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なぜ武蔵野の小山昇氏が信奉されてぼくみたいなコンサルが信奉されないのか(8割やっかみの記事)(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村です。

知床遊覧船やビッグモーターのコンサルティングをしていた株式会社武蔵野の小山昇氏。SNSでは諸悪の根源と呼ばれる向きもありますが、なぜ氏がそれほどまでに経営者の信奉を集めるのでしょうか。「権威への服従」というキーワードから考察します。(2回目)

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なぜ武蔵野の小山昇氏が信奉されてぼくみたいなコンサルが信奉されないのか(8割やっかみの記事)(1)

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こうした理屈にハマる人とハマらない人がいるのはなぜか

武蔵野の経営テクニックにハマる経営者がいるのは、人が素朴に持つ「権威」に対する気持ちを「従いたい側」と「従わせたい側」の両面から満たしてくれるからではないか、というのがぼくの仮説です。しかし、こうした武蔵野の経営テクニックにハマる人とハマらない人がいるのも事実です。それを分けるポイントはどこにあるのでしょうか?

まず考えられるのは「個人の性格差」です。人々の性格や個性は多種多様。集団の意見を重視し従うことを好む人もいれば、他人の意見を受け入れずに我が道を行く独立心旺盛な人もいます。

次に、その人の「過去の経験」も影響します。例えば、過去に権威に従うことで失敗した人は、将来、同じことを避けようとするかもしれません。兼重氏は自衛隊出身者と言われていますが、自衛隊は「星の数」と「メンコの数」という「権威」がモノを言う組織です。そうした影響もあるのかもしれません。

その人の持つ行動の動機やモチベーションの源も大きな要因となります。モチベーションの源が内的なのか(自分の内面から湧き上がるようなモチベーションなのか)、外的なのか(報酬や栄誉など、自分の外から与えられるモチベーションなのか)で、他人の意見をどれだけ受け入れるかが変わります。一般的には、内的なモチベーションが強い人は、自らの信念や価値観を優先するように思います。

さらに、思考スタイルの違いも影響します。批判的に物事を考える人は、他人の言うことを鵜呑みにせず、情報をしっかりと検証するように思います。

自己効力感も重要な要因として挙げられるでしょう。自己効力感とは、カナダの心理学者、アルバート・バンデューラが提唱した概念で、自分の能力をどれだけ信じているかを示します。自己効力感が高い人は、他人の意見に流されにくく、自分の信念を持ちます。逆に、自信が低い人は、他人の意見に従いやすくなることがあります。個人的にはこの「自己肯定感」が、他人の権威に従いたくなる大きな要素ではないかと思っています。経営者は、なんでも自分で決めて、全てに責任を負わなければなりませんので、エーリッヒ・フロムのいうところの「自由からの逃走」を起こしやすい立場だと思います。つまり自分に自信がないので、誰かに決めてほしいという気持ちが湧く経営者がいるのですね。その相手として、強い経営者像を投影しやすい小山氏を選択してしまうのでしょう。

これらの要因の組み合わせや強度は人それぞれ異なるため、武蔵野の経営テクニックが人々にどれだけ響くかは、もちろん人によりますけどね。

「環境整備」は悪なのか?

武蔵野の経営テクニックの中で、特にSNS受けの悪いのが「環境整備」だと思います。素手でトイレ掃除するということに嫌悪感をむき出しにする人がいますね。確かにぼくも、素手でトイレ掃除をするのは衛生的にも行き過ぎだと思いますし、せめて手袋くらいしなよとは思います。

ただ「環境整備」(一般的には3Sとか5Sと呼ばれる)自体が悪いかというと、そうではないと思います。現場がきれいになることや、モノが探しやすくなること自体は、とてもいいことです。環境整備が人を変えるのか?という疑問に対しても、割れ窓理論というジョージ・ケリングが提唱した考えが参考になるので、経営を管理する手法としては、至極まっとうなものだと思います。

もっとも、環境整備は特別なスキルや知識がいらずに誰でもできるので、藁にもすがりたい経営者が「やってる感」をお手軽に感じやすい活動だとも言えます。ぼくも仕事をやってるとたまに陥りますが、遠くの大事なことよりも、いま手っ取り早くできることをやってしまいたくなることがあるんですよね(テスト直前に部屋の掃除をしたくなる中学生の心理)。ただ、環境整備をやる意味がないというつもりはありません。「小山さんにやれと言われた」からやるではなく、これは我が社がいまやらないといけないことなのか?というのは、経営者が考えて判断しないといけません。現場で人手が足りなくて従業員の不満が溜まっているような時に環境整備をやったって、期待される効果はあげられませんからね。

話を元に戻しますが、どういう「環境整備」が悪いかというと、権威で統制しようとする仕組みを組み込もうとする場合です。有名になったビッグモーターの事例では、 環境整備の結果を副社長がチェックして見回る「環境整備点検」があったそうですが、報道によると、その点検結果によって異動や降格を判断したり、パワハラをしていたといいます。これはまさに「権威による統制」を環境整備に組み込んだ形です。ふつうは「環境整備」「3S・5Sといっても、街路樹の伐採までやりませんよね。環境整備を、査定や叱責などで統制した結果がこれなんだと思います。

じゃあお前も「権威への服従」を使ったコンサルティングをやればいいやん?

人が基本的に持つ「権威への服従」という気持ちをうまく扱えれば、ぼくも小山さんのように年商40億円を稼ぐコンサルタントになれるのかな?と時々思うことがあります。でも、実際にやってみようとは思わないんですよね。これはぼくの「個人差」や「過去の経験」に由来する部分も大きいのでしょう。ぼくは基本的に権威には反発したくなる性質なので、権威に頼らずに等身大の自分のままでサービスを提供できないかと考える側にいます。とはいえ、それがうまくいっていないため、零細底辺コンサルタントのままなんですけどね。反権威という生き方は、結構生きづらいんですよ。

小山さんが上手いのは、経営者が持つ「権威」に対するニーズを、うまく自分のコンサルティングメニューに落とし込んでいるところでしょう。小山さんはそうした顧客ニーズに敏感で、ニーズを愚直に満たそうとしているのかもしれません。権威へのニーズが根強ければ根強いほど、彼は権威を利用したコンサルティングに確信を持ち、さらに権威を欲する経営者を惹きつけるという循環を産んでいるように思いますが、どうでしょうか。

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