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事業再構築補助金第12回公募 一新された審査項目を読む(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

4月23日に公開された事業再構築補助金第12回公募要領では、審査項目がそれまでのものから一新されました。新しくなった審査項目を、数回に渡って見ていきたいと思います。

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事業再構築補助金第12回公募 一新された審査項目を読む(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 4月23日に公開された事業再構築補助金第12回公募要領では、審査項目がそれまでのものから一新されました。新しくなった審査項目を、数回に ...

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(3)事業の実現可能性

①事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。

これは前回(11回公募)までの事業化点③の審査項目と全く同じですね。

審査項目では「中長期での」と書かれていますので、補助金を得て事業を将来的に行う上(少なくとも補助事業終了後3~5年)での課題を挙げる必要があります。例えばですが、新規事業を進めるうえでの一般的な課題としては、事業をスケールアップさせるための運用体制をどうするか、リソース(人材や設備の確保)をどうするか、新規事業は一般的に認知度が低いので認知度向上をどうするか、といった点があるでしょう。また時事的な面では、人手不足や不安定な為替レート、原料高・電気代高騰といった点も課題(というかリスク)になりえます。こうした将来的な課題を踏まえる必要があります。

②最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。

これは財務基盤の良し悪しが評価されるということなので、提出する決算書や事業計画書その4「収益計画」とその算出根拠、ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報も含めて評価されるものと思われます。端的に言うと財務基盤の弱い企業(例えば債務超過、流動比率が低い、借入金月商倍率が高い、借入金の年間想定返済額に対してキャッシュフローが少ない等)は評価がされない、ということです。

補助金をもらっても、財務基盤が弱ければ事業をスケールアップさせる可能性が低くなるわけですから、この審査項目はかなりシビアに見られると考えるのが妥当です。

③補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。(第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか。)

この補助金は新規事業(新製品を新市場に投入)をする企業に対する補助金です。新規事業の立ち上げにはものすごく労力がかかりますので(頭数としても、立ち上げに関わる人材の能力としても)、その体制があるかどうかというのは重要なポイントです。

この補助金は「コロナ対策」の補助金なのですから、コロナで影響を受けた分野の仕事をしていた人材を、新規事業にシフトさせるという内容が最もしっくり来ると思います。

しかし「第三者に過度に依存している事業ではないか」というのは、多重下請け構造で事務局業務を運営せざるをえない補助金制度が言うとクスッとしますね。

(4)公的補助の必要性

①川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価。

「川上・川下への経済波及効果が大きい」というのは、この新規事業が成功すれば川上(仕入先や協力会社)との取引額も増えるし、川下(顧客や、顧客の先のエンドユーザー、代理店等)との取引額も増える、というものです。「社会的インフラを担う事業」といっても幅広いので悩みますが、この補助金はあくまでも「コロナ対策」の補助金なので、コロナのようなロックダウンの影響を受けにくい(つまりロックダウンされたとしても需要が減らない)社会的インフラ事業を考えるのがよさそうです。

②補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性等)が高いか。

前回(11回公募)までの再構築点③と同じ審査項目です。

「補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模」というのは例えば、補助金を3,000万円もらったとして、補助事業終了後3~5年の付加価値額が、もらった補助金額(3,000万円)よりも増える、というイメージでしょう。つまり国から見たとき、出した補助金以上に儲かるということですね。(ただそこまで付加価値額が向上するようだと、補助金の収益納付の対象になると思います)

③先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。

前回(11回公募)までの再構築点④と同じ審査項目です。

「先端的なデジタル技術の活用」というのはAIとかIoTとかブロックチェーンとかをイメージするとわかりやすいです。また「新しいビジネスモデルの構築」というのは、過去の記事で紹介した「オープン/クローズ戦略等を通じた知財化戦略や標準化戦略による参入障壁の構築、研究開発やブランディング・標準化を通じた高い付加価値・独自性の創出、サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築すること」などの、他社が模倣困難なビジネスモデルが参考になるでしょう。

④本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

この審査項目がいまでも残っているところから見ると、この補助金が創設された当初の趣旨である「コロナ対策の補助金」という位置づけは健在だということですね。ですのでやはり事業計画の大筋から、コロナの影響やコロナ対策としての記述を省くことはできないと当社では考えます。

⑤国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。

これは全く新しい審査項目です。この審査項目の意図は、「補助金が本当に必要かどうか」を評価するためと考えられます。

補助金はそもそも、社会的・経済的な価値が創出される事業に対して資源を集中させたいという政策的な考え方に基づいて行われます。つまり「社会的・経済的な価値が創出される事業をやりたいけれども資金がない」「リスクが大きい」からと、事業の実施を逡巡している企業を後押しすることが目的といえます。ですので企業が自己資金で容易に事業を行える状況である場合、補助金の必要性が低いと見なされるため、補助金の交付対象としては不適切と判断される可能性があります。

このような視点から、事業計画書を準備する際には、事業が補助金なしには困難である理由や、補助金によってどのような追加的な価値が生まれるのかを明確に示すことが重要です。

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