おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
4月8日、AI法案が衆議院本会議で審議入りしました。いよいよAI法案が本格的に審議されます。これについて報じた報道4社の記事を斜め読みし、論調の違いを確認したいと思います。
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報道4社の記事はこちら
AI法案が衆議院本会議で審議入り
まずは4社が共通して報じている点について、簡潔にまとめました。
AI法案は、AIの技術革新を後押しするとともに、急速に拡大するAIのリスクに対処することを目的としています。政府はこの法案において、AIを経済社会の発展の基盤と位置づけ、国を挙げて取り組む体制の構築を目指しています。
法案の柱の一つは、政府による「人工知能基本計画」の策定。また内閣に新たに設置される「人工知能戦略本部」は、首相を本部長とし、全閣僚をメンバーとしています。政府はこの本部の下で、AI技術に関する総合的な政策を策定・推進していく方針です。
また、生成AIの普及により、偽情報の拡散や差別の助長、サイバー攻撃などの新たな「リスク」も顕在化していますが、この法案では、AIの不適切な利用により国民の権利や利益が侵害された場合、政府が調査を行い、必要に応じて関係事業者に対する指導や助言を行うことが定められています。さらに、悪質な場合には、事業者名やサービス名の公表も可能とする規定も盛り込まれています。(法案第16条)
ただし、この法案では罰則については明記されておらず、現時点ではあくまで行政による「指導」や「助言」といったソフトな対応が基本となっています。政府はこれについて「現行法(例えば個人情報保護法や著作権法、刑法の業務妨害等)でも一定の対応は可能」との立場を示しており、過度な規制を避け、民間の創意工夫を尊重する姿勢を取っています。
この法案の背景には、日本のAI分野における国際的な立ち遅れがあります。米国や中国に比べて日本のAIへの投資や利用率は依然として低く、研究開発や人材育成の面でも後れを取っているとの指摘があります。今回の法案は、こうした遅れを挽回し、国際競争力を高める契機とする狙いがあります。
政府・与党は今国会での法案成立を目指しており、今後の委員会審議では、リスク管理と技術振興のバランス、そして事業者に対する実効性ある対応のあり方などが論点となる見通しです。
4社の報道の違い
4社の報道は、いずれもAI法案の審議入りを伝える内容では共通していますが、その強調点や語り口にはそれぞれ特徴が見られます。NHKは、政府の姿勢を中心に淡々と要点を整理している感じで、AIによるリスクへの対応や研究開発の促進、人材育成の必要性などを、城内担当相の発言とともに紹介し、早期成立への理解を促す政府の立場を伝えている印象ですね。
一方で読売新聞は、偽情報の拡散や差別の助長といったAIのリスクに焦点を当て、事業者名の公表規定について特に大きく言及しているのが特徴です。日経以外の大手紙面は、だいたいこのようなリスクを強調する論調ですね。
日本経済新聞は、他紙よりも国際的な比較に力を入れており、日本のAI投資額の少なさや活用率の低さを紹介し、海外との差を中心に言及しています。この点からも全体的な印象としては「他の国に負けずにAIへの投資や開発を進めるべき」という主張が背後に見えるようです。まあ日経なので、有効需要を増やす方向で報じるスタンスはいつものことですね。
時事通信は審議入りした事実と城内担当相の発言を淡々と述べているだけでした。