おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条9.1.1「一般」を解説します。モニタリング・測定・分析・評価はかなり重要です。それは、やらないと◯◯のリスクがあるからですが……?
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箇条9.1.1の位置づけ
まずは今日解説をする箇条9.1.1「一般」の位置づけを確認しましょう。
箇条4では、労働安全衛生マネジメントシステムの確立と維持を求めていましたね。
箇条5では、トップがやるべきことを定めていました。箇条6では、リスクと機会、関連する法律などを明らかにして、目標を作ることを求めています。箇条7では、必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備します。箇条8では、計画をさらに具体化し、実行に移していきます。
箇条9では、こうして運用してきたマネジメントシステムの状態をチェックします。今日はそのうち箇条9.1「モニタリング・測定・分析・評価」の中の、9.1.1「一般」を解説します。
モニタリング・測定・分析・評価とは何か
箇条9は、「決めたルールを守り、計画通りに行動し、それによって良い結果が得られているかどうか」を、様々な方法で確認することを定めた重要な項目です。その中でも、特に箇条9.1.1では、「どのような方法で、いつ、どんな内容をモニタリングし、測定し、分析し、評価するのか」を決める必要があると求めています。ここでは、モニタリングや測定、分析、評価という言葉の意味と、それぞれの重要性について考えてみましょう。
まず、「モニタリング」とは、状況を確認するために、定期的に観察やチェックを行うことを指します。例えば、作業員がルールを守っているか、危険な行動をしていないかを確認するのがモニタリングにあたります。定期的な観察を通じて、安全が確保されているかどうかを把握するのが目的です。
次に、「測定」は、数値を用いて何かの量や大きさを具体的に計測することです。例えば、工場内の騒音レベルを測って、その数値が安全基準内に収まっているかどうかを確認することが測定の典型例です。測定によって得られたデータは、正確な判断の基礎となります。
「分析」では、測定によって得られたデータをもとに、現状の問題やその原因を探る作業を行います。例えば、事故が特定の時間帯や場所で多く発生している場合、その原因を突き止めるためのパターンを見つけることが分析にあたります。何が事故の要因になっているのか、なぜ同じような問題が繰り返されるのかを明らかにするために重要なプロセスです。
そして、「評価」は、分析結果をもとに、現在のルールや対策が効果的であるかどうかを判断するステップです。もし今の対策が不十分であれば、追加の処置が必要かもしれません。この段階で、今後どのような改善策を講じるべきかを考えることが重要です。
「モニタリング・測定・分析・評価」がなぜ必要なのか
これらの「モニタリング・測定・分析・評価」がなぜ必要なのかを、労働安全衛生の具体例を挙げて説明しましょう。
例えば、工場や建設現場などで働く作業員の安全を確保するためには、まず「モニタリング」が重要です。作業員が適切な保護具を着用しているか、機械を安全に操作しているかをチェックすることで、事故の発生を未然に防ぐことや、事故のリスクを発見することができます。
また、「測定」では、騒音や粉塵のレベルを測ることが労働安全衛生の一環として行われます。騒音レベルが一定基準を超えていないか、空気中の有害物質の濃度が健康に害を及ぼさない範囲に収まっているかを測定することで、これもまた事故の発生を未然に防ぐことや、事故のリスクを発見することができます。
次に、「分析」は、例えば作業中に怪我が多発している場合、その原因を特定するために行われます。怪我が特定の機械の使用中に集中しているのか、特定の時間帯に多いのかをデータから見つけ出すことができます。これにより、機械の使用方法に問題があるのか、あるいは作業環境が適切ではないのかといった原因を突き止め、改善策を考えることができます。
最後に「評価」では、分析結果に基づいて、既存の安全対策が効果を発揮しているかを確認します。例えば、特定の時間帯に作業員を増やすことで怪我の発生が減少したか、騒音レベルを下げるための対策が健康に良い影響を与えているかを評価し、必要であればさらなる対策を講じることが求められます。労働安全衛生においては、この評価を通じて、職場環境が常に改善され、安全が確保されているかどうかを判断することが非常に重要です。