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なぜ武蔵野の小山昇氏が信奉されてぼくみたいなコンサルが信奉されないのか(8割やっかみの記事)(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村です。

知床遊覧船やビッグモーターのコンサルティングをしていた株式会社武蔵野の小山昇氏。SNSでは諸悪の根源と呼ばれる向きもありますが、なぜ氏がそれほどまでに経営者の信奉を集めるのでしょうか。「権威への服従」というキーワードから考察します。

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権威ある人に服従したくなる気持ち

人には「権威に従いたくなる」という性質があるといわれます。この性質は「ミルグラム効果」として心理学で知られています。1960年代、スタンリー・ミルグラムが実施した実験では、権威ある研究者の指示で他人に電気ショックを与えるよう求められた被験者の多くが、その命令に従いました(もちろん、従わなかった人もいます)。

武蔵野の小山さんに権威があるかどうかは、議論の余地があるでしょう。しかし小山さんは、一般のコンサルタントとは違い、ダスキンの加盟店業務という現業を持ち、その成功を背景にコンサルティングサービスを行っています。2000年には「日本経営品質賞」を受賞し、コロナ前では年間40億円近くの売上があったと言われています。この実績は、ぼくのようなそこらへんのコンサルタントとは比較にならないほどすごい実績です。

一般的に、コンサルタントや経営者の能力は、売上や利益、組織の拡大度合いによって評価されます。これは、最も判断しやすい指標だからです。しかしそれだけでは全てを評価できません。事業継続計画(BCP)のように、未来のリスクを予測し対策を講じる仕組みづくりも、経営者としては非常に大切な仕事です。しかし、これらの取り組みは一般には評価されにくいんですよね。理由としては、BCPの価値を理解するには一定の知識や経験が必要だからです。逆説的ですが、地震とか水害とかで事業継続上の問題に直面した経営者でなければ、その必要性を感じにくいのです。それに対して、売上や利益の増減は、経営未経験者でも評価しやすいんですよね。

この際たる例がビッグモーターです。ビッグモーターは、入庫1台あたりの売上の拡大に盲目的に走って、事件や事故を未然に防ぐ内部統制の仕組みづくりを怠りました。知床遊覧船も同様でしょう。それが今回の一件の一因といえます。武蔵野の小山さんが内部統制の重要さを兼重氏や桂田氏に説いたかどうかはわかりません。説いていないのであればコンサルとしての職務怠慢だろうし、説いたのにもかかわらず兼重氏や桂田氏が従っていないのであれば、小山氏の権威は、拡大志向に限定的なものだったのかもしれませんが。

ともあれ、大きな組織や高い売上・利益は、コンサルタントや経営者の権威を高める要素となります。そして、それらの実績を持つコンサルや経営者の言葉には、一般に高い信頼性が感じられて、従いたくなってしまうのでしょう。

 コンサルタントが自分の権威を高めてくれるように感じる気持ち

「権威への服従」というキーワードは、別の側面でも、小山さんを信奉する理由になります。武蔵野の経営理論にハマっている経営者自身も、その経営者の会社のなかでは「権威」なんですが、自分の「権威」を高めてくれるようなことを小山さんが言ってくれるので、気持ちがいいのだと思います。

一例ですが、東洋経済オンラインに掲載されている小山さんの記事で『ナンバー2が「イエスマン」の会社が伸びる理由』という記事があります。この記事には次のような小山さんの言葉が載っています。

では、社長が最もコミュニケーションを取らなければいけない相手は誰だかわかりますか? それはその組織の「ナンバー2」です。組織の実力は、「ナンバー2の実力」に比例する、といって過言でありません。

社長が「右!」と言ったとき、「ナンバー2」も「右!」と言う組織は、業務改善が進みます。一方で、「ナンバー2」が社長の方針に逆らって「左!」と言う組織は、破綻します。社長の方針が実行されないからです。

人には「他人に自分の意志を伝えて、従ってもらいたい」という欲求を持っています。この欲求は「支配欲」や「征服欲」とも呼ばれ、経営者になれば強く感じるものです。この欲求は、経営者という「役割」が生み出す特性といってもよいかもしれません。(興味のある方は「スタンフォード監獄実験」を参照してみてください。批判のある実験ではありますが)

したがって、多くの経営者は、社長としての自分の意向が従業員に伝わり、実行される組織を目指しています。小山さんのアドバイスは、この欲求を肯定してくれるものなので、経営者にとっては耳障りがよいのでしょう。ただし、社員が社長の言う通りに動くという考えは、社長が常に正しい決定を下すという前提に基づいているので、その点ではリスキーであると思います。

ところで、ビッグモーターの経営計画書にも、武蔵野の経営理論に基づく思考が見られると言われています。報道によると、「経営方針の執行責任を持つ幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」という記述があったそうです。これも、幹部の権威を強化する手段としての考え方が、非常に武蔵野的であると言えるでしょう。また、ビッグモーターの板金車検部門は事実上、社長の息子である副社長が指揮していたようです。副社長が部下にパワハラLINEを送ったりした背景には、偉大な先代の後継者として舐められない程度の権威を欲していたのかもしれません。まあ、擁護も共感もできませんけど。

長くなりそうなので、明日に続きます。

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