おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
令和6年(2024年)度補正予算における中小企業政策のうち、生産性向上・省力化・成長投資支援策を概観してみます。特に新設の部分を中心に考察します。
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令和6年度補正予算案 中小企業政策
令和6年度補正予算案 中小企業政策・小規模事業者等関連ポイント
令和6年度中小企業・小規模事業者向け補正予算(案)
令和6年度補正予算PR資料(中小企業庁関係抜粋)
生産性向上支援の拡充
これは従来の中小企業生産性革命事業です。設備投資や取引実態等に合わせた補助上限・枠・要件見直し等、細かな変更等はありますが、基本的には従来どおりの政策ですね。
例年のごとく、事務局が決まった後に公募が行われますので、公募開始は早くても1月以降だと思われます。
新事業への進出にかかる支援の推進
「新事業進出補助金の創設」と書いていますが、これは事業再構築補助金の看板をすげ替えた施策だと思われます。各方面からあれだけ批判されたにもかかわらず、看板をすげ替えて継続するのは、(表面的には)基金にあまりがあるからだと推察できる書きっぷりです。
この記述を見る限りは、事業再構築補助金とあまり変わりがありませんが、こちらも細かい要件の変更があると思われます。また予算が1,500億円程度とのことですから、それほど採択数も見込めないと思います。
成長支援の新設・強化
「中小企業成長加速化補助金の創設」とありますが、これは新設事業のようですね。PR資料には以下のように書かれています。
売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の潜在的な投資を最大限引き出すため、大胆な設備投資を支援する。また、新事業・新分野進出、M&A等の中小企業が抱える高度な課題を解決するための官民一体での支援体制の構築や海外展開支援、人材育成・人材確保への支援、これらの支援に必要な基盤整備等を実施する。
パッと見た感じ、この後の大規模成長投資補助金との違いがよくわかりませんが、中小企業成長加速化補助金は中小企業向け、大規模成長投資補助金はどちらかというと中堅企業向けという大まかな位置づけがあるのではないかと思います。そのうえで中小企業成長加速化補助金は「官民一体での支援体制の構築」と書いているように、中小機構の専門家派遣事業と組み合わせて利用できる施策っぽいですね。(最近は「伴走型支援」に力を入れていますので、それを政策として具現化したのではないかと思われます)
ただ予算は、他の生産性革命推進事業(ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金等)と同じおサイフなので、中小企業成長加速化補助金単独で割ける予算規模は、それほど大きくなさそうですね。建物費も含んでいるとはいえ、上限額はそれほど大きくないのではないかと思います。
その次の中堅・中小成長投資補助金ですが、これは2年目の施策になります。拡充のポイントとして「大企業から経営人材を受け入れる中堅・中小企業に対する給付金を拡充」とあります。これも伴走型支援を具現化したものと言えるでしょう。(ただ、個人的な観測範囲の話なんですけど、大企業OBによる経営顧問ってほとんど有効に機能しないんだけどなあ)
100億企業育成ファンド出資事業は、昨年あった「中小グループ化・事業再構築支援ファンド出資事業」が看板をすげ替えたものではないか……と思います。昨年までの予算が120億円だったのが、今回は30億円まで激減しているので、まああまり効果的な施策ではなかったんでしょうね。
省力化投資支援の運用改善
「オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援の新設」とあるのが大きな変更点だと思います。これはものづくり補助金17次・18次締め切りで公募されていたオーダーメイド枠が、省力化補助金に移行したものだと推察されます。