おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
熱意ある組織を作る!エンゲージメント解説シリーズ、今回は2回にわたって「自己決定理論」についてざっくりと解説をしたいと思います。2回目の今回は「人はお金をもらうと、やる気が下がるのではないか」という仮説についてお話します。
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【エンゲージメント解説シリーズ】お金はやる気を失くさせる!?自己決定理論ざっくり解説(1)
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人はお金をもらうと、やる気が下がる!?
さて「自己決定理論」には、大きく物議を醸している仮説があります。それは「人はお金をもらうと、やる気が下がるのではないか」というものなんです。一般的に我々は、報酬がもらえるとやる気が高まると信じていると思うのですが、これはどういうことでしょうか。
デシ先生は昔、ソーマキューブっていう特別なパズルを使った実験をしました。
その実験では、被験者を二つのグループに分けました。一つのグループは、パズルを解くだけで何ももらわないグループ。そしてもう一つのグループは、パズルをうまく解けたらお金がもらえると言われたグループです。
この実験は三回にわたって行われたんですけど、お金がもらえると言われたグループは、2回目にはお金をもらえるようにしました。その実験の結果はというと、最初は、どっちのグループも同じくらいパズルに興味を持っていたんですね。しかし、お金をもらっていたグループの人々は、お金をもらった後の三回目には、パズルにあまり興味を示さなかったんだそうです。
この結果を見てデシ先生は「お金などのご褒美があると、本当に好きでやっていたことが楽しくなくなることがあるんじゃないか」というと考えたそうです。この実験は世の中に結構衝撃的に受け入れられて、その後たくさんの新しい研究のきっかけとなりました。
だからといって報酬を与えることがダメというわけではない
その後の研究では、報酬が人のやる気を損なうメカニズムは思ったよりも複雑だというのがわかってきて、報酬がやる気がいつどのように損なうのか、そして報酬がどのような時に効果的にやる気に結びつくのかということは、今もなお研究と議論が続けられています。
我々のように、働くほとんどの人々は、生きるためにお金を稼がなければならないので、お金でやる気を引き出すのは現実的な方法に見えますよね。デシ先生も、お金による動機づけを完全に否定しているわけではありません。
仕事ってだいたいそうだと思いますけど、最初は仕事だから仕方なくやっていたことでも、あとでちょっとずつ面白くなってくることってあるじゃないですか。最初のきっかけはお金などの報酬であっても、その後に、自分の仕事が世の中にどう役立っているかわかってきて、面白くなってくる、みたいな場合ですね。そうすると報酬も、やる気に対して効果的になることもありえるわけですね。
つまり報酬のような外部からの働きかけによる動機づけも、この図のようにカラフルなバリエーションがいくつもある、というイメージなんだと思います。
ですので、報酬で人をコントロールをする場合にも、報酬をもらってやらなければならない仕事が、世の中やお客さん、我が社にとってどういう意味を持つのかといったことを、上司がきちんと伝える必要もありそうです。
そして仕事がちょっとわかってきた部下に対しては、少しずつ権限を与えて自由に仕事をしてもらうことが大切だということですかね。もちろん仕事を部下に丸投げするのではなく、上司として部下の仕事ぶりに対して肯定的なフィードバックをしたり、仕事で孤立しないように配慮をすると、部下もやる気をもって働けるということでしょう。