おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各解説シリーズ、箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」です。インシデントや不適合が起きた場合、具体的に何をすべきかを解説します。
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ISO45001:2018 10.2 インシデント・不適合 再発防止のプロセス(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 各解説シリーズ、箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」です。インシデントや不適合が起きた場合、具 ...
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ISO45001:2018 10.2 インシデント・不適合 再発防止のプロセス(2)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 各解説シリーズ、箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」です。インシデントや不適合が起きた場合、具 ...
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マネジメントシステム自体の見直しにまで踏み込む
インシデントや不適合が起きたときにやることはまだまだあります。前回は原因分析をしましたが、マネジメントシステム自体の見直しにまで踏み込む必要性も規格は示しています。
c)はどういうことでしょうか。例えば、転倒事故が起きたのであれば、転倒事故が起きるというリスクがあることをあらかじめ認識していたか、認識していたとして、そのリスクの見積は適切であったかを再確認するということですね。認識していなかった場合は、是正処置の一部としてリスクの特定・評価をやり直したり、リスク管理プロセスそのものを見直す必要がありますね。
d)では、再発防止策を決めるときは、箇条8.1.2で示されていた対策の優先順位にしたがって決めなさい、ということです。例えば、危険を排除することが最優先で、次に危険を低減する手段を検討する、という流れです。以下の図のようなことを、8.1.2で求めていましたよね。
また、是正処置として何かを変更する場合には、箇条8.1.3に従って、必要な対策を取りなさい、ということです。
e)はどうでしょうか。これは、新しい危険源や、変化した危険源が見つかった場合は、その危険が発生した場合のリスクと影響のレベルを評価し、その結果に基づいて必要な対策を取りなさい、ということですね。
f)は是正処置を取っただけで終わりではなく、その対策が問題の再発防止に役立っているかを確認する必要があります。たとえば、現場でパトロールを行ったり、内部監査を通じて是正処置がしっかり守られているかを定期的にチェックすることが重要です。
そして最後のg)です。必要な場合、という条件付きですが、労働安全衛生マネジメントシステムの変更をしなさいということです。例えば、転倒事故が起きたとき、現場の作業手順や注意喚起の標識を変えるだけでは十分でない場合があります。もし、事故が起きた場所が『誰が日常的な安全点検をするか』がはっきりしていない場所だったとしたら、仕組み全体を見直す必要があります。この場合、安全管理者や現場責任者が『どこを点検し、どう報告するか』など、役割や責任範囲を明確にすることが求められるかもしれません。
規格要求事項の最後のパートです。最初の一文は簡単です。取るべき対策は、起きたことと釣り合いが取れるレベルにしなさい、ということですね。極端な話ですが、フォークリフト作業エリアで一旦停止をしない人が何人かいたからといって、その人たちを解雇するというのは明らかにやりすぎです。この場合は、作業者への再教育や注意喚起を行うことが妥当な対応となるでしょう。
インシデント・不適合発生時の記録の保持
次に文書化の要求です。
インシデントや不適合が起きた場合には、それが何であったか、どのような原因で、どのような処置が講じられたのか、その処置が効果的だったのかといった結果を記録する必要があります。この記録は、インシデント報告書や不適合報告書として残す場合もありますし、労基署の書式を使う場合もあるでしょう。
とった記録は、関係者に伝達しなさいということです。関係者には現場作業員、安全管理担当者、安全衛生委員会のメンバー、さらには出入りの業者などが含まれる場合があります。この伝達は、安全衛生委員会の議事録と一緒に掲示されたり、事故速報としてメールやFAXなどで共有されることが一般的でしょう。
ISO45001:2018 箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」まとめ
はい、というわけで、3回にわたってISO45001:2018 箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」について解説をしましたがいかがだったでしょうか。
この箇条のポイントは2点あります。一つは、インシデントや不適合への対応には流れがある、ということ。そして、状況や原因、再発防止策などは文書化して共有する、ということでしたね。事故は起きないことがベストですが、どうしても起きてしまうこともあります。そのようなときに、規格が求めるプロセスをしっかりと実践することで、同じ問題を繰り返さない仕組みを作ることができる、というわけですね。