おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
5月14日、政府は「新しい資本主義実現会議」を開きました。ここでは中小企業への賃上げ波及を目指した5カ年計画が示されました。今後5年間で、官民で60兆円程度を生産性向上に投資するということですが……?
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「中小企業・小規模事業者の 賃金向上推進5か年計画」 の施策パッケージ案
5か年計画の概要
5年間で60兆円ってすごいですよね。年間の中小企業予算はだいたい3~4,000億円くらいですので、それに比べれば破格です。まあ、年間予算と「官民の」投資額を比べるのはナンセンスなのですが。
政府はこの「5か年計画」で、一体何をしようとしているのでしょうか。
簡単にいうと、2025年から2029年までの5年間で、物価上昇を上回る「実質賃金1%アップ」をくり返し、賃金が上がるしくみを全国に定着させるための取り組みをする、ということです。そのために、中小企業が賃金を上げられるように経営を変えたり、投資(設備を新しくしたり)を後押しする施策を打つ、ということですね。
施策としては、4つの大きな柱があります。
- 価格転嫁・取引適正化:国や自治体との取引で、値上げ分をきちんと反映できるようルールを強化する
- 生産性向上:仕事を効率よくするための機械やシステムへの投資を進め、働き手1人あたりの成果を増やす
- 事業承継・M&A支援:高齢化で後を引き継ぐ人がいない社長を助けるしくみを強化し、会社が続けられるようにする
- 人材育成・処遇改善:地域で働く人にスキルアップや再教育(リ・スキリング)を支援し、賃金だけでなく働きやすさも改善する
勘のいい人は「えっ?これって今でもやっているようなことじゃないの?」と思うかもしれません。新しい取り組みもあるようですが、基本は既存路線の拡充ですので、何かの方向性が大きく変わるというものではないようです。
ぼくがざっと確認したところ、以下の点が新しい取り組みのようですね。(確認漏れなどはきっとあります)
- 実質賃金1%上昇を国のノルムとして初めて明文化
- 新たな「成長加速マッチングサービス」の創設
- 「週1副社長」
細かい説明は省きますが、こういうものは新しいキーワードですが、それ以外は既定路線の拡充っぽいきがします。
官民投資が60兆とはどういう意味か
気になるのは「官民投資が60兆円」という意味です。
2025年度から2029年度までの5年間に、中小企業・小規模事業者が省力化・デジタル化などの設備投資を行う際に、国(政府・自治体等)が支出する補助金・助成金などの公的資金と、企業自身や金融機関等が拠出・融資する民間資金を合わせた総額を指すようですね。
中小企業実態基本調査をベースに試算した投資需要の合計額のようですが、いまがどの程度なのかは資料を見てもわかりません。中小企業実態基本調査を自分で調べたらわかるのでしょうけど、面倒なのでやってません
この5か年計画を根拠に、今後補助金予算の増額などが図られるかもしれませんが、いきなり2倍や3倍にはならないんじゃないかな…という気がします。補助金だけではなく、ハンズオン(伴走型)支援の強化も5か年計画に含まれていますので、「補助金が増えそうだ!」と期待するのは早計だと思います。
具体的には年末頃に補正予算として明確になってくると思います。個人的には、気持ちちょっと予算が増える程度ではないか、という気がしますが。