おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015各箇条解説、箇条4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」の2回めの今回は、利害関係者からの環境に関するニーズや期待(つまり要求事項)とはどのようなものかを解説します。
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箇条4.2で把握したニーズ・期待はどう展開されるのか
ここで、ちょっと先の話をしたいと思います。箇条4.2で利害関係者と、そのニーズと期待を把握するわけですが、把握したニーズ・期待は、そのあとでどのように取り扱われて、実践をされるのでしょうか。
箇条4.2で把握する利害関係者のニーズや期待は、その後、「順守義務」というものを決めるときに考慮することになります。順守義務というのは、皆さん方の会社が守らなければならないこと、または守ると決めたことですね。
「順守義務」を決めたら、それを果たすための計画を作ります。継続的改善の必要のあるもの、汚染予防に向けて大きな改善を行うものがあれば、環境目標になることもあるでしょう。こうしてできた計画や目標を実施して、ちゃんと出来たかどうかを監視、測定、分析、評価していく、という大雑把な流れになります。こんな感じで利害関係者のニーズや期待は、具体的な取組になっていくということですね。
例を使って説明をすると、海外に製品を輸出しているお客さんから「ヨーロッパのRoHS指令で規制されている有害物質は提供しないでね」という要望を受けたとします。これはお客さんという利害関係者からの要望ですが、これを守らなければ取引が終わってしまうかもしれませんよね。だからこのお客さんの要望は、守らないといけません。
こうして「RoHS規制物質を提供しない」ということが、わが社の順守義務になります。これを具体的にどうやるかというのを、箇条6.1.4で取組計画を立てるわけですね。例えば化学物質管理システムを、何月何日までに、誰それさんが中心になって、このような段取りで導入する、みたいなことを決めるわけです。
そして計画に取り組んで、計画通りにことが進んだかどうかをチェックする、という流れになっていくんですね。
箇条4.2の規格要求事項
では箇条4.2の規格要求事項を見ていきましょう。a)からc)までの、3つのことを決めなさい、と言っています。
これまで説明してきたことを踏まえると、だいたいわかってもらえると思います。
まず最初のa)は、皆さん方の会社の環境マネジメントシステムに関連する利害関係者が誰なのかを決めなさい、ということですね。
次のb)は、その利害関係者から求められている、皆さん方の会社に影響を与えるようなニーズや期待を決めなさい、ということです。
そして最後のc)は、決めたニーズや期待のうち、皆さん方が守らなければならないもの、または守ると決めたものは何かを決める、ということですね。この先の箇条6.1.3で順守義務として受け入れるべきニーズ・期待を決める、ということでもあります。
箇条4.2と文書化について
ところで、箇条4.2は、文書化の要求はありません。ですので、これらのニーズや期待を、なにかの様式に書いてまとめておくということはしなくてもいいんですが、私の個人的なおすすめとしては、書き残しておいたほうがいいんじゃないかと思っています。
ここで決めた利害関係者のニーズや期待の一部は、箇条6.1.3では順守義務になります。箇条6.1.3では文書化の要求があるんですね。なのでここでニーズや期待を書き残しておくと、あとで順守義務をまとめるときにいろいろ便利かなと思います。