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マクドナルドの「早消し」問題から見る、目標設定の副作用

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

世の中の会社では、目標やKPIを設定して、それを実現するために管理をやっているという会社が大多数だと思います。でも目標設定にも副作用があるってご存知ですか?そんな「ダメな目標・KPI」について今日はお話します。

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マクドナルドの「早消し」問題のポストはこれ

問題となったポストを引用します。ただ、この投稿者がなぜ「不正行為」だと判断したのかはわかりませんね。不正行為と判断するためには、この投稿者がマクドナルドの正規のルールを知っていて、かつ、この行為が意図的に行われたものであるという証拠を掴んでいないといけませんからね。

個人的な意見をいうと、呼び出しをして顧客が受け取るまでの時間は、店舗側として統制不可能なものなので、本当にそれを目標や評価基準に設定するかな?という気はします。また、呼び出しをして顧客が受け取るまでの時間というのは、運用上のボトルネックになるとも思えないので、管理の必要性もないんじゃないかという気もします。(もちろん、そういう目標を、現場を知らない本部が設定するということも絶対にないとは言えませんが)。

https://twitter.com/protein_now/status/1744988391249494133

ただし、本部が設定をした目標(KPI)を達成しようと意気込むあまり、不正まがいの運用を引き起こすというのは、会社あるあるだと思います。今回はそういう事例をいくつか取り上げてみたいと思います。

トップがたてた目標が大損害を引き起こしたフォード・ピント事件

1970年代、アメリカの自動車メーカーのフォード社では、当時の社長(リー・アイアコッカ)が、キツい目標を立てました。それは「重量2000ポンド以下、価格2000ドル以下の車を作れ」という目標でした。これを実現しようとした現場は、設計でもコスト削減を重視。結果的に、追突事故に対して非常に脆弱な設計になってしました。そういう欠陥が発覚したにも関わらず、フォードは「死亡事故が起きて事故賠償をするほうが、欠陥を修正するよりも安くつく」という判断から、欠陥を放置しました。その結果、追突事故による死亡・重傷者が続出。裁判では1億2,780万ドルの巨額賠償を命じられました。

この事件は、短期的な目標やKPIを優先する企業姿勢が、長期的な経済的損失と信用失墜に直結したという点で、非常に教訓的な事例です。

ダメな目標(KPI)とはこういうやつ

フォード・ピント事件ほど甚大ではないですが、我々の身近に起きている「こりゃダメな目標(KPI)だわ」という例にはどういうものがあるでしょうか。

コールセンターの平均通話時間

回転を上げるために、コールセンターでの平均通話時間を短縮することをKPIに設定すると、従業員が顧客の問題を解決するよりも早く通話を終了させようとする傾向が生まれる可能性がありますね。これにより顧客が「早々に話を打ち切られた」と感じると、顧客満足度が低下することがあります。

短期的な売上目標

これはぼくが働いた会社でも実際にあった例ですが、短期的な売上目標をKPIにしたところ、どうしても期限までに達成できなかった営業部長が、営業部長の知り合いの会社に泣きついて、空発注をしてもらったことがありました。これ、背任行為ですからね……。

ソーシャルメディアの「いいね」数

ソーシャルメディアでの「いいね」数やフォロワー数をKPIとすると、質よりも量、もしくはセンセーショナルな投稿(もしくは虚偽の投稿)を追求することになります。長期的には、ブランドの真の価値やエンゲージメントを反映しなくなるでしょうね。

展示会などでの名刺獲得件数

展示会などで、新規見込み客を増やすために、名刺獲得件数などをKPIとすると、とにかく名刺を集めようと、自社のソリューション二興味のない顧客にまで強引にアプローチをする可能性があります。そうした顧客の名刺を入手しても、その後の営業活動はムダになってしまう可能性が多いうえ、強引なアプローチによって、会社のイメージがダウンする恐れもあります。

エラー数の削減

エラー数の削減をKPIとすると、従業員がミスを報告しなくなり、結果的には現場でミスが隠蔽されるようになります。隠蔽されたミスは大きな事故につながる恐れもあります。

ダメな目標・KPIに共通することは?

ダメな目標やKPIにはいくつかの共通点があります。まず、多くの不適切な目標KPIは、短期的な成果や数字の達成に重点を置いており、長期的な目標や持続可能な成長を無視しているという点がありますね。さらにこれらの目標やKPIは、現場から離れた場所で設定されることが多く、実際の業務プロセスや日々の作業の実態と乖離していることが多い(現場の実情を反映していない)です。それを現場が押し付けられると、不正や隠蔽の温床になります。

いわゆる「数字が独り歩きする」という状態ですね。

ダメな目標・KPIを設定しないためにはどうすればいい?

ダメな目標・KPIを設定しないためにはどうすればいいでしょうか?

現場が目標を設定し、上司が承認する

現場からみて妥当だと思う目標・KPIは、現場が作るべきでしょう。そしてそうした目標が妥当かどうか、またその目標が不正や副作用を生む可能性はないかという点を、上司が確認し、承認するというプロセスにするということがまず考えられるでしょうか。まあ、その上司に目標の良し悪しを判断する力量があるかや、上司自身が自分の個人的な利益を考慮して承認をしないようにすることが重要になってきますけどね。

(ただ、目標を設定する結果として生じる悪影響を、事前に予測しつくすのは、ほぼ不可能だと、個人的には思います)

目標の達成方法まで明確にして、その達成方法の妥当性を上司が評価して承認する

その目標をどのように達成するのかというところまで、現場に目標設定をさせます。そしてその達成方法が、不正や副作用を生むような方法でなないことを上司が確認し、承認をするというプロセスですね。これも目標設定の力量が絶対に求められます。

短期的な目標を設定しない

これは有力な方法だとは思いますが、多くの会社ではなかなか受け入れられないでしょうね。短期的な目標と長期的な目標の両方を考慮に入れた目標設定ができればいいのですが、これも目標設定の力量が求められそうです。

もう目標設定なんてやめてしまう

個人的にはこれをおすすめしたいですね(これも多くの会社では受け入れられないでしょうけど)。もちろん、ストレッチゴールがよい成果を生むというケースも知っているので、目標設定を否定するつもりはないんですが、よい目標を設定できるかどうかって、設定者や評価者の力量に大きく依存します。そのあたりの教育訓練などをロクにやってない会社は、目標設定をしてもよいことなんてほとんどないし、どうせ形骸化するので(これも暴論ですけどね)、目標なんてやめちゃえばいいと思うんですけどね。

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