おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
内部監査レベルアップ講座、今回は内部監査における記録のうまい扱い方について解説をします。記録をどのように扱うと良い内部監査ができるのでしょうか。初回の今回は、なぜ記録を取らないといけないのかという基本をお話します。
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記録を取るのは「自社を守るため」
ISOといえば「書類が多くて面倒くさい」というイメージを持っている人がたくさんいると思います。わたしも昔はそう思っていました。毎日の仕事が忙しく、手も足りないのに、なぜこんなに複雑な様式に、いろいろと書かないといけないのかと疑問に思っていました。しかし、ISOで記録を取るように求められる理由はちゃんとあります。簡単に言うと「自社を守るため」に記録を取る、とぼくは思っていますが、その理由を詳しくお話しします。
「法律を守るため」に記録を取る
まず、「法律を守るため」が一つ目の理由です。法律の中には、その法律を順守していることを証明するための記録が必要なものがあります。例えば、フロン排出抑制法では、ある一定規模以上の業務用冷凍空調機器には、専門家が定期的に点検を行うことが必要です。この点検の記録は、機器を廃棄した後も3年間保存しなければなりません。行政の立入検査があった時に、この記録を求められることがあり、もし持っていなかったら、指導を受けることはもちろんですが、罰金を支払わされることもありえます。
「品質保証のため」に記録を取る
次に「品質保証のため」です。食品製造の会社を例にあげますが、ある食品で食中毒が起こったとします。その原因が自社にあるのか、それとも配送や販売店であるかを知るためには、記録が必要です。記録がないと、自分たちが無関係であることを証明できませんので、全て自社の責任として引き受けなければなりません。消費者からの信頼を失い、売上も大きく減少する可能性があります。
「効率的なメンテナンスのため」に記録を取る
続いて、「効率的なメンテナンスのため」です。工場の製造装置が壊れた場合、故障の原因を特定して、早く修復しないといけないのですが、具体的なメンテナンスの記録や履歴がないと、問題の特定や修理が難しくなります。記録を取っていれば、原因の特定も修理にかかる時間もコストも、最低限に抑えられたかもしれません。
「トレーサビリティ・説明責任のため」に記録を取る
最後に、「トレーサビリティ・説明責任のため」です。製造した製品に不具合が報告された場合、原因を突き止めるために、どのロットの製品に欠陥があったのか、どの材料が使用されたのか、どの工程で何が行われたのか、といった詳細な記録を参照しなければなりません。そうした記録がなければ、原因の特定ができないので、製品の全数をリコールする必要がでてくるかもしれません。記録があれば、問題のあるロットだけを回収すればよいので、リコールコストも最低限に抑えられるでしょう。
確かに、何もない日常では、記録がなくて困るということはありませんが、何か問題が発生したときに記録がないと、会社は大きな損害を受ける可能性があります。だから、自社を守るため、ひいては自分自身を守るためにも、しっかりとした記録を残すことが大切なのです。
これは個人であっても同じです。例えば、外出や出張した時にタクシーとかの領収書をもらうことがありますよね。あれも一種の記録です。領収書がないと旅費を精算してもらえません。だからみなさん、領収書はちゃんと保存しますよね。自腹を切らないために、自分が損をしないためにも、記録はちゃんと残しておく必要があるんですね。