どう違うねん！？「考慮する」「考慮に入れる」ISO独特用語を解説(2)

おはようございます！マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO独特の言葉遣いに「考慮する」という表現と、「考慮に入れる」という表現があります。この２つの表現は意味が異なるのですが、どう違うのでしょうか？

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「考慮する」が使われる規格の解釈(箇条4.3を例に)

「考慮する」は、その事項について考える必要があるが除外することができる、という意味でしたね。この説明を踏まえて、もう一度実際の規格要求事項(箇条4.3)を見てみましょう。

4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定

組織は、品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定しなければならない。 この適用範囲を決定するとき、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a) 4.1に規定する外部及び内部の課題

b) 4.2に規定する，密接に関連する利害関係者の要求事項

c) 組織の製品及びサービス

（以下略）

ISO9001の箇条4.3では、組織のどこに、このISO9001の品質マネジメントシステムを当てはめるかというのを決めるとき、ここにあるa)とb)とc)の３つを考慮しなさい、と言っています。

会社を取り巻くいろいろな課題がありますし、お客さんなどの要求もいろいろあるでしょう。そして我が社が提供している製品やサービスもいろいろあるはずですが、そうしたものをすべて考えた上で、ある程度自由に、組織の品質マネジメントシステムの適用範囲を決定してよい、という意味です。

もう少し具体的にいうと、、適用範囲を決定した結果、『この製品やサービスにはISO 9001の品質マネジメントシステムを適用しない』という判断をしてもよい、ということですね。ただし、その決定が妥当であることを説明できる必要がありますけどね。

「考慮に入れる」が使われる規格の解釈(箇条8.4.2を例に)

「考慮に入れる」は、その事項について考える必要があり、かつ、除外できない、という意味でしたね。これが使われている規格要求事項を見てみましょう。

8.4.2 管理の方式及び程度

組織は、外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが、顧客に一貫して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。

組織は、次の事項を行わなければならない。

（中略）

c) 次の事項を考慮に入れる。

1) 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組織の能力に与える潜在的な影響

2) 外部提供者によって適用される管理の有効性

（以下略）

ISO 9001の箇条8.4.2では、調達するモノ、外注するモノの重要度や影響度に応じて、適切な管理の方式や程度を決めなさいと言っています。

その管理の方式や程度を決めるときに、ここにある 1) と 2) の2つを考慮に入れなければならない、と書いています。「考慮に入れる」とは、検討して、除外することなく、必ず意思決定に反映させる必要がある という意味でしたよね。したがって、1) と 2) の両方について、適切な管理方法を決め、実施しなければなりません。

ちなみに1)の意味は、「外部から調達するプロセス、製品、サービスが、品質や法令遵守にどのような影響を与えるかを考え、そのリスクを低減するような管理方法を決めて実行しなさい」 というものです。例えば、調達品の不良が顧客満足や製品安全に影響を与える可能性を考えて、受入検査やサプライヤー管理のやり方を決めなさい、ということですね。

2)の意味は、「調達先・外注先の仕事のやり方が、不良や不適合を減らすのに効果的かどうかを確認しなさい」 というものです。これは、単に契約を結ぶだけでなく、外部提供者が適切に管理されているかを評価し、必要に応じて改善指導を行うようなことですね。例えば、外部提供者の品質管理システムを確認したり、継続的にパフォーマンスを評価することなどが具体的なアクションですかね。

ですので、つまり、1) で「調達するモノのリスクを管理する」こと、そして2) で「調達先や外注先の管理方法を評価し、必要な対策を取ること」の両方を行わなければならない、ということですね。

次回に続きます。