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中⼩企業者等の法⼈税率の特例が見直しに?=政府税制調査会

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

11月19日、政府税制調査会の専門家会合では、中⼩企業者等の法⼈税率の特例の見直しについて話し合われたそうです。課税所得(≒利益)が小さい中小企業にとって増税になるかもしれません。

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財務省資料〔租税特別措置の検証(中小企業税制)〕はこちら

中⼩企業者等の法⼈税率の特例とは

中小企業に限らず、企業は「課税所得」に一定の税率をかけ合わせることで、法人税額が決まる仕組みになっています。この「課税所得」とは、益金から損金を差し引いた額のことなのですが、まあだいたいは決算書上でいうところの利益(税引前当期純利益)と似たようなものだとここでは思ってもらったらよいです。厳密には違いますけど。

そしてかけ合わせる税率は、大企業なのか中小企業なのか、そして中小企業でも課税所得が多いのか少ないのかによって差があります。

中⼩企業者等の法⼈税率は、年800万円以下の所得⾦額について19%に軽減されています。この税率は、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されているというのが、この記事を書いている時点での特別ルールですね。

法⼈税率の特例措置は役にやっていないのではと述べる専門家

NHKの報道によると、専門家の間で、この特別ルールが役にたっていないのでは?という議論がなされているそうです。

19日開かれた政府税制調査会の専門家会合では、成長投資を積極的に行っているかや、収益性の向上につながっているかなど、優遇措置の効果の検証を求める意見が相次ぎました。

(2024年11月19日『政府税調 専門家会合 中小企業の税優遇 効果の検証求める意見』,NHK)

どういう背景から、このような意見が出ているのでしょうか。ここで財務省の資料を見てみたいと思います。

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/6ebpm2kai3.pdf

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/6ebpm2kai3.pdf

ここに書いているように、この特例税率は「中⼩企業に特定の⾏動変容(投資や研究開発など)を促すものとはなっておらず、いわば事後的に減税メリット(▲最⼤32万円)が発⽣している」というのが財務省や専門家の指摘ですね。

もともとこの特例税率は、平成21年度与党税制改正⼤綱で、中小企業が安⼼して意欲的に企業活動に励めるようにとの狙いで導入されました。しかし意欲的な活動につながっているのではなく、単に減税(最大32万円)を享受しているではないか、と言いたいのだと思います。

財務省のもう一つの資料では、「中企庁のアンケート結果では、軽減税率(特例税率)の利⽤有無について、「わからない」という回答が31%となっている。」とも書かれています。要は、特例措置自体が認知もされていないではないか、ということなのだと思います。

中小企業庁のアンケート結果から見た特例措置の効果

本当に減税は役にたっていないのでしょうか。中小企業庁のアンケート結果を見ると、特例措置で浮いたお金は設備投資や賃上げに使われている、ということです。中小企業庁(経産省の外局)としては、この特例措置の効果を訴求し、特例を継続したいという思いがあると思われます。

ぼくの経営者としての実感では、減税によって手元に残る資金は、企業全体の資金繰りの一部として扱われますので「減税分だけ」を切り離して特定の用途に使ったと明確に意識するのは難しいと思います。この点で中小企業庁の見解には強引さを感じますし、同様に財務省の指摘に対しても「特定の用途に使われたかを明確に調べることは非常に厳しいのでは」という疑念を抱きます。

またアンケートでもバイアスが生じている可能性があります。アンケート作成者は、「減税分をどのような有効な使い道に使いましたか?」といった質問をすれば、「有効な使い道」といった言葉が回答者にプレッシャーを与えることができますし、回答者は「減税の効果を正当化したい」と考え、設備投資や賃上げといった好ましい用途を選びがちです。アンケート調査の限界点とも言えるでしょう。

減税分は「有効に」使わなければならないのか

税制には狙いがあるのは当然のことですが、減税によって得た資金は、企業の収益の一部として扱われるため、その使い道を企業が自由に決めるのが基本です。減税の直接的な目的は、企業の経営体力を高めることにあり、その手段は企業ごとに異なるはずです。つまり、何が減税分の「有効」な使い道なのかは、財務省に一方的に判断されるものではなく、個々の企業が決めるべきことでしょう。

企業は経営環境や市場状況によって柔軟に資金を配分する必要があります。たとえば、いま議論されているように、年収の壁をなくして社会保険料が発生すれば、中小企業の負担が増します。また原油高・資材高によって景況が悪化したり、将来の不透明感が強い場合は、設備投資や賃上げに踏み切れないケースも多いはずです。

こうした状況のなか、減税分を内部留保に回すことも、倒産リスクを減らすという意味では重要な経営判断です。これを一概に「前向きでない」と断じるのは現実的ではないと思います。税調は、H21年政府税調のキーワードでもあった「安心」にも、もっと焦点を当てるべきだと思います。

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