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ブログ 5S・OKR

危機感を煽ることは万能ではない

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

先日、経営者の方と話をしているなかで、従業員に危機感を持たせることが難しいよねということが話題にあがりました。これは本当に難しいことです。僕の体験談を少しお話したいと思います。

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赤字続きで潰れるかもしれないというのに……

ある会社を支援し始めた時のことです。その会社は4年連続で赤字で、売上高は年々減少をしていました。社長は大きな危機感を覚えていたので僕に仕事を依頼されたのですが、当社の従業員には全く危機感がありませんでした。

全社員が集まる場を設けて、財務の悪さ加減を説明しました。さすがに会社の実態がわかれば危機感も高まるだろう……という目論見でした。確かに会議の場ではそれなりに反応があり、「これから会社を変えるために頑張ります」などという発言は聞かれます。しかし会議が終わって数日もすると、また日々の業務を黙々とこなすだけのこととなり、会社を大きく変えるような新しいこと(新サービスの実施や、大幅な在庫削減方法の検討など)への取り組みは、いつのまにかトーンダウンしてしまうのです。

全体会議で財務状況を説明して危機を訴えることを2~3度繰り返しましたが、いつもトーンダウンして終わります。社長も意を決して「この1年で結果が出なければ会社をたたむ」とまで訴えても、やはりトーンダウンして活動は収まっていくのです。(話をした直後は皆で盛り上がるんですけどね)

危機感を煽るという方法が間違いではないか?

僕は気になって、当社の従業員数名に話を聞いてみました。なぜこの状況でも、会社を大きく変えるような新しいこと(新サービスの実施や、大幅な在庫削減方法の検討など)に取り組まないのかと。すると、

「会社を変えなければとは思うけれども、自分のアイデアに自信がない」

「気持ちはあるが、やり方がわからない」

などという声が聞こえてきました。

これは僕の失敗でもあるのですが、人は危機感を覚えれば自ずと動くと思い込んでいたのかもしれません。しかし危機感だけ植え付けても、危機を脱するための具体的な方法がわからなければ行動にはならないのです。

「何かを変える」に慣れていく

このような発言を聴いて、僕と社長は作戦を見直しました。危機感を煽り、いきなり一足飛びに会社の改革を実現するのではなく、「何かを変える」ということに慣れていくための小さなステップを作ることにしたのです。

それが環境整備(3S・5S)でした。要らないものを捨てることや、要るものを使いやすいように置いておくということは、危機感を煽らなくても、比較的従業員には受け入れられやすいことです。そのうえ、捨てることや置き方を考えることは、それほど難しい知識や技術、経験が求められるものではありません。しかもやればすぐに「きれいになった」「探しやすくなった」という形で結果に表れます。

まわりくどいようですが、この環境整備を行う仕組みを整えることから始めたのです。すると彼らは、環境整備のために自主的に従業員同士で集まって話し合うようになり、自らアイデアを出し、職場を変えていくようになったのです。

話し合い、アイデアを出し、実行する。望むような結果がでなければ、また皆で問題点と改善点を話し合う、という問題解決手法が環境整備を通じて体得されていきました。そして、小さなことではありますが、自分たちが職場に変化を起こしているという実感が生まれ始めた時から、大きな改革にも着手ができるようになったのです。その結果、この企業では、2年後には売上減少に歯止めがかかり、4年後には単年度で黒字を出すまでに業績が回復しました。

「危機感」は万能ではない

危機感を覚えることが、今までにない新しいことに取り組むきっかけになることは多いと思いますし、それを否定はしません。しかし危機感が万能かというと、そうとも言えないでしょう。上記の例のように、危機感を覚えても方法論がわからなければ行動にはなりません。

もっとも、危機感を覚えることも難しいことです。私たちは報道などで「ここ〇年以内に巨大地震が起きる可能性は〇%」というような予測を耳にすることがありますが、どれくらいの人が、いまだ起きてもいない巨大地震に対してじゅうぶんな備えができているでしょうか。危機感は、実際に危機に遭遇しないと持ちにくいものでしょうし、危機に遭遇したとしても、その後は徐々に危機感は薄らいでいくものです。僕も阪神淡路大震災を神戸市内で経験しましたが、そんな僕でも防災用備蓄品を一切所有しておらず、東日本大震災の時に、あわてて買いそろえるというようなことをしています。

自分の生命や生活に直結していることでさえそうなのです。まして、会社の行く末に危機感を持ってもらうのは容易ではありません。数字上、赤字であろうが現預金が目減りしていようが債務超過状態であろうが、自分には毎月遅延なく給与が振り込まれていると、そこまでの危機感は覚えないのです。

危機感は万能ではありません。危機感を煽るよりも、変えることに抵抗の少ないこと(例えば環境整備)を見つけ、そこから「変える」ということに徐々に慣れていくという方法も、現実的な解決策ではないかと思います。

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