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ものづくり補助金の審査項目を読む (政策面③ 経営資源)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ものづくり補助金の審査項目解説もいよいよ最後です。今日はものづくり補助金の審査項目のうち、政策面③について解説をします。

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政策面とは

企業が申請する「ものづくり補助金」事業計画書の内容が、国の方針に沿っているかどうかを評価するポイントです。どんな補助金施策もそうですが、国として達成したい目標があって、それの実現のために「補助金」という手段で実施を促しているわけです。この「ものづくり補助金」も、中小企業の経営革新を促進したいからやっているんですね。単に、がんばる中小企業を応援するためだけに行われているわけではありません。

したがって、国の方針をより多く満たしているほうが、審査でも高評価が得られるというわけです。具体的にどういう方針を満たしているのがよいのかが、この「政策面」で明らかにされています。

政策面③ 審査項目にはどう書いているか

平成29年補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上補助金」公募要領28ページ(2)政策面③には、次のように書かれています。

中小企業・小規模事業者の競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば、生産設備の改修・増強による能力強化)につながるものであるか。

この審査項目はなかなか不思議な項目です。設備投資をすれば経営資源の蓄積になるのは、まあ当たり前といえば当たり前なのですから。

この審査項目の意図はどういうところにあるのでしょうか。

そもそも「経営資源」とは何か

そもそも「経営資源」とは何でしょうか。これは実は学術的な定義もあります。エディス・ペンローズという経済学者が定義をしています。ペンローズさんの定義によると下記の通りですね。

資金調達力や販売力,従業員管理能力や経営管理についての知識と経験など,もろもろの力の集合体である

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、一般的には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの要素のことを指しますね。

ですからこの審査項目は「補助金をもらったとしたら、その企業のヒト・モノ・カネ・情報は、他社に対してどのように競争力が高まるか」ということを聞いているわけです。

設備的に競争力が高まるのは当たり前のこと

ヒト・モノ・カネ・情報が、他社に対してどのように競争力が高まるかということであれば、モノについて書くのは簡単です。なぜなら設備投資をして、能力が増強されれば、他社に対して優位になる(例えば加工速度が速まるので納期も早くなるとか)わけですから。

実際に審査項目でも「(例えば、生産設備の改修・増強による能力強化)」と例示されてますよね。

でもこれって、自明のことだと思うんですよね。だってものづくり補助金の補助対象経費のメインは機械装置費なのですから。

ということは、実はモノ以外にも重要な要素があるんじゃないか?という仮説が成り立ちます。

鍵となるのは「情報」=「知的資産経営」ではないか

モノ以外で競争力の源泉となり、しかも政策的に評価されるものとはなんでしょう?

それはズバリ「情報」であり「知的資産経営」ではないかと僕は思っています。

「知的資産経営」とは、経済産業省が推奨している経営の考え方です。近畿経済産業局の該当ページを引用しましょう。(赤字強調筆者)

「知的資産」とは特許やブランド、 ノウハウなどの「知的財産」と同義ではなく、それらを一部に含み、さらに組織力、人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワークなど、 財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称を指します。「知的資産」は企業の本当の価値・強みであり、企業競争力の源泉です。企業経営・活動は、知的資産の活用なしには成り立たないものなのです。

そのようなそれぞれの会社の強み(知的資産)をしっかりと把握し、活用することで業績の向上や、会社の価値向上に結びつけることが「知的資産経営」なのです。
企業が勝ち残っていくためには、差別化による競争優位の源泉を確保することが必要です。差別化を図る手段は色々ありますが、 特に大きなコストをかけなくても身の回りにある「知的資産(見えざる資産)」を活用することによって、他社との差別化を継続的に実現することができ、 ひいては経営の質や企業価値を高めることができるのです。

どうですか?経済産業省は、4つの経営資源の中でも「情報」(≒ノウハウ)ともいえる「知的資産」を推していることがわかります。ですから補助金の審査のうえでも、「補助金をもらったとしたら、その企業の知的資産(≒情報・ノウハウ)がどう変化し、他社に対してどのように競争力が高まるか」ということを聞いているのでしょう。

要は「補助金をもらったら、こんなすごいノウハウが身につく」と書けばよい

ですから、補助金申請書上でも「補助金をもらったら、わが社にはこんなすごいノウハウが身につく」ということが書ければよいということです。

その際には、知的資産経営で定義されている下記の3分類が役に立つでしょう。下記のキーワードを使ってみてください。

例えば「人的資産」を軸にした場合、このように書けるでしょうかね。

「この度の新製品開発により、従業員に新製品開発の経験やノウハウといった知的資産が身につく。従来は下請企業であった当社にとって、自社製品を開発するという経験・ノウハウが蓄積されることは、下請に徹している競合他社より高利益率の事業が展開できるという点で競争力向上につながるものである」

まとめ

  • 経営資源とはヒト、モノ、カネ、情報のことである
  • 特に情報(知的資産)の充実は、「知的資産経営」を推し進める経済産業省の方針にも沿っている
  • 人的資産、構造資産、関係資産の切り口で記入をする

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