おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
今日はISO9001:2015箇条6.2品質目標について解説をします。品質目標は外部審査でもその取組内容や達成状況を必ず確認されるもので、ISO9001の規格要求事項の中でも最重要ポイントの一つです。でも規格が言っていることはとてもシンプルなことです。
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箇条6.2「品質目標」の位置付け
箇条6.2「品質目標」がどういう位置付けなのかを具体的に見ましょう。箇条4を通じて、品質マネジメントシステムという、ISO9001で定められている管理の仕組みを作りました。この管理の仕組みを円滑にまわしていくために、箇条5では、トップマネジメントが果たすべきことをを定めました。
そして箇条4.1の課題、そして4.2の利害関係者のニーズ・期待をもとにして、リスクと機会を決めました。そして今日のテーマである箇条6.2では、会社全体および各部門等での品質目標と達成計画を定めることが求められています。それぞれの部門や階層で、何を目指してどのように行動したら良いかを具体的に定めることが求められています。
箇条6.2.1は品質目標に組み込むべき内容と品質目標に対して行うべき内容
では品質目標に関する規格要求事項を見てみまししょう。
箇条6.2.1では、「組織は、品質マネジメントシステムに必要な、関連する機能、階層及びプロセスにおいて、品質目標を確立しなければならない」とあります。つまり、それぞれの部門や階層で、何を目指して行動するのかを目標として明確にしなさい、ということですね。「関連する機能、階層、プロセス」と書いていますから、必ずしも全社全部門に目標を設定しなければならないわけではありません。
そしてa)からg)まで細かくかかれていますが、これは大きく分けて2つに分類できます。まずa)からd)は、品質目標として何を組み込まなければならないかということを示しています。これは後ほど、例を交えて説明をします。そしてe)からg)は、品質目標に対して行うべき内容です。要は、目標を立てるだけではなく、その達成状況を監視し、組織内に伝達し、必要に応じて更新しなさいと言っています。
また、品質目標は文書化要求がありますから、目標シートのようなものを作る必要がありますね。
箇条6.2.2は、目標を実現する計画の詳細
次に箇条6.2.2では、目標をどう実現するかを計画する時に、ここまで細かく決めなさいと書いています。
箇条6.2.1と6.2.2で要求されている品質目標の例・イメージを使って説明しましょう。要は、こういう目標シートを作りなさいと規格は言っているわけですね。
この例では品質目標として、「工程内不良率の削減」や「設備のチョコ停て回数の削減」が挙げられています。これは品質方針と整合していることが箇条6.2.1 a)で求められています。品質方針は箇条5.2で定めましたが、会社の方向性(つまり経営理念や経営ビジョン)にそって、顧客や法・規制が求めていることを守りますというようなことを宣言したものでした。それと整合するということですから、会社の方向性と一貫していること、お客さんや法・規制が要求していることを守ることに関連した目標でなければなりません。お客さんが「不良品はつくらないで」と言えば、不良品を作らなくするには具体的に何を目指すかを目標として設定する必要があります。お客さんの要求とどう関係しているか説明が難しいこと、例えば「人事評価制度を作ります」みたいなことは品質目標としてはふさわしくないですね。
そして達成基準という項目があります。これは、どこまでやれば目標が達成したと言えるかという目安です。工程内不良率の削減であれば、昨年対比で0.1ポイント減したら達成です、別の言い方だと、工程内不良率0.3%以下なら達成です、という基準です。これは箇条6.2.1で「測定可能な目標を作りなさい」と決められていたので、それに対応しています。誤解しないでいただきたいのは、測定可能であるといっても、数値目標でなくても構いません。定性的な目標でも測定が可能であればOKです。
そして具体的な実施事項、責任者、完了時期といったことは、箇条6.2.2で求められていることです。この表には書いていませんが、これらの取組をする上でどういう資源(人やモノ)が必要なのか、また結果はどうやって評価するのかということは、説明できなければなりません。
箇条6.2.1では、こうした品質目標を監視し、伝達する必要がありますので、毎月の定例会議で目標の達成状況を確認したり、各部署の目標を冊子にして全社員に配布するなどの活動も必要になるでしょう。