おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
与党は9日、年内に5万円の現金、来年春ごろに5万円相当のクーポン兼を支給することで合意しました。各社は960万円の所得制限がつけられると報じていますが、なぜ960万円なのでしょうか?この960万円とは誰の収入なのでしょうか?そしてどういう手続になるのでしょうか。推察します。
注意ポイント
この記事は、11月10日時点で報じられている内容と現行の児童手当の制度を比較しながら「10万円給付金」の制度を予想するものです。「10万円給付金」の最終条件はまだ公表されていませんので、この記事の内容のとおりにならない可能性も大いにあります。この記事の内容を決して鵜呑みにせず、今後政府や自治体から発表される内容に従ってください。
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【10万円給付金】年収960万円の所得制限に関する各報道
10万円給付金に960万円の所得制限が設けられることは、報道各紙が報じています。例えば日本経済新聞は11月10日、下記のように報じています。
自民、公明両党は10日、経済対策の柱となる18歳以下の子どもへの10万円相当の給付を巡り、自民党側が示した年収960万円以上の世帯を対象から外す案で一致した。対象者には年内にも現金5万円を配り、残り5万円分を来春ごろに子育て関連に使途を限ったクーポンとして原則支給する。
また、NHKも下記のように報じています。
新型コロナウイルスの影響を受けた人たちへの支援策をめぐり、岸田総理大臣と公明党の山口代表が会談し、18歳以下を対象とする10万円相当の給付の実施にあたって、年収960万円の所得制限を設けることで合意しました。
【10万円給付金】なぜ960万円なのか
所得制限960万円と報じられていますが、なぜ960万円なのでしょうか。結論から言うと、これは児童手当の枠組みを念頭においているからと思われます。11月10日の産経新聞記事では、鈴木俊一財務相の会見内容を次のように報じています。
鈴木俊一財務相は10日の閣議後会見で、自民、公明両党が検討している18歳以下への10万円相当の給付金について、自民党が提案した年収960万円の所得制限案は「児童手当の支給要件としてプッシュ型で速やかに給付することを念頭に置いたもの」だと述べ、迅速な支給に向けて既存制度の枠組みを利用するためのものだと説明した。
(11月10日 産経新聞記事「年収960万円の所得制限案、既存の児童手当の枠組み利用を念頭 経済対策の子供給付で鈴木財務相」より引用)
現行の児童手当では、扶養親族等の数の応じて所得制限限度額と給与収入総額の目安を設けています。下記の表は神戸市の児童手当に関するページの表ですが、ご覧の通り扶養親族等が3人の場合、給与収入総額の目安が960万円となっています。今回報じられている「所得制限960万円」をほうふつとさせる数字ですね。
この表を見ておわかりのように、扶養親族等の数に応じて所得制限限度額と給与収入総額の目安は微妙に変わります。ですので今は「所得制限960万円」と報じられていますが、鈴木財務省の言うように「既存制度の枠組みを利用する」のであれば、「10万円給付金」の所得制限も扶養親族等の数に応じて変わる可能性もありうるでしょう。(変わらないかもしれませんが)
【10万円給付金】所得制限960万円は世帯収入なのか所得の高い人の収入なのか?
所得制限960万円は世帯収入なのでしょうか?これも報道されている内容からではわかりません。しかし鈴木財務省の言うように、児童手当という「既存制度の枠組みを利用する」のであれば、所得制限額は世帯年収でも世帯主の年収でもなく、児童の生計を維持する程度の高い方(≒父母ともに所得がある場合等は、生計を維持する程度が高い方(通常は所得が高い方))となる可能性もあります。
これはあくまでも、現行の児童手当の制度がこうだという話であって、「10万円給付金」の所得制限は世帯収入ではないと言い切るものではありませんので注意をしてください。
なお児童手当の場合は、6月~翌年5月分を前年の所得により決定します。例えば、2021年6月~2022年5月の児童手当は、2020年の所得で決定します。
【10万円給付金】手続きはどうなるのか?
そして10万円給付金の手続きはどうなるのでしょうか。上記の産経新聞記事によると、鈴木俊一財務相は「児童手当の支給要件としてプッシュ型で速やかに給付することを念頭に置いたもの」と述べています。また、上記の日本経済新聞記事でも「口座や所得の情報を使って申請不要の「プッシュ型」で振り込む想定だ」と報じています。プッシュ型とは、給付金の対象者が申請作業をしなくても、役所が対象者に対して能動的に給付をする仕組みのことを言います。
この報道のとおりとなるのであれば、10万円給付金は受給対象者が申請手続きをすることなく、自動的に児童手当の支給先口座に振り込まれる形になるのではないかと思われます。
ただし制度は見直される可能性もゼロではない
ここまで調べて思ったことですが、この度の「10万円給付金」は事実上、児童手当の一時増額といえるかもしれませんね。
ただし上記の推測は、あくまでも11月10日時点で報じられている内容に基づくものです。政府が制度を見直す可能性もゼロではありません。これはぼくの主観ですが、報道の論調やSNS等の世論を見ていると、この給付金の条件を肯定的に評価している人をほとんど見かけません。昨年の特別定額給付金も世論の動向に応じて条件を変更したという前例もありますので、最終的にどのような制度になるかはまだわからないと言ってよいでしょう。