おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO9001:2015 各箇条解説シリーズ、今日は箇条10.2「不適合及び是正処置」について解説をします。要求事項に適合しない製品・サービスが見つかった場合等に、どう対処をしていくか?ということについて定めています。
スポンサーリンク
動画でも解説しています(無料・登録不要)
箇条10.2の規格要求事項(10.2.1のa)~c)まで)
箇条10.2の規格要求事項を解説します。箇条10.2は、細目箇条10.2.1と10.2.2の2つのパートからなりたっています。10.2.1も、おおざっぱにいうと、a)からc)まででひとつのグループ、そしてd)からf)まででもうひとつのグループと考えるとわかりやすいでしょう。
10.2.1 苦情から生じたものを含め,不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
1) その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
2) その不適合によって起こった結果に対処する。
b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,その不適合の原
因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
1) その不適合をレビューし,分析する。
2) その不適合の原因を明確にする。
3) 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。
c) 必要な処置を実施する。
10.2.1のa)からc)までは、不適合が発見されてからの応急処置、そして原因の探索、再発防止策までの基本的な考えを表しています。
まずa)では、「修正をしなさい」と書いています。修正というのは、例えば不良品がでた場合は、その不良をとりのぞく作業のことをいいます。加工をしなおしたり、組み立て直したりして、不良品を良品の状態にするという作業のことですね。まずは修正をします。
そして次にb)では、不適合の原因を調べなさいと言っています。不良品が出たならば、なぜその不良が出たのかという原因分析ですね。
そしてc)はそのような不良がもう起こらないように、再発防止策をとりなさい、といっています。ここでいう再発防止策というのは、b)で明らかにした原因に対して対策を打つ、ということですね。
ところで原因分析は非常に奥が深くて、これだけで2~3時間くらいの研修が開けるくらいです。原因分析になれないうちは「うっかりしていた」とか「意識が低かった」みたいな原因を挙げがちです。これは実はあまりよい原因分析ではないんですよね。しっかりと仕組みやプロセスの見直しにつながるような原因分析をすることが重要です。
体的にはなぜなぜ分析とか、QC7つ道具の特性要因図とか連関図みたいなツールを使って、原因分析をやるのがいいんですけど、これも結構大変なんですよね。いつかちゃんと解説をしたいと思います。
箇条10.2の規格要求事項(10.2.1のd)~f)まで)
つづいて10.2.1のもうひとつのグループ、d)からf)までを説明します。このグループは、修正や再発防止策をとった後の話しです。
d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。
e) 必要な場合には,計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する。
f) 必要な場合には,品質マネジメントシステムの変更を行う。
是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。
まずd)では、さきほど説明した原因分析、そして再発防止策の実施が、本当に効果があるのかということを、評価をしなさいと言っています。もしかしたら、もっと効果的な再発防止策があるかもしれませんからね。評価をするとしたら、一般的にはしばらくたってからなんでしょうね。
e)は、必要ならリスクと機会を更新しなさいということですね。ここでいうリスクと機会は、箇条6.1で決めたリスクと機会のことです。必要があれば、ということですが、どんなケースが考えられるかというと、検査工程で不正が発覚した、みたいなことですかね。
検査データを改ざんしていた、みたいなことが発覚したとします。これは検査の手順はもちろんですが、顧客要求事項からも逸脱しているので、不適合ですよね。それまで品質不正が起きるリスクなど想定していなかった、ような場合は、そのようなリスクがありうるということを、改めてに認識し、決定しなおしましょう。そして品質不正のリスクを考慮して、プロセスへの統合……つまり、そのリスクが起きないように手順や管理方法を定めましょうということですね。
f)も必要な場合、という条件付きです。品質方針を見直すとか、品質目標を見直すなどを必要に応じてやりなさい、ということですね。例えば検査データを改ざんしたみたいなことがあれば、そうした不正は断固許さないという方針を改めて打ち立てて、トップから強く表明する必要もあるでしょう。