おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ、箇条9.2「内部監査」について解説をします。規格要求事項の解説のほか、安全衛生パトロールの違いや、内部監査員が持つべき知識や技能についても説明をします。
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ISO45001:2018 9.2 効果的な内部監査のために、どんな知識やスキルが必要?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ、箇条9.2「内部監査」について解説をします。規格要求事項の解説のほか、安全衛生パトロー ...
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内部監査と巡視(安全衛生パトロール)との違い
労働安全衛生においては、内部監査とよく似た取り組みとして、法律で義務付けられている「巡視(安全衛生パトロール)」があります。巡視も内部監査も、どちらも労働安全衛生を守るための重要な活動ですが、目的や実施方法に違いがあります。両者の違いを見ていきましょう。
まず法的根拠の違いです。巡視(パトロール)は、労働安全衛生規則第6条、11条、15条で、安全管理者や衛生管理者、産業医による現場巡視が義務付けられています。一方で、ISO 45001の内部監査は、企業の自主的なマネジメントシステム運用の一環であり、法的な強制力はありません。
目的の違いもあります。巡視・パトロールは、現場での危険源の発見やリスク低減を目的とし、即時的な対応を重視しています。一方、内部監査は、組織が規格や自社の目標に適合しているか、そして労働安全衛生の取り組みが効果を上げているかを確認するために行います。
範囲の違いはどうでしょうか。巡視・パトロールは、現場や作業環境の状態、設備、安全ルールの順守状況を重点的に確認します。一方、内部監査は、現場の状況に加え、文書や記録の確認も含めた、プロセス全体、システム全体を評価します。
頻度の違いについてです。巡視・パトロールは、法律で定められた頻度があります。特に衛生管理者は少なくとも毎週1回、産業医は、原則ですが、少なくとも毎月1回の巡視を行うことが義務付けられています。一方、内部監査は、年1~2回程度の実施が一般的でしょう。
最後に、実施者にも違いがあります。巡視・パトロールは、現場に近い管理者や衛生管理者、産業医が担当しますが、トップマネジメントや部門長も参加することがあります。一方で内部監査は、監査対象の部門から独立した客観性と公平性を持つ内部監査員が実施します。
このような違いがあるわけですが、まとめると、巡視・パトロールは、現場での確認や問題解決に重点を置いている一方で、ISO 45001の内部監査は、システム全体の適合性と有効性を評価し、組織としての長期的なパフォーマンス向上と継続的改善を促すことに重点を置いている感じですね。
このような違いがあるので、内部監査と巡視・パトロールを一緒に兼ねてやる、というのはちょっと難しいかもしれませんね。ただ、PDCAでいうところのチェックの取り組みであるということは両者に共通していますので、相互に補完し合う形で活用することが理想的かなと思います。
労働安全衛生マネジメントシステムの内部監査員が持つべき知識や技能
最後に、労働安全衛生マネジメントシステムの内部監査員が持つべき知識や技能について説明します。
この図は、私が個人的にまとめたものですが、監査員に求められる知識や技能を例示しています。
労働安全衛生の内部監査員は、幅広い知識と技能を持つことが求められます。例えば、内部監査員が、現場での保護具の正しい取り扱いを理解していれば、粉じん作業現場で適切なマスクが使用されているかを確認することができます。もし、正しくないマスクを使っていれば、それを指摘することができるので、結果として、作業者のじん肺発症リスクを低減することができます。このように内部監査員に適切な知識があることは、組織の労働安全衛生パフォーマンスを向上させることに繋がります。
とはいえ、内部監査員の全員が、必ずしも安全衛生の専門家であるはずもないですよね。一朝一夕に完璧な知識や技能を身につけることはできませんが、内部監査員の教育訓練を地道に積み重ねていき、計画的に力量を向上させていくしかないでしょうね。さらにいうと、全ての内部監査員が完璧な知識を持つ必要もありません。監査チーム全体としての力量が充実していれば、監査の有効性を高めることができます。かくいう私自身もすべての領域に精通しているわけではありません。監査先の危険源やリスクを考えながら、どのような知識が必要かを見極めて、少しずつ成長していくしかないんでしょうね。
いきなり完璧な内部監査もできませんので、計画的に監査員のレベルアップを図ったり、チェックリストも適宜見直していくなどして、内部監査も継続的に改善を図って頂ければと思います。