おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
最近、国や国際的なガイドラインの中で「AIガバナンス」という言葉をよく聞きます。今後、AIを開発したり利用したりする企業にとってはめちゃくちゃ重要なキーワードでもあります。今日はこの動画で、AIガバナンスとは何か?どういうものなのか?という基本をみっちり解説したいと思います。
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AIガバナンスの定義とは
「AIガバナンス」は、いろんなところにいろんな定義があるのですが、今日は国が出している「AI事業者ガイドライン」に書かれているAIガバナンスの定義を見てみましょう。その定義がこれですが、パッと見ただけでも堅い文章でわかりにくそうで、なんかうんざりしますよね。
AIの利活⽤によって⽣じるリスクをステークホルダーにとって受容可能な⽔準で管理しつつ、そこからもたらされる正のインパクト(便益)を最⼤化することを⽬的とする、ステークホルダーによる技術的、組織的、及び社会的システムの設計並びに運⽤。
総務省・経済産業省. (2024). AI事業者ガイドライン(第1.01版).
もう少しだけわかりやすくしてみましょう。
AIのリスクを管理しながら、いいところを最大限活かせるよう、技術・組織・社会についての仕組みを作って実行すること。
AIガバナンスというのは、つまり、AIのリスクを管理しながら、いいところを最大限活かせるよう、技術・組織・社会についての仕組みを作って実行すること、と言えます。これでもまだ、ふんわりしていると思いますので、一つ一つ説明していきましょう。
AIの「リスク」と「いいところ」
一般的に、AIにはリスクといいところが両方ある、と言われます。自動運転AIのケースを考えてみましょう。
AIが車を自動で運転してくれると、様々ないいことがあります。例えば、人間の「うっかり」が原因の運転ミスを防ぐことができます。また、渋滞は人間による急なブレーキや不必要な加減速によって起こりやすいと言われていますが、AIが状況判断をして適切に加減速をすれば、渋滞が緩和されると言われています。また最近では、人手不足でトラックやタクシーのドライバーがいなくて大変だとよく言われますが、AIが自動で運転してくれたら、そうした人手不足も解決して、物流業界も助かります。こうした点は、様々な社会問題の解決につながるわけですが、
一方で、リスクもあります。もし、自動運転AIが誤った判断をしたり、センサーが誤作動を起こしたり、歩行者を正しく認識できなければ、これは事故になりますよね。
このように、AIを使った製品やサービスは、リスクとメリットが両方あります。そこで、リスクをうまく管理しながら、いいところを活かせるよう、AIガバナンスが必要になってくるわけです。
技術的、組織的、社会的な仕組み
AIガバナンスの定義にはもう一つポイントがあります。それは「技術的、組織的、社会的な仕組み」ですが、これはどういうことでしょうか。
まず、仕組みというのは、仕事のやり方やルール、管理体制をひっくるめたもののことです。行き当たりばったりで仕事をするのではなく、誰が何をどのように行うかをあらかじめ決めておいて、そのとおりに仕事を進めるための枠組みだと思ってください。
そしてAIガバナンスには、技術的、組織的、社会的な仕組みを作って運用することが求められています。技術的仕組みとは、AIが間違えたりしないよう、技術的に対策を取る仕組みのことです。例えば自動運転AIだと、歩行者を正しく認識できるよう、学習データを集め、整え、学習させるやり方やルール・体制を作るといったことが該当します。
組織的仕組みはどうでしょうか。これは、AIを適切に開発・運用できるよう、社内で管理する仕組みのことです。もし自動運転AIが事故を起こしたときの対応フロー、ルール、管理体制(責任者等)を決めておく、といったことですね。
最後は社会的仕組みです。これは、公平性や透明性の点で、社会からAIが受け入れられるような仕組みのことです。例えば、自動運転AIを路上で実験をするときに、近隣の人が心配しないよう、そのやり方や、ルール・体制を決めておく、といったことです。
こうしたことをあらかじめ決めておいて、そのとおりに仕事を進めることが、AIガバナンスだ、ということですね。