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ものづくり補助金17次締切「省力化(オーダーメイド)枠」の要件解説

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

12月27日に、ものづくり補助金17次締切の公募が開始されました。今回は、従来の申込プランの公募はなく、新しい申込プランである「省力化(オーダーメイド)枠」だけの公募です。「省力化(オーダーメイド)枠」の概要を解説します。

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『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)』はこちら

省力化(オーダーメイド)枠の概要・補助金額・補助率について

省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みが対象です。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象とはなりません。

省力化(オーダーメイド)枠の補助金額・補助率は以下のとおりです。

なお省力化(オーダーメイド)枠は、基本要件に加えた追加要件が4つある上に、省力化(オーダーメイド)枠固有の審査項目も2つ追加になっています。詳細は後日、当ブログで解説したいと思います。

省力化(オーダーメイド)枠はどのような取り組みを想定しているか

「省力化(オーダーメイド)枠」と聞いて「省力化する内容だったら何だっていいんだな」と早合点してはいけません。公募要領には以下のように書かれています。

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。

※ デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象とはなりません。

相変わらずわかりにくい文章なので、要点を簡潔にまとめます。つまり、以下の6点をすべて満たす必要があります。

  • ICT(情報通信技術)やIoT、AI、ロボット、センサー等といった技術を活用した、特注の設備(オーダーメイド設備)を導入する
  • オーダーメイド設備の導入では、外部(システムインテグレーターなど)との連携が必要
  • 生産工程をある程度自動化するものでないとダメ(完全自動化でなくてもよい)
  • その技術・設備を使った自動化が、革新的なもの(他社でも一般的ではないもの)でないとダメ
  • 市販の汎用設備ではダメ
  • ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等といった技術を使っていないものもダメ

正直なところ、この6点をすべて満たすような取り組みは、数としてもかなり少ない(稀なケース)のように思います。省力化(生産工程をある程度自動化する)という条件がついているので、品質の向上(不良の低減や歩留まりの向上)などという切り口では該当しないでしょう。「不良が減れば省力化になるじゃないか」とも思いますが、それは不良が減った結果として省力化が実現できたということであって、省力化を目的とした投資とは言い難いです。

パッと思いつく具体例としては、ロボットの導入による段取り作業の改善と作業自動化とかでしょうかね。例えば、IoTを活用した自動溶接ロボットをメーカーと共同で開発する(もしくは複数の製品を組み合わせたロボットシステムをSIerと共同で開発する)ことで、製品を大まかにセットしてもレーザーセンサーで検出して位置を補正してくれるので、センサーを持たない自動溶接機に比べて作業効率が良くなる。さらにはロボット溶接機なので、手溶接に比べて約10倍のスピードで自動で溶接ができる、みたいなイメージでしょうか。

省力化(オーダーメイド)枠の追加要件

省力化(オーダーメイド枠)では、通常のものづくり補助金の要件に加えて、以下の要件をさらに満たすことが求められます。

  1. 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が 2倍以上となる事業計画を策定すること ※ 労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする。完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とする。
  2. 3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること ※ 投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。
  3. 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること ※事業終了後、実績報告時点で確認をします。
  4. 本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

1については、労働生産性が 2倍以上という要件が求められています。その後の計算式から単純に計算すると、(労働人数×労働時間)が、現行の半分以下にならないと、労働生産性は2倍にはなりません(もちろん、付加価値額が1.5倍になって、(労働人数×労働時間)が0.75倍になるのでもいいですが)。あくまでも計画ベースであり、実績が確認されるとは公募要領には書いていませんが、審査員が納得できるような根拠が必要でしょう。

2については、具体例を参考にするほうがわかりやすいので、まずは例をお見せします。

投資額: 500万円(新しい自動化設備にかかるコスト)
削減工数: 1,000時間/年(自動化によって削減される年間労働時間)
人件費単価: 2,000円/時間(従業員の時給)

計算方法
投資回収年数 = 投資額 ÷ (削減工数 × 人件費単価)

計算
投資回収年数 = 5,000,000円 ÷ (1,000時間/年 × 2,000円/時間)
= 5,000,000円 ÷ 2,000,000円/年
= 2.5年

この例では、投資の回収に2.5年かかることがわかります。つまり、2.5年後には、初期投資のコストが労働コスト削減によって相殺され、それ以降は投資による純利益が生じると見ることができます。たった500万円の投資で年間1,000時間も作業工数が削減できるような魔法の策があるとは思えないですけどね。ちなみに回収期間は、設定する事業計画期間内(3~5年)に収まるものでないとダメだと解釈ができます。(つまり、付加価値額目標と回収期間の両方を達成する期間を、事業計画期間として定める、ということでしょうか)。なお、この計算は非常に単純化されたものです。他の要素(メンテナンスコスト、機器の減価償却、運用効率の向上など)も考慮する必要が本来はあるでしょう。ものづくり補助金の申請ではそこまでは求められていないようですが。

3については、書いてあるとおりですので、特に説明はなくてもわかると思います。

なお、1と2は、「補助事業の具体的な内容(その1)」に書く必要があります。「補助事業の具体的な内容(その1)」では、さらに人手不足の状況、課題、取組内容及び設備・システム導入によりどの程度生産プロセス等の効率化が図られるのかを具体的かつ詳細に記載しないといけません。

省力化(オーダーメイド)枠固有の審査項目

省力化(オーダーメイド枠)では、通常のものづくり補助金の審査項目に加えて、以下の審査項目が設けられています。

  • システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。
  • 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっているか。

1点目の審査項目は、システム開発における考え方を示していますが、基本的には、上記で解説した要件をすべて満たしていれば、この審査項目は満たせると思います。

かなり対象範囲が狭いので、無理にこじつけて申請をしてもムダです

途中でも触れましたが、この要件を満たすような取り組みを中小企業が行うのは相当に困難だと思います。かなり対象範囲が狭いので、補助金ほしさに、無理にこじつけて作文をして申請をしても、徒労で終わる可能性が大です。

いつも言っていることですが、ほしい設備があるときは、補助金に頼らずに自己資金や融資を受けてすぐに買うほうが、機会損失をしなくて済み、結果的には経営に資するケースが多くあります。キャッシュアウトを減らしたい気持ちもわかりますが、すぐに投資をしない場合のリスクや、補助金の諸条件に縛られるリスクなども考慮に入れた上で、経営判断をしてくださいね。

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