おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO42001各箇条解説シリーズ、箇条4.2「利害関係者のニーズ・期待」について解説します。利害関係者とは具体的に誰を指すのか?どのようなニーズや期待を持っているのか?というポイントを、具体例を交えてわかりやすくご紹介します。
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ISO42001:2023 4.2 AIに関する利害関係者って誰?どんな期待があるの?(1)
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ISO42001 4.2 利害関係者の要求の特定
ふたつめは、「利害関係者の要求の特定」です。先ほど特定した利害関係者が、自社にどのようなニーズや期待を持っているのかを明確にすることが求められています。
再びチャットボット導入の例を用いて説明します。例えばAIプラットフォーム提供者(OpenAIなど)は、自社の利用規約を守り、不適切な用途を避けるよう期待します。AI製品・サービス提供者(チャットボットのSaaS事業者)は、提供するマニュアル通りに正しく設定・運用されることを求めるでしょう。AI開発者にとっては、開発要件が明確で、非現実的なスケジュールや急な仕様変更がないことが大切です。またAIユーザー(社内Web担当者など)は、使いやすい管理ツールや、トラブル時の迅速な対応体制を望みます。AIシステム統合者である開発委託業者は、頻繁な仕様変更や無理な納期を避けたいと考えるでしょう。一般ユーザー(その他の対象者)は、正確で信頼できる情報を得られること、個人情報が保護されることを期待します。規制当局は法令やガイドラインの遵守を求めます。
また、規格では利害関係者の要求に気候変動に関する事項も含まれる可能性があると指摘しています。AIチャットボットの場合でも、実際に運営するプラットフォーム企業が膨大なエネルギーを消費するデータセンターを運営している場合、環境負荷の観点から効率的な運用を求めることもあり得ます。
ISO42001 4.2 対応すべき要求事項の決定
最後のポイントは、「特定した利害関係者の要求のうち、どれに対応するかの決定」です。
ここで特定したすべての要求に対応することは現実的ではありません。例えば、競争が激しく迅速なサービス提供が求められる市場環境では、開発スケジュールなどの要求の優先順位が下がることもあります。しかし、法令や契約上の義務に関する要求は、必ず対応しなければなりません。対応すべき要求を決める基準として、法的義務、AIのリスクへの直接的影響、自社の価値観や戦略との整合性などを考慮して判断することが重要です。
以上のように、2回にわたり、ISO42001箇条4.2「利害関係者のニーズ・期待」を詳しく解説しました。AIマネジメントシステムを始める上で非常に重要なポイントですので、しっかり理解し、活用してくださいね。