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AIガバナンス ISO42001 ブログ

ISO42001:2023 4.1 AIに関する外部・内部の課題とはなにか(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO42001各箇条解説、今回は箇条4.1「組織および状況の理解」を解説します。ここでは3つのポイント「課題の特定」「気候変動が問題であるか判断」「役割の明確化」をしっかりと説明します。

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ISO42001:2023 4.1 AIに関する外部・内部の課題とはなにか(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO42001各箇条解説、今回は箇条4.1「組織および状況の理解」を解説します。ここでは3つのポイント「課題の特定」「気候変動が問題 ...

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箇条4.1の要求事項「気候変動」

箇条4.1の3つの要求事項のポイントの、2点目に進みましょう。

ここでは、「気候変動が、我が社のAIマネジメントシステムに関連する問題であるかどうかを判断しなさい」という要求について解説します。一見すると、「AIと気候変動は関係あるの?」と思う方もいるかもしれません。ですが、これが意外に深い関係があるんですね。ここでは、分かりやすく具体例を交えてお話ししていきます。例えば、自社でAIサービスを開発している会社があるとしましょう。

AIを開発するには当然、エンジニアがPCやサーバーを使います。これらの機器は、大量の電力を消費しますよね。特にAIの開発作業では、一般的な業務よりもはるかに高い処理能力を必要としますから、それに伴い電力消費も大きくなります。

そして、その電力の多くは化石燃料、つまり石炭や天然ガスなどを燃やして発電されています。その結果、発電時に二酸化炭素(CO₂)が排出され、これが地球温暖化の一因となるわけです。つまり、AIの開発という日常的な業務が、間接的に気候変動に影響を及ぼしている、という構図です。

しかし、影響はそれだけにとどまりません。AI開発で使うPCやサーバーそのものが、どのように作られたか、という点も無視できません。これらの機器は、世界中の工場で製造されますが、その生産工程では多くのエネルギーが使われ、ここでもCO₂が排出されています。そして、製造された機器は世界中に運ばれますが、この輸送の過程でもトラックや船などが排ガスを出しています。

さらに、PCやサーバーの重要な部品である半導体には、レアメタル(希少金属)が使用されています。このレアメタルの採掘現場では、大規模な重機が動き、これらの重機はディーゼル燃料などを使って稼働しているため、ここでもCO₂が排出されています。加えて、採掘された鉱石を精錬・加工する過程でも、大量のエネルギーが使用され、温室効果ガスが排出されることになります。

もう一つ、忘れてはならないのが、AIサービスがクラウド経由で提供されるという点です。クラウドサービスの裏側では、データセンターが24時間365日稼働しています。データセンターは、AIの学習や推論などの処理を行うために膨大な量のサーバーを動かしており、その電力消費は非常に大きいです。さらに、サーバーは発熱するため、冷却用に大量の水やエネルギーが必要となり、これらもまた環境に負荷をかけている要因となります。

こうした背景から、私たちがAIサービスを開発する、あるいは利用するという行為は、その川上であるサプライチェーン全体を通じて、直接的・間接的に気候変動に影響を与えているのです。

そして、エネルギーを大量に使って開発されたAIサービスは、最終的にはユーザーによって利用されます。たとえば、ユーザーがスマホやPCを使ってAIチャットボットにアクセスする、その操作一つひとつでも電力を消費しているわけです。もちろん1回1回の電力使用量は小さいですが、サービスを利用する人が世界中に広がれば、その合計は無視できない量になります。

このように、AIサービスの開発から利用に至るまで、複数の段階でエネルギーが消費され、その結果としてCO₂が排出されている、という現実を無視することはできません。

このような影響を踏まえ、箇条4.1では「気候変動が、我が社のAIマネジメントシステムに関係する課題かどうかを判断しなさい」と求めています。この「判断する」というのは、単にCO₂が出ているかどうかを見るだけでなく、その影響が、我が社のAIマネジメントシステムの意図した成果、つまり「AIを安全・適切に活用する」という目標達成に、どれほど影響を与えるのかを見極めなさい、という意味でもあります。

そして、もし「気候変動は我が社のAIマネジメントシステムに関係がある」と判断した場合は、今後、システムの運用や改善の中で、何らかの対策を検討することが期待されています。

例えば、どのような対策が考えられるでしょうか。簡単な例で言えば、AIシステムのアルゴリズムを見直して、より省エネで動作するように最適化する、という取り組みが考えられます。無駄な計算を減らすことで、サーバーの負荷を軽くし、消費電力を削減するわけです。また、自社のオフィスや開発拠点に太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入する、あるいはクラウド事業者に対して「グリーン電力を使用しているか」といった要件を提示する、といった施策も考えられます。

 

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