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経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針)閣議決定 今後の中小企業政策のゆくえは?

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

7月17日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2020」(いわゆる"骨太方針")を閣議決定しました。今後の予算・政策の方向性を示す方針ですが、このなかから中小企業に関連する記述を見ていきます。

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「経済財政運営と改革の基本方針2020」の閣議決定資料はこちら

設備投資支援は引き続き「中小企業生産性革命推進事業」で

まずは消費など国内需要の喚起に関連して、企業の設備投資に対する支援の方向性についてみてみましょう(方針P14)。

生産性を引き上げつつ、「新たな日常」に対応した新しい財やサービスの創出につながる民間の投資やイノベーションを引き出す取組を強力に進める。このため、AI・量子技術・水素等の脱炭素など最先端分野における研究開発を加速するとともに、複数年の取組である中小企業生産性革命推進事業をはじめとする予算や、出資・ファンド拡充による金融支援のほか、税制・規制改革も含め、あらゆる手段の活用を検討する。

これは目新しい政策ではありません。中小企業生産性革命推進事業は昨年(平成30年度補正)からおこなわれている事業であり、いわゆる「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」のことを指します。

この事業は今年(令和元年度補正)から、3年分の予算を確保して複数年の取り組みを行うようになりました(基金形式にて実施)。来年はその2年めにあたるため、この項で書かれていることは従来からの既定路線に基づいて、令和3年度以降も当該施策を行っていくことと理解することができるでしょう。

働き方改革の推進

方針のP19には、働き方改革に関する記述があります。

テレワークの定着・加速を図るため、新たなKPIを策定するとともに、中小企業への導入に向けて、専門家による無料相談対応や全国的な導入支援体制の構築など各種支援策を推進する。

これは厚生労働省が既に行っている「働き方改革推進支援センター」や、同じく厚労省が実施する「働き方改革推進支援助成金」「業務改善助成金」などのことを指しているのではないかと思われます。詳細はわかりませんが、これも従来からの既定路線を継続する意思表示だと読めます。

地域の中小企業の経営人材の確保

東京一極集中型から多核連携型の国づくりへという文脈から、地域の中小企業の経営人材確保について述べられています(方針P22)。ここでいう「経営人材」とは、経営を担う層(事業を承継する意思のあるもの、新たに創業を考える者)などを指していると考えられます。

感染症に伴い各業種をめぐる状況や中小企業の経営環境が変化する一方で、若い世代だけでなく、40 歳代、50 歳代でも副業や転職を検討する動きがみられるとともに、首都圏において地方移住への関心も高まっている。こうした中で、大手銀行等の専門経験を有する人材をリストアップして地域経済活性化支援機構でリストを管理し、マッチングを行うなど、地域の中小企業のニーズに応じて、経営人材の円滑な移動や兼業・副業を実現するとともに出融資等により中小企業の経営力強化を支援する

地域の中堅・中小企業・小規模事業者への支援

地域の躍動につながる産業・社会の活性化という文脈で、中小企業支援について次のように述べられています(方針P26)。

働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げの流れの継続、インボイスの円滑な導入、DXの進展、目下のコロナ危機など、相次ぐ制度改正や社会変革に対応するため、以下の取組を推進し、世界に冠たる地域の価値創造企業を生み出す。
中小企業から中堅企業への成長阻害要因の除去による企業規模拡大や、付加価値増大によって生産性向上を後押しする。「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」を開催し、下請法63の振興基準遵守に向けた個社の自主行動宣言を通じて、労務費の価格転嫁など中小企業と発注側との協議を促進するほか、知財を含む取引ルール強化を図る。「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、後継者不在の中小企業の事業継承を後押しする。
事業統合・再編を促すため、予算・税制等を含めた総合的な支援策を推進する。複数の中小企業が連携してデータ・情報を共有し、サプライチェーン全体を効率化する取組や中堅・中小企業と大学等が連携して事業化する取組について重点的に支援する。

まずは「被用者保険の適用拡大」「賃上げの流れ」というのはこれまでの政策の中でも実施されてきたことですが、これは継続していくことが読み取れます。中小企業生産性革命推進事業における賃上げ要件等は緩和されず、今後も引き続き継続していくのだと思われます。

「中小企業から中堅企業への成長阻害要因の除去」とは、これは当社の推測ですが、法人税法による中小企業への軽減税率の改正などを指しているかもしれません。大企業の法人税率は、中小企業への法人税率よりも高い(中小企業は軽減税率の適用を受けているため)のですが、企業は資本金が1億円を超えるとこのような軽減措置を受けられなくなるため、資本金を1億円以下に保とうとします。軽減税率制度も何度か延長を繰り返していますが、何か別の措置が講じられるのかもしれません。

「複数の中小企業が連携してデータ・情報を共有し、サプライチェーン全体を効率化する取組」とは、これも既に実施されている「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」のことでしょうし、中堅・中小企業と大学等が連携して事業化する取組は「戦略的基盤技術高度化支援事業」(通称:サポイン)のことで、これらも従来からの政策の継続実施なのだと思われます。

海外経済の活力の取込み

方針P26では、中小企業の海外展開について触れられています。

中小企業の海外展開について、越境ECやクラウドファンディングなどの販路開拓や経営の合理化に資する新たなサービスの担い手を活用する仕組みを構築し、中小企業の海外市場の獲得支援を強化する。海外渡航が困難な中堅・中小企業の急増を踏まえ、JETROにおけるオンライン商談支援や越境ECなどのデジタル化の取組を進め、非対面・遠隔での海外展開を推進する。小規模事業者であっても海外展開の出口段階に到達できるよう、事業者の規模に応じたきめ細かい支援を行うなど、海外展開が遅れている地方への支援を充実させる。

「境ECやクラウドファンディングなどの販路開拓や経営の合理化に資する新たなサービスの担い手を活用する仕組み」は、令和2年度にもおこなわれている「JAPANブランド育成支援等事業」の継続のことを指しているのではないかと思われます。

その他、きめ細かい支援というのはJETROの「新輸出大国コンソーシアム」のことを指しているのかもしれません。(海外展開支援は本当にたくさんの支援策があり、当社としても把握しきれていません。すみません💦)

雑感。目新しい印象はさほどない

例年、この「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針)は基本的なことを抽象的に表現しており、具体的にどういう施策に落とし込まれるかは、これから各省庁が具体的に落とし込みます。したがって今の時点ではどういう施策になるのかはわからないのですが、方針をざっと読んだ印象としては、従来からの既定路線の継続に終始している印象で、目新しさはさほど感じません。個別のキーワードとしてはDX(デジタルトランスフォーメーション)などという、コロナ後を意識したと思われる言葉も入ってはいるのですが。

今後、どのような政策が展開されるのでしょうか。

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