おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条5.2「労働安全衛生方針」について解説をします。今回は、方針が何のためにあるか、そして方針がどのように職場の安全と健康を守り、職場を改善するのかを説明します。
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箇条5.2の位置づけ
まずは箇条5の位置づけを見てみましょう。
箇条5は、箇条4で確立した労働安全衛生マネジメントシステムを円滑に回していくために、トップは何をどうするかを定めています。
箇条5.1では、トップが組織の中でやるべきことを定めています。箇条5.2は、会社で労働安全衛生方針を作りなさいと言っています。箇条5.3は、トップは、組織で働く人の、労働安全衛生に関する役割や責任、権限を明確にしなさいと言っています。そして5.4では、安全衛生に関することについて、トップは働く人から意見を聞きなさい、と言っています。今回は箇条5.2「労働安全衛生方針」を解説します。
なぜ「方針」が必要か
箇条5.2では「労働安全衛生方針を作りなさい」と言っているのですが、方針を作ることはなぜ大切なんでしょうか。一言でいうと、安心して働ける職場になるための基礎となるからですね。もちろん、一人ひとりが安全意識を持って仕事をするのがいいのですが、会社としての方針がなければ「いまこの瞬間、安全を優先すべきかどうか」の基準があいまいになることがあります。
たとえば、ある人は「安全第一でしょ」と思っているけれども、他の人は「納期を守るのが大切」とか「利益を上げなきゃ」と考えているかもしれません。そうなると、安全に対するみんなの意識がばらついてしまい、会社として安全対策を徹底することが難しくなります。したがってトップは「我が社ではこう考える」という方針を明確にして、その考えを従業員に伝える必要があるんですね。
例えば、「安全が最優先」という方針があれば、納期や利益よりもまず安全が大事だというふうに、みんなの意識が一つになります。さらには、この方針は、目標を決める時の基礎にもなります。例えば、「安全が最優先」という方針に基づいて、「事故やケガの発生率を下げよう」とか「無事故日数の延長」、「安全教育の定期的な実施」などの目標が設定されることになります。
上位方針との一貫性も必要
ところで労働安全衛生方針は、その上位の方針、例えば経営方針などと整合性が取れている必要があります。いくら労働安全衛生方針で「安全が最優先」と言ったとしても、その上位方針に例えば「利益が最優先」などと書いてあったら、従業員は「どっちを大切にすればいいの?」と混乱するでしょう。そうならないように、上位方針と労働安全衛生方針に一貫性があるようにしないといけません。
次回は、箇条5.2の規格要求事項を見ていきます。