おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
我々は、なにかをやり抜いて結果を出すということが容易ではないと知っています。わかってはいるのですが、なぜかいつも「とにかくがんばろう」と精神力に頼りがちでもあります。こういった「がんばろう」はほとんど通用しないという身も蓋もない話をしたいと思います。
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「生産性の科学」を知る
少子高齢化にともなう人手不足によって、「生産性を高めよう」ということが官民を挙げて声高に叫ばれています。ご存知のとおり「生産性」を向上することは、現代に生きる我々にとって不可欠です。プライベートのことを考えてみても、仕事と育児や介護を両立するには仕事を早々に終わらせなければなりませんからね。
しかし私たちのほとんどは、どうやって生産性を向上するかという方法を見出すことに苦労を重ねています。ITを使った管理ツールを導入しても、最初のうちはよいのですが、その後は徐々に使われなくなるのがオチです。タイムマネジメント研修のようなものを受講しても、そこで学んだテクニックもやがて面倒くさくなって止めてしまいます。そういう時私たちは「生産性向上を頑張れない自分って本当にダメだな……」と自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
でも、いろいろ試して頑張ってみたからといって、必ずしも生産性が高まるとは限りません。頑張る方向性が、科学的に合理性がなくては、どれだけ頑張っても成果は出ないでしょう。「生産性向上」というと、ともすればツールや方法論に終始しがちですが、一体何が科学的には言えるのか、という原則をきちんと押さえておきたいと思います。
「がんばろう」だけでは十分ではない理由① 我々の持つ恐れ
生産性を高めるために最初に認識しなければならないことは、「頑張ろう」という努力だけでは生産性を高めることはできない、ということです。Janet Polivyの調査によると、私たちの脳は大きなプロジェクトを恐れる傾向があるそうです。恐れているがゆえに、大きなプロジェクトを遂行する上で壁にぶつかると、すぐに放棄したくなるのだとか。これゆえに、長期的な目標の達成が困難になります。
これのもっともわかりやすい例が、私たちが学生のころの「あるある話」です。試験勉強をしなければならないのに、つい部屋掃除をしてしまうなんてことはありませんでしたか?これは試験勉強(試験に合格する)という大きなプロジェクトを「うまくいかなかったらどうしよう」などと潜在的に恐れているので、怖くない作業(部屋掃除)に逃げ込んでしまうのです。大きなプロジェクトに着手しないと悲惨なことになるてわかっているはずなのに、人間って矛盾してる存在ですよね。
Kenneth McGrawの研究でも似たような指摘があります。プロジェクトが始まったばかりのときのほうが挫折しやすいのだそうです。試験勉強をすると決めたのはいいですが「合格しなかったら恥ずかしい」という気持ちが湧いてくると、「今ならまだ引き返せる」と思うのでしょうかね。いずれにせよその「恥ずかしい」という気持ちを避けるには、あれこれ理由をつけてプロジェクトに着手しないという戦術をとってしまうのですね。
「がんばろう」だけでは十分でない理由② 意志の力の枯渇
仮にこのような恐れを乗り切ったとしても、次に待ち構えているのは「意志の力」の枯渇です。このブログでも何度か書いていますが、バウマイスターの研究などにより、「意志の力」はどうも許容量のようなものが決まっていて、使えば使うほど消耗していくのではないか、と見られています。ちょうど筋肉のようなものと言えるでしょう。例えばですが、腕立て伏せ20回を3セットやると、最初の20回(1セット目)は難なくできたとしても、2セット目、3セット目になると、筋力の消耗が起きるため、20回をやり抜くことが困難になり、10回くらいでヘタってしまうはずです。「意志の力」も、同じようなメカニズムだと思われれています。そして、目の前の誘惑に繰り返し抵抗をし続けると、やがて誘惑に屈してしまう、ということもわかっています。
ということなので、「恐れ」に打ち勝ったとしても、その時点で意志の力は満身創痍です。このような状態で、いくら「頑張ろう」と声をかけたとしても、何の成果ももたらさないしょう。
こんな話を聞くと「何をやってもダメなんじゃないか?」と絶望的な気持ちになりますが、それでも生産性を高めるためにできることはあります。その具体的な方法については明日に続きたいと思います☺