【2022/9/20更新】2022年(令和4年)2月16日から、令和元年度・3年度補正予算として「ものづくり補助金」公募が開始されました。このページでは
「ものづくり補助金に申請したいが、申し込みできるだろうか」
「ものづくり補助金に申請したいが、採択されるだろうか」
と心配される方に向けて、"10分でだいたいわかる"よう、解説をしています。
株式会社マネジメントオフィスいまむら 代表取締役 今村敦剛 ものづくり補助金支援実績は、過去10年間で142件です。そのうち102件が採択で、採択率は約71.8%です。(2021年実施ものづくり補助金では7件支援中6件採択。採択率85.7%) 支援先の社長さんから「訴えてやる!」と言われるような失敗もたくさんしているので、ものづくり補助金の注意すべきポイントはほぼ理解しているつもりです。こうした経験に基づいて、2022年度ものづくり補助金の概要について、初めての方にもわかりやすいよう、対話形式で解説します!
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令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」っていったい何?
ポイント
- 「ものづくり補助金」とは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略。国(中小企業庁)の補助金施策
- 生産性向上を目的とした革新的な取り組みに対して、750万円~3,000万円の補助金が交付される
『ものづくり補助金』ってよく聞くけど、一言でいうと何なの?
国による補助金施策だよ。「ものづくり補助金」に採択されると、最高で3,000万円の補助が受けられるんだ。
まあ3,000万円をもらうにはいろんな条件があって大変だろうけどね。一般的には750万円~1,250万円程度だと思っておいたほうがいいかもね。
それでもまずまずの金額だね。もう少し詳しく教えて!
下の表に簡単にまとめたよ。まずはこれを見れば、ものづくり補助金のだいたいのところはわかるんじゃないかな。
『補助上限額』とか『補助率』とか、よくわからないなあ……
例えばだけど、1,000万円の設備を買うとするじゃない?補助率が1/2というのは、このうちの半分(500万円)が補助金の対象になるということだね。ただしもらえる補助の上限が1,000万円と決まっているので、5,000万円の設備を買おうと、100億円の設備を買おうと、もらえるのは1,000万円までということだね。
「ものづくり補助金」の対象となっている経費は決まってるんだ。基本的には設備投資のための費用(機械装置費)だね。人件費や販促費などは対象にならないね。
でも1,000万円近くもらえるってオイシイなあ? さっそく申し込もう……アイタタ!ちょっと!引っ張らないでよ!
うまい話ばかりじゃないんですよ。ちゃんと条件や義務を満たさないと、この「ものづくり補助金」は簡単にもらえないからね。応募にあたっての注意点をまとめたので、よく読んでね。
- 審査の目的(革新的な開発、生産性向上など)に沿っていないと採択されない
- 成長が期待できる分野、収益が見込める分野でないと採択されにくい
- 財務基盤が弱いと採択の可能性は低い
- 申請時・申請後の事務処理が多くて大変?
- ウソの申告をすると詐欺罪で告訴される可能性も
- ケースによっては、補助金返還する義務がある(決してタダでもらえるわけではない)
- 業種や申込プランによって採択率のバラツキが大きい
「ものづくり補助金」には審査があります。毎年、数万社の応募があり、その中で審査項目に合致している度合いの高い企業が採択されます。そのためには審査で求められていること(革新性や成長性、収益性、財務基盤)を満たすことはもちろんですが、その後の事務処理を円滑に行える体制を持つことなども要求されます。ウソの申請はもちろんダメだし、補助金をもらっても返納しなければならないケースもあるから、注意してくださいね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の申込プランについて
さっきの表で、「通常枠」とか「グリーン枠」とか書いていたけど、あれは何なの?
申込プランだね。通常枠というのが、いちばんオーソドックスな申込プランなんだけど、それに加えて、特定の要件を満たす企業は、回復型賃上げ・雇用拡大枠やデジタル枠、グリーン枠に応募ができるんだよ。2022年度ものづくり補助金では5つの申込プランがあって、その全体像がこれです。
回復型賃上・雇用拡大枠は、赤字だけど賃上げをガッツリやる企業で、デジタル枠はデジタルを使ってすごいことをやる企業、グリーン枠は環境にやさしい取り組みをする企業、そしてグローバル展開型は、グローバル化をねらう企業が申請できるってことだね。
そうだね。申込プランによって、補助率と補助上限額が変わるんだ。でもいいことばかりではなく、例えば回復型賃上・雇用拡大枠だと、賃上げを実施できなかったら補助金を全額返還するといった義務も課せられているから注意が必要ですよ。
令和4年度(2022年度) 「ものづくり補助金」のオフィシャルな資料はあるの?
そういえば『国の補助金』って言ってたよね?ということは、この補助金について、国から何か告知はされているの?
うん。2月16日に10次締切の
公募要領(10次締切分1.0版)が公開されたよ。これが公募に関する全てといっていいので、しっかりと読み込んでね。
そう言うと思った。じゃあ公募要領も含めて、これまで明らかになっている主なポイントを整理するね。
2022年度ものづくり補助金の主なポイント
- 令和4年度内にも、複数回の締切を設け、それまでに申請のあった分を審査し、随時、採択発表を行う
- 事業実施期間(正式な交付決定から発注・納品・支払いを完了するまでの期限)は交付決定日より10ヶ月(グローバル展開型は12ヶ月)以内
- 補助上限額は申込プランによって変わる(上記の表を参照)
- 事業計画期間において、「給与⽀給総額が年率平均1.5%以上向上」、「事業場内最低賃⾦が地域別最低賃⾦+30円以上」を満たすことが申請要件。要件が未達の場合は事業者に対して、特別な事情がある場合を除き、補助⾦額の⼀部返還を求める
- 経営革新計画・事業継続力強化計画認定企業、創業・第二創業後まもない事業者、パートナーシップ構築宣言を行っている事業者、再生事業者等は事業者は加点
- 申請時点で、過去3年以内に2度同じ補助⾦を受給している事業者は申請不可。3年以内に1度受給している事業者は減点
- 電子申請システムによる申請
これらのポイントの詳しいところは、あとあとちゃんと説明するので安心してね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」はいつから公募が始まるの?
ポイント
- 12次受付:令和4年9月1日(木)
- 12次締切:令和4年10月24日(月) 17時
- 採択発表:12月中旬
12次締切受付は、令和4年9月1日(木)からはじまっているよ。申請締め切りは令和4年10月24日(月)17時だね。採択発表は12月中旬の予定です。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」は、何回募集があるの?
ポイント
2022年度「ものづくり補助金」では、13次締切が最終公募の予定です。
これまでは年4回のペースで行われてきたよ。今公募中の12次締切後は、13次締切が2022年度における最後の公募になる予定だよ。
それは今の時点ではわからないね。今年度の補正予算(令和4年度補正予算)の全貌が明らかになったら、わかるんじゃないかな。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の採択率はどの程度なの?
ポイント
- 過去の傾向だと、「ものづくり補助金」の採択率はだいたい4割程度。ただし、最近は上昇傾向
- 直近の(9次締切)の採択率は62.1%。今後もこの水準の採択率が維持される可能性も
そういえばさっき、「ものづくり補助金」には審査があるって言ってたよね?審査って結構厳しいの?
過去9回の公募の採択率を、事務局が公開しているんだ。それを見てもらおうか。
申込が多いと採択率が低く、申込が少なくなると採択率が上がっていく感じだね。
そうだね。5次締切以降は申請者数も減少傾向なんだよね。これは、別の大型補助金(事業再構築補助金)の公募が始まった影響だと思われるよ。
なるほど。ということは、しばらくはものづくり補助金は狙い目かもしれませんね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の申請資格ってあるの?
ポイント
- 日本国内に本社及び実施場所を有する中小企業者および特定非営利活動法人
- みなし大企業ではないこと
- 補助対象外事業ではないこと
- 付加価値額が年率3%以上向上、かつ、事業計画期間(補助金交付後3~5年間にわたって)において給与支給総額が年率平均1.5%以上向上、かつ、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の3つを満たすこと
- 申請締め切り日前10ヶ月以内に同一事業(令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)の採択決定及び交付決定を受けた事業者は申請できない
- 申請時点で、過去3年以内に2度同じ補助⾦を受給している事業者は申請不可
私の会社が「ものづくり補助金」に申し込む資格があるかどうかは、どうやったらわかるの?
公募要領を見たらわかるよ。2022年実施「ものづくり補助金」の公募要領における申請資格を見てみようか。
みなし大企業とは
まずは「みなし大企業」は申請の資格がありません。「みなし大企業」とは、企業の規模は中小企業なんだけど、実態として大企業の一部とみなされるような会社のこと。具体的には
公募要領を確認してくださいね。
補助対象外事業とは
補助対象外事業は、この「ものづくり補助金」の申請内容としてふさわしくないもののことです。これも要件がたくさんあるんだよ。
たくさんあるの?やだなあ。特に気をつける点だけ教えてよ。
ファブレスは対象外。事業の主たる課題の解決そのものを他者に丸投げするのは対象外。実質的に労働を伴わない事業、専ら資産運用的性格の強い事業は対象外、購入した設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるよ うな事業は対象外ってあたりかな。他にも要件はいくつもありますので、詳細は
公募要領を確認してくださいね。
その他、補助の対象とならない案件について
その他、下記のようなケースも対象外だね。2022年度「ものづくり補助金」では賃上げの約束(年率平均1.5%以上の賃上げ、最低賃金+30円など)も、申請する上での条件となります。
- 付加価値額が年率3%以上向上、かつ、事業計画期間(補助金交付後3~5年間にわたって)において給与支給総額が年率平均1.5%以上向上、かつ、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の3つを満たすことが必須条件
- 既存の機械設備の機能を高め又は耐久性を増すための設備投資は申請不可
- 補助事業実施場所が他社事業所の場合(ただし、賃借契約等で自社使用が可能なことが明白であれば補助対象)は申請不可
- 申請締め切り日前10ヶ月以内に同一事業の採択決定及び交付決定を受けた事業者は申請不可
- 申請時点で、過去3年以内に2度同じ補助⾦を受給している事業者は申請不可
事業活動を通じて生み出した新しい価値のことで、営業利益+人件費+減価償却費で計算されるものだね。これが毎年3%以上向上する程度の革新的な取り組みが必要ということだから、控えめに言って結構儲かる取り組みというのが前提だね。
従業員に支払った(または支払う予定の)給与の全体額のことだね。具体的には「全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与等は含み、福利厚生費や退職金は除く)をいいます 」と定義されており、これが毎年平均で1.5%以上増加するということだから、毎年まずまずの昇給をするというのが条件になるということだね。
でも、給与支給総額のたった1.5%でしょ?大丈夫じゃない?
とんでもない!毎年1.5%ずつアップなので、5年計画だと7.5%アップなんですよ。場合によっては、交付される補助金の額より人件費を増やす必要がある可能性があります。ちゃんとシミュレーションしてから申請をしてね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の「賃金引上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「雇用拡大枠」について詳しく教えて
「ものづくり補助金」の「賃金引上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「雇用拡大枠」について詳しく教えて!
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の対象となる経費って何?
ポイント
- 「機械装置費・システム構築費」の計上が必須であり、かつ、もっともポピュラーな費目
補助金の対象となる主な経費は「機械装置費・システム構築費」だったよね?つまりは工作機械とかの設備の費用ってこと?
うん、そうだよ。それ以外にも補助金の対象となるものもあるよ。具体的には次の経費が対象経費だね。
なんだ。「機械装置費・システム構築費」以外にもいっぱい使えそうじゃん!?
そうなんだけど、実際のところは「機械装置費・システム構築費」がもっとも(というか圧倒的に)ポピュラーな費目だね。
ソフトウエアやシステム構築費も対象だから、必ずしも設備産業じゃないとダメということでもないね。ただし、補助金の交付下限額が100万円と決まっているので、機械装置等を含む200万円以上の買い物をする必要があるよ。結構大きな買い物が伴う業種に限られるだろうね。
これまでは中古品は原則ダメだったけど、この度の公募から、認められる中古品の基準が明確になっているよ。詳しくは公募要領を確認してね。
その企業が自社だけで使うようなソフトウエア、システムの構築費のことだろうね。パッケージソフトや汎用のシステムなどは、IT導入補助金という別の補助金の守備範囲なので、ものづくり補助金では申請対象外だろうね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」を申請してから交付されるまでのスケジュールは?
ポイント
- 補助事業期間内の発注、納品、支払いに限られる
- 事業実施期間は交付決定日から10ヶ月以内(採択発表日から12ヶ月後の日まで)
まあ機械装置費・システム構築費だけでも、補助してもらえたら助かるよねえ。
そうだね。でも特に気をつけないといけないのは、発注や納期のことなんだ。
機械装置やシステム構築の発注と納品、支払いをする時期と期間があらかじめ定められているんだ。そしてその期間は交付決定から10ヶ月以内(グローバル展開型は12ヶ月以内)と決まっているんだ。
このご時世、だいたいの工作機械は10ヶ月もあれば納品できそうだけど、特注品や専用ソフトウエアの開発なんかだと、きつそうだよね。
「ものづくり補助金」の辛いところは、行政が定めた期間を厳守しないといけないことだね。2022年度「ものづくり補助金」のスケジュールは下記のとおりです。(12次締切の場合です)。応募した時期に応じて、それぞれ補助事業期間内に、発注・納品・支払いを完了させなければならないんだ。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の申請書の書き方・入力方法は?
ポイント
- 電子申請なので、Webフォームに事業計画書を入力する。肝心な部分(審査対象となる事業計画書)はPDFを添付する
- 採択されるポイントは「審査項目を網羅すること」と「審査項目について納得感あるように記述すること」
「ものづくり補助金」では「事業計画書」を作成し、それが審査される、っていう話だったよね。
もちろん。まず重要なのは、電子申請のWebフォームに、必要事項をきちんと書くということだね。
ふむふむ……Webフォームに入力すればいいのか。かんたんだね!
ただし、一番肝心な部分(審査対象となる部分)の「事業計画書」は、Word 等で作成の上、PDF 形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付することになっているね
うん。「その1・その2・その3」は計10ページ以内であり、ファイル名は所定の名称でなければならないという決まりがあるよ。公募要領を読むと、10ページ以内にしないと絶対にダメ!というわけではなさそうだけど、こういうルールは逐一守ったほうがいいね。
所定の様式を使ってルール通りに書くのは当然のこととした上で、審査項目をしっかり押さえて書かないといけないんだ。
されているよ。まずは「審査項目をモレ・ヌケのないように書くこと」がとても大切。そのうえで、審査項目の内容を納得感のあるように、飛躍や矛盾のないように、しっかりと書き込むことが必要だね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」審査のポイント(審査項目)って何?
ポイント
- 審査項目は13個
- 技術面、事業化面、政策面の3点に及んでいる
- グリーン枠は独自の審査項目がある
公募要領に書いているよ。まとめると次のような感じだよ。
「技術面」「事業化面」「政策面」にわかれているね。
そうだね。ざっくりといって
- 「技術面」は取り組もうとしている内容の技術的な課題や解決方法を説明する部分
- 「事業化面」は、どう販売促進していくかを説明する部分
- 「政策面」は、申請企業の取り組みが、国の政策と合致していることを説明する部分
といったらいいかな。
グリーン枠には独自の審査項目もあるので、注意してくださいね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の審査体制・審査方法ってどんなの?
ポイント
- 審査員は5名体制
- 地域での審査の後、中央で審査する2段階方式
- 誰がどの企業の申請書を採点するかはわからない(専門性に応じて振り分けたりはしていないもよう)
ものづくり補助金の審査体制として、一つの申請にたいして5名で審査をするといわれているよ。技術面を審査する人(技術士や企業OB等)、事業化面を審査する人(中小企業診断士、税理士、大学教授等)、そして政策面を審査する人です。
その審査員が、上記の審査項目に対して、それぞれ採点をするんだそうだ。例えば技術面の①の項目については4点、②は8点などと点をつけ、それを審査員全員分を集計して、申請ごとの点数を定めるという方法なんだって(実際はもう少し複雑にやってるようですが)。つまり、採点はあくまでも審査項目に対して行われているわけだね。
そういうこと。審査項目を熟読し、そこに要求されていることに素直に、簡潔に、しかし具体的に答えるということが必要なんだね。
「ものづくり補助金」の審査員って分野別に分けられてるの?例えばウチは機械加工業だけど、ウチの申請書は機械加工のことを熟知している審査員が読む、みたいな?
いや、どうもそうじゃないみたいだね。誰がどの企業の申請を審査するかわからないので、「何を」「なぜ」「どう」取組むのかを明確かつ簡潔に伝えなければならないんだ。そうじゃないと「ものづくり補助金」の採択は難しいだろうね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の採否を決める最重要ポイント「革新性」って何?
ポイント
- 最も重要な審査項目は「革新性」(技術面①)
- 革新性ある取り組みでなければ、この補助金はほぼ採択されないとみてよい
- 革新性とは「自社になく、他社でも一般的ではない」ということ
13個も審査項目があると大変だね? この中でも「コレは特に重要!」っていうのはあったりするの?
あるある。超重要な審査項目は「革新性」と呼ばれる点で、これが採否を決めると言っても過言ではないね。
簡単に言うと、革新性とは
「自社になく、他社でも一般的ではない、新しい取り組み」のこと(
中小企業庁技術・経営革新課係長の発言より)。他社でも一般的ではないということなので、必ずしも取り組む内容が日本初や世界初のようなナンバーワン、オンリーワンでなくても構わないよ。
「革新性」っていうくらいだから、AIとかロボットとか、そういう最先端技術を取り入れないといけないってこと?
最先端技術でなくてもいいよ。既存の技術を活用したものであっても、それを使った製品や生産プロセスに目新しさがあればいいんだよ。
うーん、それでもウチの会社に「革新性」なんてないよお……?
中小企業庁 創業・技術課の課長補佐がこの
ページで「採択のポイントはずばり『革新性』」と言っているように、
革新的な取り組みでなければ、この補助金はほぼ採択されないと思って間違いないね(キッパリ)。
もともと、
中小企業庁の任務の一つが、中小企業に経営革新を促すことなんだよ。で、この「ものづくり補助金」という制度を使って、中小企業の経営革新を促進したいというのが行政の意図だからだろうね。だから
「古い設備を更新します」という内容では、絶対に採択されない。
なんとかしてよお……それを考えるのがコンサルの役割でしょ?
そう言われると思って、「ものづくり補助金」における「革新性」についての解説動画を作っているから、これをまずは見てみてよ。そのうえで、このブログの過去記事でも革新性について解説しているので、参考にしてくださいね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の加点項目・減点項目って?
ポイント
- 最大で6項目加点の可能性がある
- 過去3年以内に同じ補助⾦を1回受給している事業者と、回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合は減点
ところで、「ものづくり補助金」では、審査項目以外にも「加点項目」というのがあるって知ってる?
加点項目は、さまざまな政策にそった取り組みをしている企業に対しては、審査で優遇するよということだね。2022年度ものづくり補助金の加点項目を見てみようか
最大6項目(デジタル枠は7項目)の加点が可能(添付書類は最大6点)、と
公募要領には書いているね
短時間労働者にも健康保険や厚生年金保険などを適用しようよという動きがあるんだけど、人件費増につながるので中小企業は難色を示してるんだよね。それを加速するために、「ものづくり補助金」の加点項目にするんだろうね。
加点要素になるからといって、安直に「任意適用します!」とするのも、いろいろ問題があるかもね。
確かにね。あと、2022年度「ものづくり補助金」では、過去3年以内に同じ補助⾦を1回受給している事業者は減点されるみたい。
事務局が公開しているデータを見ると下記のとおりだね。過去交付なしと比べても、そんなに大きな違いはないように見えるけどね。
加点要素をいっぱい満たさなきゃ採択されないんでしょ?
まったく満たしていないと厳しいかもしれないけど、あくまでも「加点」に過ぎないので、やりすぎないようにね。審査項目に対する記述を充実させるほうが筋だと思うよ。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の電子申請ってどうするの?
ポイント
- 電子申請にはある程度のITリテラシーが必要
- 締切間近になるとサーバー負荷が大きく、申請ができなくなる恐れがある
PCやネットに慣れていない人だと苦戦するだろうね。まずまずのレベルでITリテラシーが求められると言っていいと思うよ。
中小企業ではPCに不慣れな人も多いっていうのにね。
たしかにね。申請者というよりも、事務局側は大幅に楽になるんだろうけどね。
「ものづくり補助金」の電子申請ってどうやってやるの?
J電子申請の利用準備も含めた大まかな流れは下記のとおりだよ。経済産業省はGビズIDプライムの申請方法を
わかりやすい動画でも説明しているので、参考にしてね。
締切間近になるとサーバー負荷が大きくなって、アクセスすらできなくなる恐れがあることには気をつけてね。
締切よりも早く申請するようにしたほうが安全だね。他に気をつけることはある?
電子申請では、申請データ(ものづくり補助金の事業計画書)がそのまま審査員に送られる(審査員がダウンロードする)仕組みになっているようだね。従来は、各都道府県の中央会で紙ベースの申請書をいったん受け付けた後、書類の不備チェックを事務局でしてたんだけど、それができないようだよ。なので書類に重大な不備があると、それだけで審査対象外とみなされる可能性があるね。公募要領を読み込んで、ミスがないように、しかも締切間際とならないようなスケジュール管理が必要だね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の事務処理って大変なの?
ポイント
- 採択された後にも結構な量の事務処理が必要
- ある程度の事務処理能力と、事務処理をやり抜く覚悟が必要
電子申請も大変そうだけど……もしかして採択された後も、いろいろと大変だったりするの?
うん、かなり大変だよ。あれやこれやと書類を用意しないとけないんだ。とにかく書類の山ですね。
うへぇ……ウチ、中小企業だから、そんな余裕も人材もないよ……
だからそういう体制があるかどうかも審査項目の一つになってるんだよ。採択されるということは、そういう体制があると認められたとも言えるので、責任と覚悟をもって、採択を受けた事業者側も、「ものづくり補助金」の事務処理に臨む必要があるね。
公募要領を読むかぎりでは、「交付申請以降の手続きは、原則、全部Jグランツ上で行います」と書いているね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」に取り組む上でのリスクってあるの?
ポイント
- 感染症や資材不足、資材高騰、燃料高騰、戦争等による経済の影響を考慮に入れないと、後で「こんなはずじゃなかった」ということになります
- 5年間にわたる報告義務、利益が出た場合の返納義務等、さまざまな義務が生じます
最初は「ものづくり補助金ってお金がもらえておいしいな」と思ってたけど、知れば知るほど大変そうだよね……
そうそう。僕みたいな怪しいコンサルはいい話しかしないけど、「ものづくり補助金」にはたくさんのリスクがあることも知っておかなきゃね。リスクがあることを考慮に入れたうえで、取り組むかどうかを検討しなきゃいけないだろうね。
いま、世界的に経済は大きく揺らいでいるからね。最大のリスクは、感染症はもちろん、資材不足、資材高騰、燃料高騰、戦争等による経済の影響がどう転ぶか誰にもわからないところにあると思うよ。この補助金では特に、年率1.5%以上の従業員の賃上げを行うことが必須なので、3~5年間にわたって資金繰りに及ぼすインパクトをよくよく考えないと「こんなはずじゃなかったのに」というハメになりかねないね。
そういった経済の影響を乗り越えるために、起死回生の策としてこの補助金を狙っちゃダメなの?
まあ、考え方は企業によるだろうけど、こうした経済的な逆風の中、先行投資や賃上げによる資金繰りの悪化で即死する可能性もあるので、注意してくださいね。
その他にもいろいろリスクはあるので、注意してくださいね。
参考(ものづくり補助金のリスク)
- 僕みたいな怪しいコンサルの言うことをうのみにせず、自分でも公募要領をしっかり読み込まないと「話が違う」ということになりかねません
- 補助金は後払いです。機械装置等の取得には、補助金交付より前に支払が必要です。感染症の影響による経済の冷え込み等を考慮して、資金繰りに注意してください
- 場合によっては、交付される補助金の額よりも人件費を増やす必要がある可能性があります。経済の冷え込み等を考慮して、申請をしてください
- 補助金の申請のためだけに、被用者保険の任意適用や賃金を一時的に操作することはやめてください。それが知れると従業員のやる気が低下する可能性があります
- 申請時の事務処理(書類作成)はもちろんのこと、採択後、事業完了時、および事業が終了した後5年間にわたり、事務処理(書類作成)もしくは監査が発生します。書類の分量も多くて煩雑ですが、これらにすべて対応するための人手、手間を捻出しなければなりません
- 虚偽の申請や、書類の日付等を改ざんすることは、補助金の不正受給に該当します。企業名の公表、刑罰、加算金の請求等のペナルティがあるので絶対にやめてください
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」の返納義務って何?
ポイント
補助金は原則として返済不要ですが、返納が求められるケースが2つあります
- 補助事業(補助金の交付を受けて行う事業)の結果により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合
- 賃上げの未実施の場合
ん?さっき、リスクの説明のところで「補助金を返すことがある」みたいなこと言った?
えええー!補助金ってタダでもらえるものじゃないの?
補助金をもらうといろいろと義務が生じる、とも言ったよね。その義務の一つが返納義務で、法律でも決まっていることなんだ。「ものづくり補助金」の場合、次に挙げるの2つのケースのいずれかに該当すると、交付された補助金の返納を行う必要があるんだよ。
収益納付について
収益納付とは、下記のような場合に補助金の一部を返納する制度のことだよ。ちょっと引用しようか。
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」等の規定により、補助事業(補助金の交付を受けて行う事業)の結果により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納していただく場合があります(これを「収益納付」と言います)。 (平成29年度補正小規模事業者持続化補助金資料より引用)
「収益が生じたら返還」って、ウチの会社は毎年ちょっとずつだけど黒字だよ。黒字だったら補助金を返さなきゃいけないの?
ここでいう「収益」とは、あくまでも補助事業の結果による収益のことなんだ。つまり、補助金の申請書に書いた「革新的な取り組み」に限定されている。だから、会社の決算で利益が出たか(黒字決算であったか)とは関係はないよ。会社全体は利益が出ていても、補助金の申請に記載した事業(=申請書に書いた「革新的な取り組み)で収益が生じていなければ、返納の必要はないね。「ものづくり補助金」の場合、事業終了後5年間にわたって義務となっている毎年の事業化報告において、補助事業でどの程度の収益が生じたかを申請する必要があって、この申請内容に基づいて収益納付の有無が判断されるね。
ところで
公募要領によると「年率平均3%以上給与支給総額を増加させた場合や最低賃金を 地域別最低賃金+90円以上の水準にした場合等」は、公益に相当程度貢献したとして、収益納付は免除されるようだね。
会社全体じゃないときいてちょっと安心したけど……補助金の申請書に書いた「革新的な取り組み」の収益と言われても、そういうデータはすぐに出せるかどうか……
原価計算のようなことはしっかりとやっておいたほうがいいだろうね。このあたりは税理士さんと相談してみてね。
賃上げの未実施について
賃上げもしないと、補助金は返還することになるんだ。
そうだね。次のような場合にも、補助金額の一部を返還することが求められるようだね。
- 事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。
- ただし、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を越えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。
- 事業計画中の毎年3月時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。
(公募要領より引用)
天災はまだしも、「付加価値額が目標通りに伸びなかった場合……」ってどういうことだろう?
要は「儲からなかったら賃上げしなくてよい」ということだね。詳しい条件は上記の通りですが、かなり条件が複雑なので、よく読み込んで、シミュレーションをしてくださいね。
令和4年度(2022年度)「ものづくり補助金」に申請する上で役に立つ情報について
マネジメントオフィスいまむらが過去にホームページにて分析したお役立ち情報です。申請書の作成に際してご参考ください。
更新履歴(2022/4/2以降)
- 4/2 第10回締切公募要領1.0版公開に伴い、内容を全面的に見直し
- 9/20 第12回締切公募要領1.0版公開に伴い、内容を全面的に見直し