おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回は「資源有効利用促進法」について解説をしたいと思います。資源有効利用促進法は、いわゆる3Rに取り組みなさいという法律なんですが、今回は3Rとはなにかという話も含めて、資源有効利用促進法の全体像を解説をしたいと思います。(全2回の2回目)
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【環境法令解説シリーズ】資源有効利用促進法&3Rってそもそも何なん?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 環境法令解説シリーズ、今回は「資源有効利用促進法」について解説をしたいと思います。資源有効利用促進法は、いわゆる3Rに取り組みなさいと ...
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資源有効利用促進法の対象10業種
まずは対象となっている10業種を見てみましょう。対象業種は、その措置の内容にしたがって、おおきく2つに分けられています。
まずは「特定省資源業種」というものです。これは、製造の過程などで出る副産物が出ないようにすることや、副産物のリサイクルをすることが求められている業種です。
例えばですが、、紙・パルプ製造事業者の場合、紙やパルプを作る過程で、スラッジという廃棄物が出ます。スラッジとは、製紙に使えないカスのことで、パルプの繊維や紙の中にある石の粉なんだそうです。こうしたスラッジは、基本的には埋め立て処分をするんだそうですね。3Rの考えでは、埋め立ては避けるべきでしたよね。そこで紙・パルプ製造事業者には、こうしたスラッジがそもそも出ないように、製造設備を整備することが求められています。これが「副産物の発生抑制」、reduceにあたる義務ですね。そしてスラッジは、実はリサイクルができるんだそうです。例えばスラッジを脱水、乾燥、焼却して 「スラッジ灰」というものを作ります。その「スラッジ灰」は、土壌改良材として再利用できるようなんですよね。これは「副産物のリサイクル」にあたる義務です。こうしたreduceとrecycleをやりなさいと決められているのが、この特定省資源業種です。
つづいて、特定再利用業種が5業種ありますね。これは、再生資源や再生部品を使うことが求められている業種です。例えば、複写機製造事業者は、リコーさんとかキヤノンさんとかでしょうけど、使用済の複写機からまだ使える部品をとって、新品の複写機に使うことが求められています。これは「部品の再使用」、reuseにあたる義務ですね。こうしたreuseをやりなさいと決められているのが、この特定再利用業種です
資源有効利用促進法の対象69品目
では続いて、対象となっている69品目を見てみましょう。対象製品は、その措置の内容にしたがって、おおきく2つに分けられています。
まずは「特定省資源化製品」です。これは、製品の省資源化や長寿命化の設計などが求められている製品で、自動車やパソコン、家電製品などが対象です。例えばですが、、パソコンメーカーは、小さくて軽い筐体や部品を採用すること、部品の規格化などによって、原材料等の使用を合理化することが求められています。
続いて「指定再利用促進製品」です。、例えばユニットバスのメーカー、ToTOとかリクシルさんでしょうけど、部品としてリサイクルできる原材料を使用することなどが求められています。ユニットバスはFRP製のものが多いんですけれども、FRPってリサイクルが難しいんですよね。なのでリサイクルの難しいFRPではなく、別の素材を使うような製品設計をしなさいと求められているのが、「指定再利用促進製品」ですね。
その他の措置が必要な製品や業種
以上が資源有効利用促進法で取り組みが求められている10業種・69品目ですが、これ以外にも措置が必要な製品や業種があります。
1点目は「指定表示製品」です。これはみなさんよくご存知だと思います。容器包装とかカン・ビン・ペットボトルに、こういうマークがついていますよね。これは「リサイクルができるので、分別してくださいね」というサインなんですが、こうした表示をつけることを求められているのが「指定表示製品」です。こうした表示がないと、我々消費者は、何がリサイクルできるのかがわからないですからね。
つづいては「指定再資源化製品」です。これは、事業者による回収・リサイクルを行うべき製品のことです。使用済みのパソコンは、この法律によって、メーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。この法律が出来たときは、メーカーが唯一の回収ルートだったんですよね。なので昔はこの法律を「パソコンリサイクル法」と呼んだりすることがありました。しかし、2013年に「小型家電リサイクル法」が施行されてからは、一部の家電量販店などでもパソコンの回収が行われるようになっていますね。同じように二次電池も、家電を販売しているお店や自治体の施設などに回収ボックスがあったりしますね。
そして最後「指定副産物」です。これは電気業と建設業にのみ義務付けられていて、副産物をリサイクルすることが求められています。例えば建設業は、工事現場で出た廃材等を分別して、リサイクル施設に持っていくことが求められています。
この法律で求められている事業者の義務は、ばくぜんとreduce,reuse,recycleしましょうというだけではありません。国は自主回収・再資源化について「判断の基準」という、目標のようなものを定めています。その「判断の基準」にしたがうことが事業者の具体的な義務になります。
また、一定規模以上の「特定省資源業種」は計画書を策定し、主務大臣に提出も必要です。例えば特定省資源業種のうち、パルプ・紙製造業は、年間の生産量が6万トン以上の事業者の場合、計画書を策定し、経済産業大臣に提出する必要があります。こうした計画書を提出しないなど、国が定めた「判断の基準」に対して取り組みが著しく不十分な場合には、国から勧告を受けます。勧告を受けても改善しなかった場合は、50万円以下の罰金が科されますので、注意しないといけませんね。