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【2023 事務年度金融行政方針】金融機関による中小企業支援の方向性を読む(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

8月29日、金融庁は、2023事務年度の金融行政における重点課題および金融行政に取り組む上での方針を、「金融行政方針」として公表しました。この資料を読むと、金融機関による中小企業の支援のあり方について金融庁がどう考えているのかがわかります。2回にわたって解説をします。(今回は「1.社会経済情勢の変化に対応した事業者支援の推進」を解説)

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金融庁「2023 事務年度金融行政方針」はこちら

(1) 事業者支援の一層の推進

コロナ禍での事業者支援は、主として実質無利子・無担保融資を含む資金繰り支援が中心であったが、社会経済清勢が変化する中、金融機関においては、資金繰り支援にとどまることなく、コロナ借換保証や資本性劣後ローン、認定経営革新等支援機関(税理士や弁護士等)や中小企業活性化協議会による各種支援ツール、中小企業基盤整備機構や地域経済活性化支援機構(REVIC)等のファンド、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」等を活用しながら、事業者の実清に応じた経営改善支援や事業再生支援等を、先延ばしすることなく実施していく必要がある。

コロナ借換保証は、今年1月から開始された、新型コロナ対策として実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済負担を軽減するため新たな保証制度のことです。詳しくはこの過去記事をご覧ください。資本性劣後ローンとは、借入金であるにもかかわらず、金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができる資金のことです。こちらも詳しくはこの過去記事をご覧ください。また、中小機構やREVICのファンド(融資ではなく事業の将来性を考慮に入れた出資)のことにも触れていますが、要は単なる融資ではなく、企業の様々な資金需要に対応した資金繰り支援をやる、ということです。この方針はこれまでと同じ方向性であると言えるでしょう。

(2) 事業者支援能力の向上

事業者支援に携わる地域の関係者の連携・協働に向けた働きかけを面的に進めるとともに、地域金融機関の現場職員が事業者支援のノウハウを共有する取組を後押ししていく。現場職員が担当先の経営改善支援に当たって優先順位付けを行う際に活用しうるAlモデルの更なる高度化に関する研究を進め、金融機関での活用に向けた課題を整理する。あわせて、現場職員が経験に関わらず円滑に事業者支援に取り組めるよう、「業種別支援の着眼点」(2023年3月公表)について、その対象業種の拡充と普及促進に取り組む。

「現場職員が担当先の経営改善支援に当たって優先順位付けを行う際に活用しうるAlモデル」というのはあまり聞いたことがないのですが、この資料によると、企業の財務データなどを入力すると、経営改善の必要性が高いと考えられる先を教えてくれるようなAIモデルのようです。また「業種別支援の着眼点」は一般にも公開されている資料です。この資料はなかなか使える資料で、ぼくも必要に応じて見ています。もう少し深く説明してほしいなあという記述もありますが(例えば小売店版の品揃えのことは、2~3店舗を運営する企業規模を想定しているので、52週MDの考え方みたいなものまで書いているとさらによい)、門外漢の入り口としては及第点の資料だと思います。

こうしたよい資料やツールも用意されているので、金融機関だけではなくわれわれ中小企業支援者も活用したいですね。

また、地域金融機関における再生支援人材・担い手の拡充とその能力の高度化に向けて、REVICの有する事業再生支援に関する知見・ノウハウを手引きとして集約し、実践的な研修等を通じて地域金融機関の現場職員に展開する事業を進めていく。

REVICがでどれほどの事業再生ノウハウを持っているのかは知りませんが、事業再生は(個人的なイメージとしては)かなり特殊な機会で、実際に支援した人でないとわからないことがたくさんあるので、こうした経験シェアの場は実際の支援にも役立つと思います。

さらに、多様化する事業者の抱える課題・ニーズに対して、地域金融機関による支援を後押しする。例えば、地域企業の経営人材ニーズに応える地域金融機関の人材紹介の取組に関して、REVIC が整備する人材プラットフォーム(REVICareer:レビキャリ)の活用促進に取り組む。また、地域金融機関による事業者のデジタル化支援を関係省庁と連携して後押しする。

レビキャリとはREVICの地方金融機関が共同で行っている人材マッチングサービスのようなものですね。都市部の大企業で働く管理職と地方の中小企業の人材需要をマッチングさせるサービスなんですが、どこまでうまくいくのかという懸念はあります。一般的に都市部の大企業の管理職の人は、みんながみんなそうだとは言いませんが、考え方が地方の中小企業の人とかなりギャップがありますからね……(失敗事例をいくつも見たことがあります)。

地域金融機関による事業者のデジタル化支援を関係省庁と連携して後押しする、というのは、具体的にどういう施策なのかはよくわかりません。中小企業庁がみらデジというのをやったり、補助金を出したりしていますが、それ以外にもなにかあるのかもしれません。

事業者支援の更なる促進に向けた対応

地域金融機関による事業者の経営改善支援や事業再生支援等については、これに実際に取り組む地域金融機関のビジネスモデルや地域金融機関職員個人のインセンティブと整合的なものであることが望ましい。こうした観点から、事業者支援をめぐる課題を調査・分析し、それを踏まえた事業者支援の促進策について検討を進め、対外的に発信していく。

具体的には、地域金融機関を取り巻く経済・ビジネス環境等が地域金融機関の事業者支援の取組姿勢に与えている影響や、事業者支援に関わる地域金融機関職員個人の評価・育成・キャリア形成に関する組織としての考え方や制度等を調査・分析していく。

「具体的には」と例を挙げていますが、それでもまだ総論的というか抽象的すぎて、どういう施策に落とし込まれるのかがよくわかりません。調査・分析の段階なので仕方ないですけど。

あわせて、地域金融機関のビジネスモデルにおける、事業者へのデジタル化支援事業や人材紹介事業等の位置付けや収益管理の状況、これらの事業を行うに当たっての外部人材の活用や内部人材の育成策などについても調査・分析する。

これもよくわかりません。これもまだ調査・分析の段階なので、これから具体的に決まっていくのでしょう。

明日は「2.事業者の持続的な成長を促す融資慣行の形成」について解説します。

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