おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
3月26日に事業再構築補助金の公募要領が公開されました。4月30日の締切に向けて事業計画書作成に着手される方もいると思いますが、公募要領を読み解いて、事業計画書(申請書)をどのように記述すべきなのかを考察します。
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事業再構築補助金事業計画書(申請書)で記入が求められる大項目は4つ
公募要領1.0版(3月26日公開)によると、事業再構築補助金事業計画書(申請書)で記入が求められる大項目は4つあります。この4つの項目を、計15ページ以内で作成することが求められています。
- 補助事業の具体的取組内容
- 将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
- 本事業で取得する主な資産
- 収益計画
なお、15 ページを超える事業計画を提出いただいた場合であっても、審査対象として取扱われるようですが(公募要領25ページより)、15ページ以内での作成を厳守すべきと当社では考えます。確かに公募要領では「15ページを超えたからと言っても無下には扱わないよ」とありますが、審査をするのは人間です。「15ページまでって書いてあるのに、なんで20ページも書いて寄越すかな?」とネガティブに受け取られる可能性は否定できませんし、一度ネガティブな印象を持たれると、評価がその印象に引きづられてしまうのは起こりうることです。いらないリスクを負う必要はありませんので、15ページを厳守するほうがよいと考えます。
「1.補助事業の具体的取組内容」と「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」で13ページ以内が目安
15ページ以内に収められるように書くのであれば、「1.補助事業の具体的取組内容」と「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」あわせて13ページ以内で書くのが目安となるでしょう。「3.本事業で取得する主な資産」と「4.収益計画」は後述しますが、それぞれ1ページで書くことはできると思われるためです。
「1.補助事業の具体的取組内容」と「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」あわせて13ページに収めるのは、当社の印象としては、かなり詰め込んで端的に書かなければならないと感じます。ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金と比べて、事業再構築補助金の事業計画書作成で求められていること、審査項目の内容は非常に多岐に渡っていると感じます。例えば事業再構築指針との関連性を説明することが求められていますが、それだけでも(少なくとも)1~2ページは費やす必要があります。事業再構築補助金ではSWOT分析をすることが求められています。ものづくり補助金や持続化補助金では、せいぜい強み(しいていえば機会も)くらいでもよいのですが、弱みや脅威まで書くとなると、それなりの分量が必要です。
したがって、ダラダラと説明するのではなく、記述が求められていることに対して、結論と理由を中心として、かなり端的にまとめ上げる必要があるでしょう。
事業再構築補助金の事業計画書様式はものづくり補助金の事業計画書を参考に
事業再構築補助金の事業計画書の様式は、当社が調べた限りでは事務局ホームページ内に見当たりません。いずれ公開されるかもしれませんし、されないかもしれないのですが、いずれにしても無から作り上げるのは大変です。参考にできそうなものとしては、ものづくり補助金の事業計画書があるでしょう。ものづくり補助金の事業計画書でも、4つの大項目は同じように求められています。
特に「3.本事業で取得する主な資産」と「4.収益計画」あたりは、かなり流用できるのではないかと考えます。
ものづくり補助金の申請様式(参考様式)は下記からダウンロードできます。
「1.補助事業の具体的取組内容」で求められていること
公募要領1.0版の23~24ページにかけては、「1.補助事業の具体的取組内容」で書くべき内容が例示されています。
① 現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載してください。
事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。
② 応募申請する枠(通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかについて、事業再構築指針とその手引きを確認して記載してください。
③ 補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。
④ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載してください。
実はこれを書きさえすればよいという単純な話しではありません。これを踏まえつつ、審査項目も漏れや抜けがないようにしなければなりません。例えばですが、審査項目の事業化点④では「既存事業とのシナジー効果」について触れられていますが、公募要領23~24ページの事業計画書に関する注意事項では「既存事業とのシナジー効果」については言及されていません。言及されていないから書かなくてよいのではなく、審査項目も公募要領23~24ページの事業計画書に関する注意事項も、どちらも網羅して書く必要があります。
また、上記の解釈も厳密にしたほうがよいでしょう。例えば上記の③には「補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて」とあります。この文を厳密に読めば、他者だけではなく自社の既存事業との差別化要素も書かなければなりません。「差別化」というと、競合他社との比較という文脈で捉えられることが一般的だと思いますが、「事業再構築」では新分野展開や事業転換、業種転換等が求められるがゆえに、自社の既存事業と何がどう違うのか、ということを書くことが求められているのだと思います。
したがって「差別化ね。じゃあ他者との違いを書けばいいんだな」と安易に考えず、公募要領に穴が開くくらい熟読をする必要があります。記述が求められる要素を全て網羅しなければ評価が得にくいということもありますが、細かい点まで網羅されているほうが事業計画としての有効性も高まると思います。
「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」で求められていること
公募要領1.0版の24ページには、「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」で書くべき内容が例示されています。
① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。
② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載してください。
③ 必要に応じて図表や写真等を用い、具体的に記載してください。
こちらのほうが少ないな、という印象があります。しかし先程も述べたように審査項目も網羅的に書く必要がありますので、ここに書かれていないことで、審査項目で求められているものは記述の必要があります。例えば政策点の5つの審査項目については、公募要領1.0版の23~24ページに例示がありません。書くならば、この「2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」で書くことがのぞましいでしょう。
例示されている文の解釈も厳密にしましょう。例えば上記の①を注意深く読むと、事業再構築をする上での補助事業の(≒新製品等や新製造方法等を実現するにあたっての)課題・リスクだけではなく、事業再構築を行った後の将来に起こりうる課題やリスクまでも書くことが求められていると読めます。補助事業の課題と、補助事業終了後の将来における課題の両方を書くことが求められていると解釈するほうが安全でしょう。課題とリスクの違いにも注目してください。課題というのは「自社がやるべきこと」であり、リスクとは「こうなったら困るなという出来事」のことです。
ややこしいでしょ?この公募要領が求めていることは、相当難解ですよ。