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企業における「褒める」と「認める」ということ

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

従業員の動機付けについて語るとき、「褒める」ことと「認める」ことの2つが重要だとよく言われます。褒めるというのはわかりやすいのですが、認めるというのはどういうことを言うのでしょうか。今日は「認める」ことの事例をお話ししましょう。

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褒めると認めることの違い

「認める」というと、どんなイメージがありますか?認めることと褒めることは、一見よく似ているように思えますが、違いがあると僕は思っています。

褒めるということは、言葉で評価をすることではないかと思います。しかし認めるということには必ずしも言葉は必要ありませんし、評価をすることとも限りません。たとえば、テストで良い点をとった子供に対して「すごいね!」と褒めることがあります。言葉にしなければ「すごい!」と褒めることは難しいですし、取った点数についてすごかったか、すごくなかったかという、自分の評価がその言葉の中には含まれています。

一方、テストで良い点をとったことを認めるのは、「テストで90点とったんだね」と、自分の評価を挟まず事実を述べるだけでもできますし、以後は子どもの勉強のやり方に口を挟まないという行動をもって認めることもできます。必ずしも言葉は介在しませんし、評価もありません。そして、褒めることと認めることは、どちらが効果的かというと、私は認めることではないかと思います。

企業における「認める」ということ①

ある会社での環境整備(3S・5S活動)を支援したときの話です。この会社では、5〜6名程度の少チームで環境整備活動に取り組んでいました。少チームでは、月に最低でも1度、環境整備に関するミーティングの場を設けていました。

この会社のあるチームでは、ミーティングでパートさんが収納に関する素晴らしいアイデアを出しました。それは、伝票の保管に透明なウォールポケットを使えば、伝票の中身も見えて便利だというアイデアでした。チーム全員がそのアイデアに納得したので、早速ウォールポケットを購入して、伝票の保管に活用しはじめました。それを始めたとき、アイデアを出したパートさんは、こう語りました。

「これまでは、私はパートだから、自分の意見を言ってはいけないのだと思っていました。しかし、会社ぐるみで環境整備活動を始めてから、自分でも意見を言っていいのだとわかりました。自分のアイデアにみなさんが賛同してくださって、こうも早く実現するとは思ってもいませんでしたし、とても嬉しく思っています」

パートさんがアイデアを出したことについて、皆が賛同し、アイデアを実行に移したという点で、メンバーに「認め」られています。きっとこのパートさんはこの先、壁にかかったウォールポケットを見るたびに、自分が出したアイデアが実現したという嬉しさを噛み締めながら仕事をすることでしょう。

企業における「認める」ということ②

またこの会社では、認められる場として、環境整備活動の成果発表会をすることにしました。自分たちが決めて取り組んだ結果、職場がどんなふうになったのかを、経営者や上司、同僚に発表する機会です。

この発表会を開催したときに、僕の印象に残っていることがあります。ある小グループのリーダーが発表したときのことです。1年間、職場で何をやり、どう変化したのかを、スライドを使いながら10分くらいで説明していたのですが、最後のほうで感極まって涙を流したのです。涙を流すくらい、環境整備活動に入れ込んでいたのでしょう。発表中は別に誰も褒めるような言葉を投げかけたわけではなく、チームリーダーの発表を聞いていただけです。リーダーにしてみれば、自分の努力や苦労を同僚や上司、経営者に聴いてもらうということで、感極まったということです。このような発表会は、本人の努力や苦労を「認める」場であったと言えます。

認めることは、持続力ある意欲を喚起する

褒めるということは確かにうれしいことではあります。しかし「ここまでやったのだから私は褒められて当然だ」とか「ここまでやったのに褒めてくれなかった」という風に、褒められること自体を求めてしまい、それが叶わないことによって反対に不満が高まるということもあります。これはあくまでも評価の軸を他人に預けているので起こることです。

一方で認めることは評価ではありません。褒めることよりも、じわじわと本人の内面から気持ちが湧き上がるような、持続力のある意欲を喚起するのではないかと思っています。

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