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「他人と自分を比べて落ち込む病」の娘氏と僕。なんで他人と比べちゃうの?

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

7歳のうちの娘氏が、最近「他人と自分を比べて落ち込む病」にかかっています? 人と自分を比べて自己嫌悪することは誰にでもあることですが、どうしてこんなことが起きちゃうんでしょうね。アカデミックな議論に限定してまとめてみました。

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「〇〇ちゃんは絵もうまいし6年生の漢字だってかけるのに私は……」

うちの娘氏。学童の同級生(2年生です)に、すごくなんでもできる子がいるそうです。まあ本当に「なんでもできる」ということはないんでしょうけど、娘氏にとって見れば「なんでもできるように見える」という実感があるのは確かなんだと思います。

娘氏が言うには、

「○○ちゃんは絵もうまいし、6年生の漢字だって書ける」

のだそうです。

そしてその後に必ず

「それに比べて、私にはなんにも上手なものがない……」

と続き、自己嫌悪に陥っています。

もちろん娘氏に対しては話を聞いて受容した上で、「他人と比べることには何の意味もないんだよ」というフォローをするのですが、それもどこまで納得できているかは定かではありません。

僕のしつけ方や接し方が悪いので、子供が萎縮してるんだろう!という声が聞こえてきそうですね?また僕も最良最善のしつけなんてできている自信はないのでご指摘の通りなのかもしれませんが、それでも「こんな小さいころから、他人と自分を比較して落ち込むことってあるんだ」と別の意味で興味が湧いてきます。

僕もちょっと前までは他人と自分を比べて自己嫌悪していた

そういう僕も、ちょっと前までは、他人と自分を比べて自己嫌悪していましたしね。ちょっと前どころか、今でもそうかも知れませんが……。

僕は中小企業診断士です。ほとんど自称することもなく思い入れも少ない保有資格ですが、これを勉強している最中や、資格を取得した直後などは、資格保持者に対して「こいつには勝ったな」と勝手に優越感を覚えたり、「こいつ、頭悪いくせになんで診断士なんだ?(きーっ!悔しい!!)」なんて嫉妬したりなんかしてましたもんね。正直な話?

で、その後に必ずと言っていいほど「でも自分は資格も簡単に取れないダメ人間なんだ……ああ……ダメダメ。死にたい……」なんて自己嫌悪するんですよ。

今じゃそもそも他の診断士の人と接することがないし、ごくわずかの仕事仲間の診断士に対してもそんなことを思わないので、ここ5~6年でうつ病になってから精神修養を重ねて、ちょっとはこういう負の感情を克服できたかな?というところまでやってきました。

なぜ他人と自分を比べてしまうのか?という心理学的な検討

はからずも娘氏も僕も似たような「他人と自分を比べて落ち込む病」患者なわけですが、どうしてこんなことが起きてしまうんでしょうかね。親のしつけの問題なのか、それとも親子二代に渡って見られることから遺伝の問題なのか。

このあたりは(心理学研究ではありませんが)ラッセルの「幸福論」でも「他人と比較してものを考える習慣は,致命的な習慣である」と喝破してますし、20世紀なかばからは学問的な心理学研究のテーマにもなっています。

以下、下記の参考文献をもとに、ちょっと紹介したいと思います。

吉川裕子,佐藤安子(2011)対人比較が生じる仕組みについての心理学的検討,2010 年度 心理社会的支援研究 創刊号,41-53

 

アメリカの心理学者Fistingerによる「社会的比較過程理論」

心理学的研究を最初に手掛けたのは、アメリカの心理学者Fistinger(1954)です。Fistingerさんは「社会的比較過程理論」の中で、3つの仮説を提唱しました。

僕による超訳ですが、一言でいうと、人間には「自分の意見や能力がすごいんだと確認したいなあ~。そうだ!自分とよく似た他人と比べて確かめよう!という欲求がある」ということです。

なんとなく心当たりがありますよね?

自分がこの世の中で生きていく上では、自分のこと(意見や能力)をよく知っておきたいという欲求があるということですね。「自分の意見は正しいのか?」とか「自分の能力はどの程度なのか?」を評価したいのですよ。で、それを評価するものさしとして、よく似た自分を引き合いに出すのだと博士は言っています。

うちの娘氏が、同級生の○○ちゃんを引き合いにだすのは、「同級生」というよく似た存在だから、自分の比較の対象として適切なんですよね。僕が他の診断士を引き合いに出すのは、「診断士」という同じ資格保持者だから、自分の比較の対象として適切なんですよ。間違っても比較の対象として、NBAのスーパースターなんかをもってくることはないんですよ。

日本における研究はどうか?

もしかしたらこういう傾向には「お国柄」が現れるかもしれません。気になるのは、日本ではどうかということです。社会的比較における日本の代表的研究者は高田利武(1992)先生です。

高田(1994)先生は大学生を対象に、質問紙法に基づいて社会的比較の実験をしましたが、「全体的に,自分を私的,公的ともに意識することが多く,他者との親和や強調を重視する日本文化に一般的な相互協調的自己観の高い人が,他者との比較の志向性が高い」と結論づけました。

他者と協調しなければならない、他者と仲良くしなければならないと思っている人ほど、他人と自分を比較してしまうということでしょうかね。まあそうなんだろうなという気はしますね。

状況に応じて変わるのでは?と疑問を呈したBuunk(1994)

他者と比較をしてしまうかどうかは、状況に応じて変わるのでは?と疑問を呈した研究者もいました。

Buunk(1994)は、「ストレス状況下や新しい経験の時には,一時的に比較の量が増加する」と述べています。人がストレスを感じている状況や新しい経験をする時に感じる緊張感が、人と比べたい気持ちを増大させると結論づけたそうです(よく調べてませんが、なんかの実験をしたんでしょうね)。

特に今は新型コロナウイルス感染症でみんな不安ですからね。うちの娘氏も、学校がなくて自分の勉強が遅れることに不安を感じているのかもしれません。だから○○ちゃんと比べてしまうという気持ちが増大しているのかもと、Buunk(1994)の説からは言えるのかもしれません。

性格(パーソナリティ要因)でも異なるのでは?を実験した外山・伊藤(2001)

外山・伊藤(2001)では、児童(小学校4,5年生)を対象にして、パーソナリティ要因、年齢、性別が社会的比較に及ぼす影響について調べました。(パーソナリティ要因にはローゼンバーグ 自尊感情尺度などを用いたようです)。結果にひとつとして「自尊感情の低い人は自分の劣等さを再確認するため(自己卑下のため)に自分よりもできる人と比べるために、その結果、否定的な感情を抱くという悪循環に陥っていることが考えられた」とあります。

あくまでも仮説でしょうけど、結構重要な指摘です。「自分がダメだと思っている人は、自分のダメさを確認するために優秀な人と比べてしまい、その結果自己嫌悪する」という傾向があるということですもんね。そんなこと止めればいいじゃんっておもうかもしれませんが、自尊感情が低い人(僕もそうですが)は、こういうことをついついやっていまうのですよね。

今回はテーマが異なるので詳しい説明は割愛しますが、双生児の研究などから、自尊感情が低いのは遺伝的要素や非共有環境の影響が色濃いとされています。娘氏と僕が「他人と自分を比べて落ち込む病」なのは、まあ遺伝だと思うほうがしっくりくるかもしれませんね……(身もふたもないですが)。

人と比べないようにするにはどうすればいいのか?答えは「わかりません」

というように、人と比べてしまうことの要因には様々なものが考えられます。特定のある一つの要因に帰結することが難しいでしょうね(これは何にでも言えることではありますけど)。しかも遺伝的要素も色濃く絡んでくる自尊感情の影響を受けているとすると、人と比べないようにすることはそれほど容易なことではないかもしれません。

人と比べて劣等を感じ、それをばねに努力をしようと思うことは健全かもしれません。しかし努力し続けると疲弊をしてしまいます。僕はこれで疲弊してしまいましたからね。しかも努力をし続けても、優越や幸せが増えたということもありませんでしたし。努力すればするほど、上にいる人と比較をしてしまい、自己嫌悪していまうという無限地獄でしたからね。

個人的な経験としては、自分は人より劣っていても価値がある。存在してもいいのだ、と自分に暗示をかけまくる(アファメーション)ことが一つ役に立ったような気がしますね。あっ、こういうブログで、ダメな自分を開示するということも効果的だったかもしれません。

ということでこれからもダメ人間を自己開示するダメブログは続けていこうと思います?

(娘氏のことはどうすんの??)

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