おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
1月28日に経産省は、事業再構築補助金の基金設置法人・事務局募集要領を公示しました。その中では、補助金返還のペナルティについても言及されていました。この内容について、与党議員の発言なども交えて考察します。
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事業再構築補助金で付加価値額向上要件が未達の場合は、補助金額の一部を返還する場合も
基金設置法人募集要項の28ページには、次のような記述があります。
事業計画において求める事業終了後 3~5 年での付加価値額が年率平均3%以上増加すること等の目標を達成できなかったときは、補助金額の一部の返還を求める場合がある
事業再構築補助金では、申請必須要件の一つに、事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3%(一部5%)以上の増加、または従業員一人あたり付加価値額の年率平均3%(一部5%)以上の増加というものがあります。付加価値額の定義は下記のようなものだと当社は推測しています。
これを実現できなければ補助金を返還しなければならないという条件が付与されるもようです。ただ、基金設置法人募集要項に書かれているのは「補助金額の一部の返還を求める場合がある」ということですので、どういう場合には返還が要求されるのか(またはどういう場合には返還が求められないのか)という詳しい条件はまだわかりません。
事業再構築補助金の返還ペナルティに関する与党議員の発言
この件について、自民党の鬼木誠衆議院議員は、自身の動画の中で次のように語っています。
これらの条件がもし未達成だったらお金を返さないといけないんですか?と心配するお声も聞こえてまいりますが、中小企業の通常枠の規模でありましたら、そこまで心配しなくていいと思います。ただ事業計画上はしっかりとこの目標が達成できているということが必要でございますので、しっかり計画を作る段階で、どういう経営再建が見込まれるのかということをしっかりと作り込んでいただきたいと思います。
(動画の5:31ごろから)
さらに、自民党の穂坂泰衆議院議員は、自身の動画の中で次のように語っています。
しかしながら3~5年の先の計画を立てていく中で、それを振り返って減額になるのか、ちょっと私は、非現実的なのかなとそういうことも思っておりますので、こちらはまだ発表前ではございますが、ご注意いただければと思います。
(動画の6:17ごろから)
こうした発言を踏まえて、ここからは当社の推測になりますが、省庁側(経産省・中小企業庁)と議員側とで、制度の詳細についての議論中なのだろうと思われます。少なくとも議員側には、返還ペナルティを設けることに肯定的ではない人もいるのだろうということが、このおふた方の動画内容からは読み取れることができます。
最終的にどうなるかは不明です。
ペナルティではないが「収益納付」による補助金返還の可能性は必ずある
ところで、目標未達のペナルティによる返還ではありませんが、事業再構築補助金でも「収益納付」による補助金返還の可能性は必ずあります。収益納付とは、補助金をもらった事業において収益が出た場合は、補助金を変換するという制度のことです。これは補助金適正化法という法律の第7条2において、次のように定められています。
各省各庁の長は,補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては,当該補助金等の交付の目的に反しない場合に限り,その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。
これは法律なので、事業再構築補助金だろうがなんだろうが、行政が行う補助金に関しては必ず適用される制度です。
法律の条文には「補助事業等の完了により」とありますので、法律の解釈としては、会社全体として利益がでたというよりも、補助事業(≒事業再構築補助金の場合は、補助金をもらって行おうとしている事業再構築)を行った結果として利益が出た場合という因果関係が明確であることが求められるでしょう。利益に関しても「相当の収益」とありますので、ある基準を超えるような収益を実現するということが、返還の条件となるはずです。
収益納付による返還は、各省各庁の庁が定める条件(第3項)にしたがって行われることになりますので、収益納付に関する考え方も、公募要領等で触れられるものだと思われます。