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米軍ではどうやって管理者(将校)を育てているのか(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

管理者教育のやり方に悩んでいる経営者のかたはたくさんいらっしゃいますが、それは米軍も同じようで、米軍でも将校教育で試行錯誤が繰り返されています。米軍ではどうやって管理者(将校)を育てているのか、まとめてみたいと思います。

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今回の参考文献

米軍における軍事専門職教育(JPME/PME)の改革 ― 教訓としての作戦術の導入と戦略的思考の強化 ―

Developing Today's Joint Officers for Tomorrow's Ways of War

なぜ作戦が必要なのか

米軍の将校教育の内容も時代に応じて変わってきている

米軍の将校教育は、時代に応じて大きく変わってきました。近年の教育内容をざっくり振り返ると、ベトナム戦争では、戦略と戦術を結びつける「作戦術」という考え方が導入され、それが将校教育にも影響を与えました。1990年の湾岸戦争では、その作戦術が大成功を収めたと言われています。

しかし2000年の9.11後の対テロ戦争では、非対称的(国家と国家の正規戦ではなく、国家とテロ組織のような戦闘のこと)な脅威に直面し、戦略的思考の重要性が再認識されるようになりました。これを踏まえて現在の米軍は、将来の複雑な戦争に備え、作戦術と戦略的思考を重視した教育を行っています。

戦略と戦術を結びつける「作戦術」とはなにか

ベトナム戦争以降、将校教育でも重視された作戦術とはなんでしょうか。

作戦とは、米軍によると、戦略と戦術の間に位置づけられるものです。

戦略(Strategy)は、国家の目的や政策に基づいて、大きな目標を達成するための全体的な計画を指します。具体的には、戦争や戦闘の大きな枠組みを決定し、敵に対する優位性を確立するために必要なリソースの配分や目標設定を行います。戦略は、戦争全体の方向性を決めるものであり、長期的な視野で考えられるものです。

作戦(Operation)は、戦略と戦術の中間に位置し、戦略的な目標を達成するための具体的な計画や行動を指します。戦略が国家の目的に基づく大枠の計画であるのに対し、作戦はその戦略を現場で実現するための橋渡しとして機能します。作戦は、戦術的な行動をまとめて、戦略目標に結びつける役割を果たします。

戦術(Tactics)は、現場での個々の戦闘行動や戦闘の具体的な手法を指します。戦術は短期的な目標達成を目的としており、目の前の敵に勝利するための動きや行動計画が中心です。戦闘そのものに焦点を当て、細かい戦術的な行動が積み重ねられていきます。

例えば、サッカーでいうと、戦略とは、試合に勝つための全体的な計画のことで、誰をスタメンにして、どこのポジションに任せるかとか、どういうフォーメーションを取るか、といった大枠の計画のことです。作戦は、その戦略を実現する具体的な方法ですが、例えばボールの支配率を高くし、確実なパスワークで相手を崩す、みたいな計画が作戦でしょうか。そして戦術は、目の前の具体的な場面でどう動くかを考えることです。具体的には、目の前の敵にボールを奪われないように、誰にどんなパスを出すか、などが戦術ですね。

作戦が大事な理由は、戦術(目の前のプレー)だけでは戦略(試合での勝利)を達成できないと、ベトナム戦争で学んだからですね。サッカーの試合で例えると、パスやシュートの成功(戦術)だけでは勝てません。全体の流れを考えた作戦を立てないと、最終的なゴール(試合に勝つこと)にたどり着けません。だから、作戦は大きな目標と小さな行動をつなげる役割をするので、とても大事なのです。

対テロ戦争で重視されるようになった「戦略的思考」

対テロ戦争では、それまでの戦闘とは違う考え方が必要だということを米軍は学びました。敵は国ではなく、テロ組織というグループだったので、ゲリラ戦や突然のテロ攻撃を使ってきました。普通の戦い方では対応が難しく、いろんな方法で考えないといけなかったんですね。

また、戦争はすぐに終わるものではなく、長い間続き、街や人がたくさんいる場所でも戦う必要がありました。だから、戦うだけでなく、地域の人たちの信頼を得たり、国同士の協力も大事でした。

戦争のやり方も変わってきて、テロ組織はインターネットやサイバー攻撃を使ってきたので、いろんな面での対策が必要でした。

そのため、米軍は他の国とも協力しながら、広い視野で戦う必要がありました。これらの理由から、戦略的な考え方を持つことがとても重要になり、米軍の教育でもこの点が強化されたのです。

このような時代の変化にあわせて、米軍の将校教育でも、「作戦術」や「戦略的思考」が重視されるようになりました。そういう意味では、いままさに組織として必要なことは何かをまず定義して、その上で教育メニューが決まっているという流れになっているんでしょうね。

次回はこうした「作戦術」や「戦略的思考」を、どう教えているかについてまとめてみたいと思います。

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