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令和7年度税制改正大綱公開!中小企業関連税制について見てみた(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

12月20日、与党は「令和7年度税制改正大綱」を公開しました。中小企業税制について、税務の素人目線でざっと内容を見ていきますが、今回は冒頭の「令和7年度税制改正の基本的考え方」における中小企業関連の記述を追います。ここを読めば、今年の税制改正大綱の中小企業税制の狙い等がわかります。

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「令和7年度税制改正大綱」はこちら

令和7年度中小企業税制における大まかなポイント

まずはp1とp2に、この度の税制改正の経済的な背景について書かれています。

雇用の7割の受け皿になっている中小企業では、収益力が弱い企業は賃上げも困難な状況にあり、適切な価格転嫁に加えデジタル化等の投資を促進していく必要がある。(P1)

地域の活力なくして日本全体の活性化はない。石破内閣では、新たな地方創生施策(「地方創生2.0」)の展開を政策の柱としており、税制面でも地方創生や活力ある地域経済の実現に向けた取組みが求められている。このため、令和7年度税制改正においては、中小企業税制について、売上高100億円超を目指す、成長意欲の高い中小企業の設備投資に対して、更なる税制上の措置を講じ、地域経済の好循環を生み出していく。(p2~3)

ポイントは2点ありますね。いずれも、昨年からの路線と大きくは変わっていません。

  1. 価格転嫁とデジタル化投資の促進
  2. 売上高100億円超を目指す成長意欲の高い中小企業の設備投資への措置

「令和7年度税制改正の基本的考え方」における中小企業関連の記述

そして以下の部分が、令和7年度税制改正の中小企業税制に関する詳細な記述ですね。少し長いですが引用をします。

2.地方創生や活力ある地域経済の実現(1)地域経済を支える中小企業の取組みを後押しする税制等

中小企業は、雇用の7割を抱える、わが国にとって重要な経済主体であり、その健全な成長が地域経済の維持・発展のために不可欠であるが、小規模事業者やスタートアップ企業、さらには地域経済を牽引する企業や大きな成長力を有する企業など様々な態様がある。その中でも、売上高100 億円を超えるような中小企業は、輸出や海外展開等により域外需要を獲得するとともに、域内調達により新たな需要を創出する地域の中核となる存在であり、そうした企業を育成することで、地域経済に好循環を生み出していくことが鍵となる。

そのため、売上高100 億円超を目指す、成長意欲の高い中小企業が思い切った設備投資を行うことができるよう、中小企業経営強化税制を拡充し、対象設備に建物を加える。また、食品等事業者がワンストップで同税制を活用できる仕組みを構築する。同税制は、EBPM等の観点を踏まえ、適用要件等の見直しを行った上で、中小企業投資促進税制とともに適用期限を2年延長する。

中小企業の800 万円までの所得に適用される軽減税率の特例は、リーマン・ショックの際の経済対策として講じられた時限措置である。今般、賃上げや物価高への対応に直面している中小企業の状況を踏まえ、適用期限を2年延長するが、極めて所得が高い中小企業等については一定の見直しを行うとともに、特例税率が設けられた経緯等を踏まえ、次の適用期限の到来時に改めて検討する。

今回の特例税率の見直しの対象となる極めて所得が高い中小企業等の多数は、一定の要件の下で、中小企業経営強化税制の拡充措置を活用することができ、その場合、特例税率の見直しを大きく上回るメリットを受けることができる。こうした税制面での対応により、地域経済における前向きな投資を後押しする。

地域の特性や魅力を生かした地域社会の創出に向け、地域未来投資促進税制については、各地方自治体が設定する重点分野への設備投資を後押しするため、「高成長投資枠」に対する新たな類型の追加等を行った上で、適用期限を3年延長する。

法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件について見直しを行う。なお、本措置は、中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上という待ったなしの課題を解決するための極めて異例の時限措置であることを踏まえ、適用期限は今後とも延長しない。あわせて、個人版事業承継税制における事業従事要件についても見直しを行う。事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念も踏まえ、事業承継のあり方については今後も検討する。

あわせて、生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、賃上げを後押しするよう見直しを行った上、その適用期限を2年に限り延長する。(p8~p9)

要点を箇条書きでまとめてみました。

  • 中小企業経営強化税制の拡充
    • 成長意欲の高い中小企業が設備投資を行えるよう、税制を拡充。
    • 対象設備に建物を追加し、食品事業者向けにワンストップ活用の仕組みを整備。
    • 適用要件を見直し、適用期限を2年延長。
  • 軽減税率の特例の見直し
    • 800万円までの所得に適用される軽減税率を2年延長。
    • 極めて所得が高い中小企業に対しては一定の見直しを実施。
    • 高所得中小企業は、税制拡充措置により特例税率を上回るメリットを享受可能。
  • 地域未来投資促進税制の拡充
    • 地方自治体が設定する重点分野への設備投資を後押しする「高成長投資枠」の新類型を追加。
    • 適用期限を3年延長。
  • 事業承継税制の見直し
    • 法人版事業承継税制の役員就任要件を見直し。
    • 個人版事業承継税制の事業従事要件を見直し、事業承継の在り方を継続検討。
    • 適用期限の延長は行わない。
  • 固定資産税の特例措置
    • 賃上げを後押しする形で見直し、適用期限を2年に限り延長。

記帳水準の向上

記帳水準の向上は、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる上でも重要である。加えて、売上や資産・負債等の状況が適切に記録されていれば、中小・小規模事業者による迅速な給付金の受給や融資につながる。しかしながら、小規模事業者の約4割が帳簿を手書きで作成しており、個人事業主の場合、正規の簿記の原則に従った記帳を行っている者は約3割にとどまっている。また、個人の青色申告における簡易簿記は複式簿記に移行するための準備的な段階としての位置付けであるが、簡易簿記申告者の3分の1超が10 年以上簡易簿記による記帳を続けている。

近年、会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことができる環境が整ってきている。複式簿記による記帳を更に普及・一般化させるため、納税者側での事務負担や対応可能性も十分踏まえつつ、所得税の青色申告制度の見直しを含めた個人事業主の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。(p12)

これはよくわからないのですが、要は「所得税の青色申告制度をもっと使ってもらえるように見直そう」ということだと思います。所得税の青色申告制度は、ここ40年ほど普及率が横ばいだそうですが、これを伸ばすために制度の見直しを検討するのでしょう。

どういう見直しがあるかはここに書かれていませんが、考えられるとすれば、①青色申告制度の利用特典の拡大、②青色申告制度の簡素化、③青色への移行促進の役割を担う白色申告制度の見直し・拡充、あたりかなあと思いますがどうでしょうか。

明日は「令和7年度税制改正大綱」に示された個別の中小企業税制について見ていきたいと思います。

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