おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015 各箇条解説シリーズ。今回は箇条6.2「環境目標及びそれを達成するための計画策定」を解説します。どういうものを環境目標として展開すべきなのか。また、環境目標はどんなふうに文書化すべきなのかも解説します。
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箇条6.2.2「環境目標を達成するための取組みの計画策定」の規格要求事項
ではつづいて箇条6.2.2「環境目標を達成するための取組みの計画策定」の規格要求事項を見てみましょう。
まずa)からe)までを決めなさいと言っています。環境目標を達成するための具体的な計画をたてなさいということでもありますね。これについては、あとで、環境目標の例をお見せしながら解説をしたいと思います。
そして最後の一文です。これも難しい日本語ですが、要は、環境目標達成に向けて計画したことがちゃんと実行できるように考えなさい、ということです。「組織の事業プロセス」というのは、本業での取組みたいなものとイメージすればよいでしょう。日頃行っているものづくりやサービス提供、営業活動、研究開発活動、事務活動などの中で、こうした目標への取組ができるように考えなさい、ということですかね。
もっと具体的に言うと、就業時間内に活動のための時間をとるように考えるとか、従来行っている目標管理活動があれば、そうした活動のなかに含められないか考える、みたいな感じでしょうか。
環境目標の具体的なイメージ
では今日のまとめとして、環境目標のイメージをご覧いただきましょう。要は、こういう目標シートを作りなさいと規格は言っているわけですね。
この例では環境目標として、「浄化槽の水質改善」や「電気使用量の削減」を挙げています。これは環境方針と整合していることが箇条6.2.1 a)で求められています。環境方針は箇条5.2で定めましたが、会社の方向性にそって、利害関係者や法律などが求めていることを守りますというようなことを宣言したものでした。それと整合するということですから、会社の方向性と一貫している目標や、利害関係者や法・規制が要求していることを守ることに関連した目標でなければなりませんね。
そして達成基準という項目があります。これは、どこまでやれば目標が達成したと言えるかという目安です。浄化槽の水質改善という目標の場合、法で求められている技術的な水準がBOD 1リットルあたり20mg以下ですから、それを実現できたら達成です。これは箇条6.2.1b)で「測定可能な目標を作りなさい」と決められていたのと、6.2.2e)で「結果の評価方法を決めなさい」と求められていたことに対応しています。誤解しないでいただきたいのは、測定可能であるといっても、数値目標でなくても構いません。定性的な目標でも測定が可能であればOKです。
そして環境目標に関して、具体的な実施事項、必要な資源、責任者、達成期限、結果の評価方法や指標をきめましょうと、箇条6.2.2で求められていましたね。この5つは必ずしも文書化は求められていませんが、せめて実施事項と責任者、達成期限、指標あたりは文書化しておいたほうが良いんじゃないかと思います。何もないというのも、進捗確認するときに不便ですからね。
箇条6.2.1では、こうした環境目標を監視し、伝達する必要があると言っていますので、例えば毎月の定例会議で目標の達成状況を確認したり、各部署の目標を冊子にして全社員に配布するなどの活動も必要になるでしょう。
実務ではどのように展開するか
前回から2回にわたって解説したように、環境目標は、改善が必要なものに限定して環境目標に展開してよいということでした。
例えばですが、環境法令のいくつかには、法律や条例で定められた基準値というものがあります。基準値ギリギリにならないよう、管理値というのを手前に設けるのが一般的ですよね。この管理値に収まるように安定している場合は「維持・監視」として扱うのがよいでしょう。
しかし管理値ギリギリで、たまにオーバーしたりしていると大変ですよね。こうしたときに、「維持・監視」から「改善」へと切り替えて、環境目標を設定します。そうして自社の管理値内におさまるように改善をしていくわけですね。
その時に、今日説明したような目標管理シートがあると、進捗確認や結果の評価、振り返りなどもやりやすくなると思いますので、参考にしてみてください。それでは今日ももいちゃんねるをご覧いただきましてありがとうございました。チャンネル登録・高評価、よろしくお願いします。