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具体的な数値目標が従業員のやる気をそぐ可能性について

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

具体的な目標数値を掲げて、中長期的な展望のもとで事業をすることは、経営のセオリーと言ってもよいでしょう。それに異論をはさむつもりはないのですが、そのような数値目標が従業員に与える負の影響について、事例を紹介したいと思います。

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中長期計画に面従腹背の管理職

これは僕自身のかつての経験です。かつて会社勤めであったとき、経営者が中長期計画を打ち出しました。結構野心的な数値目標を伴う計画であり、これまでの事業を根本から見直すようなものだったことを記憶しています。僕自身は、その計画を結構気に入っていました。もちろん、従来の延長線上にない計画ですから、達成するには相応の努力が求められるものですが、何よりも「そうなるといいな」「そうなってほしい」という、僕にとっては夢のある計画だったと言っていいでしょう。経営者の発表する中長期計画に、大いに動機づけられた僕でした。こういう気持ちにさせることは、計画や目標のよい側面ですね。

ところがです。僕の直属の上司が、この中長期計画に面従腹背の姿勢なのです。長期的視野に立って計画の達成に向けて動くどころか、その時、その場限りが良ければいいという上司の姿勢にイライラして、ある日思い切って中長期計画の実現についてどう思っているのかを、上司に聞いてみました。すると

「あんな数字、実現できるはずがないじゃないか。無理無理。」

という返答がありました。

僕としては目の前が真っ暗になりました。僕は経営者の計画や目標に共感して、そのために力を尽くしたいという気持ちなのですが、上司は公表された数字の実現性を否定しており、計画や目標に向かう意欲が全くなかったからです。そのくせ、経営者の前で上司はそのような態度はおくびにも出さず、いかにも自分が経営者の理解者であるかのようにふるまっていました。

そのような管理職のもとで、計画が進展するはずはありません。当然のごとく何年たっても、会社も部署も、成長・拡大はせず、損益分岐のあたりをうろうろしているばかりでした。僕のモチベーションは下がる一方でした。

具体的な数値目標の逆効果

いかに素晴らしい計画や目標であろうとも、それを実行するのは、部署の管理職を中心とした現場です。特にその管理職に、計画・目標を尊重する姿勢がなければ、かえって不満足を巻き起こす可能性があります。僕の上司の姿勢は論外ですが、そのような人を上司の立場に据え置いている経営者にも責任があります。経営者も、そのような管理職に対して理解を促すようもっと働きかけるべきですし、場合によっては管理職を変えるという選択肢もあったはずです。しかし経営者自身も何もしなかったのですから、計画が実現できなかったのは経営者の責任でもあります。

僕はこの一件以来、具体的な数値目標を立てそれを下位に展開していくことが、そもそも本当に経営に効果的なのか、という疑問を持つようになりました。数値目標に対する受け止め方は人それぞれです。僕の上司のように目標を「無理だ」とはなから否定する人もいますし、僕のように共感をする人もいます。人にはいろんな思惑や関心ごと、考え方、姿勢があるのが当たり前であり、「経営者が作った目標だから」というだけで、全ての従業員が疑いなく目標を受け入れることができるとは限りません。むしろ、そういうことはあり得ないと言い切ってもいいと思います。僕の例でもあったように、目標に共感しない人が一人でもいれば、その人の影響を受けて、周囲もモチベーションがさがっていく可能性だってあるのです。

最近では、そもそもはじめから「数値目標を設定しない」という考え方も

企業として作りがちな数値目標は「〇年後に売上高〇万円」とか「営業利益率〇%」「従業員数〇人」というものです。数字自体には心躍るようなものが感じ取りにくいものですし、むしろ具体的であるがゆえ、突っ込みどころも多くなります。数字目標を設定することは一般的ではありますが、万能ではないことに留意が必要です。

数値目標のこのような逆効果もあってか、近年では、そもそもはじめから数値目標を設定しないという考え方もあります。例えば「ティール組織」という最近のベストセラー本でも、具体的な数値目標は立てない代わりに、「存在目的」を明確にして共有するのがよいと語られています。決して利益や売上をないがしろにしているわけではありませんが、ティール組織の考えとしては、存在目的を実現するために動いた結果として売上や利益があるのであって、売上や利益そのものが目的ではないというような言い方をしていますね。

何のために数値目標を定めているのか、そして数値目標は本当に必要なのか、改めて自分自身にも問いかけてみたいと思います。

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