マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です!
6月25日の経済産業委員会(閉会中審査)において、岩渕友参議院議員から「実際は活用しにくいという実態がある」という報告と質疑がありました。小規模事業者持続化補助金とものづくり補助金が質疑になるのはなかなか珍しいケースですので、内容を要約してお伝えします。
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岩渕友参議院議員の質疑
この動画の2:38:35以降を、要約しています。
岩渕友参議院議員は、持続化補助金とものづくり補助金について、実際は活用しにくいという実態があることを質疑において指摘しました。具体的には
- いまお金が必要なのに、申請から実際に補助金を受け取るまで時間がかかる。もっと早くできないのか
- ものづくり補助金について、給与の支給総額の年率1.5%以上の増加、事業場内の最低賃金を+30円以上、という要件があるが、はっきりいって厳しい。賃金をあげられる対策とセットでないと難しいという声もある
- ものづくり補助金について、必要書類は減ったとはいえ、徹夜での対応を強いられている商工会もある。もっと必要書類を減らしてほしいと言う声もある。
梶山大臣の答弁
岩渕議員の質疑に対して、梶山大臣はつぎのように回答しました。
- コロナウイルス感染症の影響を受ける特別枠では、1回目の公募では採択まで1ヶ月以下に短縮をした
- 補助対象経費についても採択前の2月18日以降の取り組みにさかのぼって支援するなどの柔軟化を図っている
- 商工会の例があげられたが、コロナ禍での対応の強化ということでも、予算もつけている
中小企業庁の答弁
中小企業庁那須野事業環境部長も、大臣を補足して次のように回答しました。
- 持続化補助金について、時間がかかるという指摘があったが、特別枠を設けており、1ヶ月以下に短縮
- さかのぼっての支援もしており、使い勝手を良くしている
- 20%以上売上が減少している企業に対しては交付決定と同時に補助金の半分を概算払をするという特別な措置を取っている
- ものづくり補助金については、目標の達成時期を1年間猶予するということで要件の緩和をはかった
- 書類が多すぎるという指摘だが、書類の削減を進めており、最大16点必要だった書類を7点まで削減した
大臣、中小企業庁の答弁は、ほとんどが「特別枠」を前提としたもの
大臣や中小企業庁事業環境部長の答弁を聴いていると、大幅に改善されたものという気がしますが、この答弁はほとんどが小規模事業者持続化補助金とものづくり補助金の「特別枠」を前提としたものです。
小規模事業者持続化補助金とものづくり補助金の「特別枠」とは、令和2年度第1次補正予算で設けられた、従来の小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金とは同名ではあるものの、厳密に言うと別の制度です。「特別枠」では、経費の1/6以上を、以下のA~Cの類型のどれかに該当する出費をしなければなりません。
- サプライチェーンの毀損への対応
- 非対面型ビジネスモデルへの転換
- テレワーク環境の整備
今回のコロナ禍で大きな売上減少に直面をしていたとしても、上記の3つのどれかに当てはまる投資をしなければ、大臣や中小企業庁が答弁した優遇措置は受けられない(通常枠での申請になる)というわけです。
しかしコロナ禍で消費も投資も低迷しており、いつ景気が回復するかもわからない現在、給与の支給総額の年率1.5%以上の増加、事業場内の最低賃金を+30円以上、という要件を今後3~5年にわたってコミットをするというのは、経営者にとっては容易に受け入れられない条件です。仮に特別枠で申請したとしても、猶予されるのは1年間のみです。将来的には、、給与の支給総額の年率1.5%以上の増加、事業場内の最低賃金を+30円以上を達成しなければなりません。
足元の経済環境や、現場の実態を踏まえて、より一層の要件緩和を、できるだけ多くの企業を対象に行なってもらいたいものです。