おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISOの外部審査で不適合になるのってイヤですよね。どういうポイントに外部審査員が注目するのかがわかると、そこを強化できるのに……ってお思いの管理責任者の皆様に朗報です(外部審査のために準備するというのは本末転倒ですが)。今回の連載では、ISO9001の外部審査でよく不適合になる箇条を紹介したいと思います
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ISO9001の外部審査でよく不適合になる箇条はネットでわかる
ISO 9001の品質マネジメントシステムでは、世界中でたくさんの認証機関が、毎年何十万件と監査をおこなっています。そうした監査から得られたデータとして、「不適合」としてよく指摘される箇条・要求事項があることが分かっていて、しかもネットで普通に公開されているんですよね。
なお、ここでいう「不適合」とは、会社や組織が、決められたルール(ISO9001要求事項や組織が決めたルール)を、認証審査やサーベイランス審査、更新審査のときに守れていないことが発覚した、という意味です。
こうした不適合のデータは、DNV GL、TÜV、BSIなど、世界的に有名な認証機関がデータや分析結果としてネットで公開されています。これを見ると、どの箇条が特に問題になりやすいか(=よく不適合とされるか)が分かりますね。こうした情報から、どの部分が特に注意が必要なところなのかを知ることができます。
「もったいぶらずに、早くトップ10を教えろ!」という声が聞こえてきそうですが、このあとすぐ、比較的信頼できる統計データを紹介します。なお、これからお見せするデータは、特定の業種だけのものではなく、世界各国のいろいろな業界の情報をまとめたものであり、いわば「世界平均」のようなものです。したがって、業界や国、地域によってはバラつきがあることをご承知ください。
ISO9001の外部審査でよく不適合になる箇条トップ10(DNVの公開データより)
ノルウェーの大手認証機関であるDNVは、2019年におけるISO9001:2015の審査指摘事項のうち、箇条別に最も多い上位10項目をまとめて公表しています。DNVの認証対象組織である世界各国12,250社程度への監査実績をもとに分析したデータのようですね。
何がトップ10なのかは、まずこのグラフをご覧いただきましょう。

DNV GL「Top 10 Findings Issued in 2019: Practical Actions For The Future」をもとに筆者が日本語訳 https://www.qualitydigest.com/static/magazine/pdfs/DNV-2019-ISO-9001-Top-10-Findings-03-03-20.pdf
このグラフでは、トップ10に挙げられた各箇条 が、不適合全体の中でどれくらいの割合を占めているかが示されています。
グラフを見ると分かるように、箇条8.5.1(製造及びサービス提供の管理)が最も多くの不適合の原因になっていて、すべてのISO 9001不適合のうち約7.0%を占めていました。次に多かったのは、箇条7.1.5(監視及び測定のための資源)で5.8%、そして箇条7.2(力量)が5.4%で続く、といった具合ですね。
この3つの要求事項を簡単にいうと、「現場の作業をきちんと管理すること」(箇条8.5.1)、「使っている機器が正しく測れるように管理すること(校正や点検)」(箇条7.1.5)、「作業をする人の知識やスキルが十分であること」(箇条7.2)に関するものですが、この3つで不適合の約20%を占めていました。
これはぼくが外部審査をしたり、またはコンサルとして外部審査に立ち会った実感とマッチしていますね。確かにこのあたりはよく指摘をされる箇条だと思いますね。個人的には箇条9.1(監視・測定・分析・評価)が好き?なので、ぼくが審査をするときは9.1をしっかり見るようにするのですが、残念ながら?トップ10には入っていませんでしたね まあこういう審査員の個人的な嗜好のバラつきを廃した純粋な平均値というのは、いろいろと学びがあるものです。
なお4位以下の箇条は、割合も似た感じに落ち着いています。
こうやって見ると、やはり現場で見つかりやすいことがまず目につき、そしてマネジメントシステム固有の要求(内部監査やマネジメントレビュー)が続く、という感じでしょうか。
明日はこれらの不適合トップ10要求事項の解説をします。