)
続いて、下のグループを見ていきましょう。下のグループは、規格要求事項を読むと、「~を確実にする」という語尾で終わっているグループです。トップが部下に権限を移譲して実施してもよいですが、移譲はしても、最終的な責任は当然トップが負わなければなりません。
b)は、トップは、会社で働く人たちが安全で健康でいられるようにするための方針や目標を作りなさい、と言っています。その方針や目標が、会社の戦略…つまり、会社が将来向かっていく方向性と一緒になるように、矛盾しないようにしなさい、と言っています。
c)は、トップは、このISO45001の規格に書いていることを、本業の活動と一体となるように運用しなさい、と言っています。本業とバラバラの活動にならないようにしなさい、ということでもありますね。
d)は、トップは、安全で健康的な職場を作るために必要なもの、例えば、機械や人手、お金、教育や訓練の場などを用意しなさい、と言っています。
f)では、トップは、安全で健康的な職場を作るための取組が、狙い通りの結果を出すようにしなさいと言っています。別の言い方をすると、もし狙い通りの結果が出ないようなときには、トップは、取組の見直しなどをしなさい、ということですね。
最後、l)です。トップは、働いている人たちが安全や健康のことについて話し合い、意見を出せるような仕組みを作りなさい、と言っています。
何をやるにもトップの関与は欠かせない
ISO45001:2018 箇条5.1「リーダーシップ及びコミットメント」について解説をしましたが、いかがだったでしょうか。この箇条5.1では、会社のトップは、安全で健康な職場づくりのために、何をしなければならないのかを説明していましたね。
トップがこうしたことを率先しなかったら、従業員も職場の安全や健康をないがしろにし始めます。その結果、事故や健康問題が生じやすくなることはもちろんですが、社内の雰囲気、従業員の意欲、社会的な評判、これらがすべて悪化していくことにも繋がりますので、トップの役割は非常に重要だ、ということですね。
ISOに限った話ではありませんが、何をやるにしてもトップの関与は欠かせません。