おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版 各箇条解説シリーズ、箇条8.2「緊急事態への準備および対応」を解説します。「緊急事態」に関する要求事項について、図や具体例を交えて、初心者の方でも理解しやすい形で解説していきます。
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ISO45001:2018 8.2 緊急事態発生!どう備え、どう対処する?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018年版 各箇条解説シリーズ、箇条8.2「緊急事態への準備および対応」を解説します。「緊急事態」に関する要求事項 ...
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箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」の逐条解説
まず、この箇条全体の主旨は、組織が緊急事態に対応するための準備と対応プロセスを計画的に整え、日々の業務の中で実施し、状況に応じて見直し、改善していくことです。特に、箇条6.1.2.1で特定した起こり得る緊急事態に対する対応が重要なポイントです。このプロセスはa)からg)までの7つのステップに分かれています。
a)で求められているのは、緊急事態が発生した際に即座に対応できるよう、応急処置を含む計画的な対応を定めることです。例えば、負傷者が出た場合に応急処置をどのように行うのか、どの医療機関に連絡すべきか等、どのような対応をするのかを事前に決めておくことが必要です。この計画的な対応は、単に現場で即時に対応するだけでなく、組織全体の対応手順においても重要です。
b)では、全ての関係者がその計画に基づいて行動できるよう、組織は計画的な対応に関する教育訓練を提供する必要があります。例えば、緊急事態が発生した際に、どのように応急処置をするのか、誰に連絡するのかを従業員に徹底させるための勉強会や研修が必要です。また、請負者や来訪者に対しても、この訓練は重要で、彼らも適切な対応ができるようにすることが求められます。
c)では、計画や教育訓練を実施した後も、定期的なテストや訓練を行い、緊急事態に対して適切に対応できるかを確認することが必要です。例えば、緊急事態シミュレーションを行い、実際にどれだけ迅速に対応できるか、応急処置が正確に行われたかなどをチェックします。このようなテストを行うことで、計画の有効性や現場での実行力を確認し、課題を洗い出すことができます。
d)では、実際の緊急事態やシミュレーション後に、対応のパフォーマンスを評価することを求めています。何がうまくいったのか、何が改善が必要なのかを明らかにし、それに基づいて計画を見直すことが重要です。例えば、緊急時の連絡手順が遅かった場合は、連絡体制の見直しや迅速化のための改善を行います。このようなPDCAを定期的に行い、対応策の精度を上げていきます。
e)では、組織内で働くすべての人が、自分の役割や緊急事態における責任を明確に理解している必要があります。このため、緊急時の手順や役割分担、責任をしっかりと全員に周知することが重要です。例えば、誰が応急処置担当なのか、誰が緊急連絡を行うのかなどを明確にし、従業員に適切な指示を与える必要があります。
f)では、従業員以外の関係者、つまり請負者、来訪者、緊急対応サービス、政府機関、さらには地域社会に対しても、必要な情報を提供することが求められます。緊急事態が発生した際には、こうした関係者が適切に行動できるように事前に情報を共有することが重要です。例えば、請負業者が現場にいる場合、緊急対応手順を把握している必要があります。また、事故発生時には政府機関に報告する手順も明確にしておく必要があります。
g)では、緊急対応の策定に際して、すべての利害関係者のニーズや能力を考慮する必要があります。利害関係者には、従業員や請負業者、来訪者、そして政府機関や地域社会が含まれます。これらの関係者の役割や能力に基づいて対応策を調整し、彼らの関与を確実にすることが求められます。例えば、地域社会への影響が大きい場合は、地域の安全対策を含めた計画を立てることが必要です。
最後に、すべての緊急事態に関する計画やプロセスは文書化し、それを維持・管理することが求められます。文書化することで、緊急事態が発生した際に対応策がすぐに確認でき、関係者間での認識のズレを防ぐことができます。また、定期的な見直しや更新も可能になるため、常に最新の情報に基づいて行動できるようにします。
また、規格の箇条5.4「働く人の協議及び参加」では、非管理職の従業員も緊急対応の策定に参加するように求めています。現場で働く人々の知見を活かして、より実践的な対応策を作成することが、効果的な緊急事態対応につながります。