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支援先企業の管理職を泣かせてしまった話

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

今日もコンサル失敗談をお話しましょう。僕は支援先企業の管理職を上から目線で追い詰めて泣かせてしまったことがあります。本当にひどいコンサルタントですよね……。それは、人間には理屈だけでは割り切れない、感情というものがあることをじゅうぶんに理解していなかったから起きたことでもあります。

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仕事はよくできるが一匹狼という部門長

その会社には、目標管理制度の導入と推進支援という契約で出入りをしていました。部門ごとの目標は設定したので、その進捗を毎月確認し、計画通りに進まないことがあれば、その原因をみきわめ、解決するという役割を僕は担っていました。

その会社のとある部門長は、30代の女性でした。仕事はよくできるが一匹狼――というのが経営者の評価でした。そういった評価だからか

「今村さん、彼女の進捗確認は、厳しくお願いしますね」

と言われていました。

目標・計画に対してなんのアクションもない

そしてこの部門長さん、困ったことがありました。目標を立て、計画も作成しているにも関わらず、それに対して全く何も取り組まないということが2〜3ヶ月続いたのです。

「厳しくお願いします」という経営者の言葉が頭にこびりついていた僕は、その部門長さんに詰め寄ってしまいました。

「もう3ヶ月近く何もやっていませんが、どうしてですか?」

「目標の先にある、会社のビジョンや中期経営計画に対してどう思っているのですか」

「行動しない上司のもとで、部下は自らすすんで行動しようと思うでしょうか?」

「どこかでこの目標管理を他人事だと思っているのではないですか?」

などと、質問のカタチは取っているものの、明らかに部門長に対する批判です。批判されても仕方ないだろう、と僕は心のどこかで思いながら、正論をぶちまけていたと思います。

静かに涙を流し、黙ったままの部門長

するとその部門長は、涙を流し始めました。でも何かを訴えるでも釈明するわけでもなく、ただ黙って泣いていたのです。

一方的に批判をしていた僕は、涙にたじろいでしまいました。所詮僕の批判なんてこんなもんですよ(^_^;)信念から批判していたのではなく、経営者から「厳しくしろ」と言われたのでポーズとしてやっていただけだったのでしょう。目の前で涙を流す部門長に対して、オロオロとしているしかありませんでした。

結局のところ、「来月からはちゃんとやってくださいよ」という妥協とも言える落とし所を見つけて、その場は乗り切ったのですが……次の月もその翌月も、部門長は決めたことをやるわけでもなく、目標管理は停滞したままでした。

打開できない僕の力量を見限ったのか、それとも従業員を泣かすような上から目線のコンサルの正体を見たためか、やがてコンサル契約も破棄となりました。有り体に言えば、クビですね。

正論で追い詰めることに意味はない

いま、この文章を書いていて改めて思うのは、当時の僕のアプローチの仕方がバカ正直というか、何も考えていないというか、緩急織り交ぜた老獪なピッチングができていない、ということです。

今になってはよくわかりますが、目標管理制度になじまないという人は一定数いるものです。自身の経験上や性格的な理由で「管理されること」を極端に嫌う人もいますし、「今まで自由にやってきたのに急に管理されるようになって息苦しく思う」という変革に対する抵抗からくることもあります。

納得できないこと、自分の性格上どうしても認めたくないものを、真正面から正論で説き伏せ、追い詰めることでその人の考え方を変えることはできるでしょうか。この部門長のように、マイナスの方向に感情を揺さぶり、かえって頑なな態度にさせることだってありうるわけです。それを当時の僕はわかっていませんでした。

目標管理に積極的にならないその人の態度をじゅうぶんに肯定をして、その上で本人の気持ちを引き出し、その上でその人が何をどこまでやれるかという妥結点を探るような「交渉」めいたことが今の僕にはできます。しかしこのときには、経営者の「厳しくやってください」を必要以上に鵜呑みにしてしまいました。結局のところ、僕はその会社をクビになったのですから、経営者の真意――経営者自身も気が付いていないかもしれませんが――は、「厳しくしてくれ」というところにあったのではなく、「その部門長の行動を変えてくれ」ということに他ならなかったのだと思います。

人には個性があり、一つの物事に対する捉え方も人によって異なります。経営者がやろうとしていることだからと皆が盲目的に従うばかりではありません。人間には理屈だけでは割り切れない、感情というものがありますからね。僕にとっては恥ずかしい失敗談ではありますが、いつまでも心にとめておきたいエピソードでもあります。

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