おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、3/31時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #74です)。
スポンサーリンク
AI委員会が3回目の会議を実施
EUの国々の代表が集まったAI委員会は、3月24日に会議を行いました。会議では、ポーランドのデジタル庁の大臣スタンデルスキが議長を務めました。午前中には、EUの副委員長ヘンナ・ヴィルックネンさんが、これからのAI政策の方針を発表しました。その後、各国の代表が「自国でどうAI法を実行していくか」を話し合いました。
午後は、AI法についての広報やサポートの話し合いが行われ、「AIの定義」や「禁止される使い方」などのガイドライン、さらに汎用AI(いろんなことに使えるAI)についてのルール案の第3版などが報告されました。
また、安全に関する最新の技術や課題についても説明がありました。この会議での内容が、今後のAI法の実施に役立てられる予定です。
ドイツで政党間に意見の違い
Euractivのヤコブ・ウルフ・ウォルド氏によると、ドイツの新しい政府の方針を話し合う中で、与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の間にAIに関する意見の違いがあるようです。
CDU/CSUは、「AI法を見直して、企業への負担を減らすべき」と考えており、将来のデータに関する法律ともつなげたいようです。一方、SPDは「ヨーロッパ全体でAIの責任を定める法律(AI責任指令)を推進すべき」としています。
両方の政党ともデータセンターの開発を進めるためのルールづくりには賛成していますが、CDU/CSUは今あるルールを変えたいと考えているようです。
EUの議員たちがAIルールの弱体化に警告
Financial Timesのメリッサ・ヘイッキラ氏とバルバラ・モーエンス氏によると、AI法を作ったEUの議員たちは、「大手アメリカ企業(OpenAIやGoogle)を特別扱いするような、ルールをゆるくする動きは危険だ」とEUに警告しました。
今、EUでは一部のルールを「義務」から「任意」に変える案が出ています。例えば、「AIが暴力的な内容やうそを出さないようにすること」や「選挙の妨害に使われないようにすること」などが、義務ではなくなる可能性があります。
こうした案の背景には、アメリカのIT企業や政治家からの強いロビー活動があるとされます。
AI法に関わってきたEUの議員たちは、「そんな要求に応じるのは危険で、民主主義に反し、法律の混乱を招く」と書簡で主張しました。また、「AIが過激な政治的な意見を広めたり、選挙に影響を与えるようになれば、ヨーロッパの経済や民主主義が大きく壊れる可能性がある」と警告しています。
この手紙には、AI法の作成に関わった多くの議員や、スペインの元デジタル大臣カルメ・アルティガスなどが名前を連ねています。