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「失敗し、自己評価が下がるとやさぐれる」という当たり前の研究結果が示すもの

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

みなさんにも、なにかに失敗したり、自分のことがほとほとイヤになった経験はありますよね?こういう経験をすると人はやさぐれ、ときに不寛容になるという当たり前の研究結果があります。当たり前なのですが、職場ではこの当たり前のことが考慮されていないように思います。

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クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール『自己評価の心理学』より

(論文の出どころは失念したのですが)、クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロールの『自己評価の心理学』では、次のようなエピソードが書かれていました。

心理学の実験で、被験者になってくれた人たちにわざと難しい仕事をさせて失敗させたり、自分の死のことを考えさせて自己評価を下げさせてやると、そうされ た人々は他人の悪口を言うか、そうでなければ犯罪に厳しくなったり、自分の文化とはちがう文化からの攻勢に不寛容になる、という研究があるのだそうです。たとえば、このような方法で自己評価を下げられたアメリカの市民たちは、自分の国の悪口を言う人間に対して厳しい判断を下す傾向にあったそうです。また、別の実験を見ても、自己評価を下げられた人間は容易に人種差別的な偏見を口にするようになるという結果が報告されているとのこと。

もちろん、人種差別の原因は、自己評価が低いことばかりではないでしょう。しかし「自己評価が下がっている人間にほんの少しイデオロギーが手を貸してやれば、簡単に差別的な行為をするようになるはずである」というのが、この本で指摘されていたことでもあります。

当たり前のことではあるが、こういうことは職場でよく起きている

一見「当たり前」の結論のように見えます。自分が失敗したり、「自分はダメだな……」というエピソードがあると、やさぐれてしまい、ストレスのはけ口が他人に向かうということですから、思い当たるフシは誰にでもあるのではないかと思います。当然、僕にもこういうことはあります。

ところで、こういうことはよく職場で起きています。もちろん職場では、わざと難しい仕事をさせたり、わざと自分の死のことを考えさせるようなことはありません。しかし職場では「失敗」や「ダメ」が当たり前に起こります。現代は、高度成長期やバブル期のような右肩上がりの時代と違い、結果を出すことが難しい時代です。背景には少子高齢化があったり、新興国との国際競争があったりと、何かを頑張ればそれに見合った結果が出る、というような単純な時代ではありません。しかし企業では計画を立て、目標を作り、「勝つ」ための戦略を設けます。そういうものを立てることを否定するつもりはありませんが、立てたからと言って「成功」は保証されていません。多くの場合、目論見から外れて、失敗に終わります。

「何をやってもうまくいかない」ということを、現代の職場では嫌になるほど味わいます。そういう状況になった時、組織で働く従業員はどう思うでしょうか。上記の実験結果のように、自己評価が下がることは容易に想像ができます。自己評価が下がると、やさぐれて、誰かを攻撃したり批判したりという不寛容の空気が生まれます。例えば職場では「あの部署だけ楽をしてずるい」とか「年下のくせに言うことを聞かない」とか「上司が無能だから結果が出ないのだ」などという雰囲気になります。こうなってしまうと、いくらトップが「社員一丸となって」「チームとして連携しながら」と声をかけても効果はでません。効果を出そうと管理を強めると、より一層組織はギスギスし、不寛容の空気が強まるという負のスパイラルにも陥ります。

「心理的安全性」という考えはこういう時代だから生まれた

話は少し飛躍します。米グーグルは、社員の生産性を高めるために、2012年から「プロジェクト・アリストテレス」という労働改革プロジェクトに取り組んできました。そのプロジェクトの結論として、「心理的安全性」の高い組織ほど、社員の生産性が高いことがわかりました。

心理的安全性とは、「こんなことを話しても、上司や同僚は怒ったり笑ったり、批判したりはしないだろう」という感覚を社員が持つことです。そういう組織ができれば、情報の共有も進みますし、人間関係にわずらわされることなく、仕事に集中できます。その結果、生産性が高まるのだということをグーグルは見出したわけですね。

これは上記の研究結果のように「失敗」「ダメ」「不寛容」とは対極の考え方ですね。自分が失敗しても、それを否定、批判をされない安全な場こそが、生産性の向上につながると言っているわけですからね。これは、経営環境が複雑になり、単純な努力が「成果」に結びつかない時代だからこそ生まれた組織の「知恵」のようなものだと思います。

昔から「失敗は成功のもと」という言葉もあります。現代の我々は、結果を早く出さなければならないというプレッシャーを背負っているので、結果を出すための最短ルートを走りがちです。しかし最短ルートを走ることは「結果」を出すことを必ずしも約束をしてくれないのです。「急がば廻れ」ではありませんが、むしろ失敗を許容する場を作ることことが、結果を出すための「最短ルート」なのかもしれません。

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