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安易に原因を特定するのではなく、根本原因を解明することが重要

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

1月2日に羽田空港で航空機事故が起きました。能登の地震に続いて痛ましい事故が起き、心を痛めていますが、航空機事故(に限らず、製造業などの事故やクレーム対応)では、安易に原因を特定するのではなく、根本原因を解明することが重要です。

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事故の根本原因を解明することが重要

事故の原因究明においては、「犯人探し」ではなく、事故の根本原因を解明することが重要です。事故直後に原因を断定したり、責任を追及することは避けるべきです。というのも、事故直後には「あいつが悪いから事故が起きたんだ」と思われたものでも、その後の調査の結果、事故の原因は複合的なものであり、実は設備やルール、仕組みに真の原因があることがわかることも多いからです。その一例として、2002年に起きた「ユーバーリンゲン空中衝突事故」をご紹介します。

ユーバーリンゲン空中衝突事故

2002年7月1日夜、BALバシキール航空2937便(ツボレフTu-154)とDHLインターナショナル航空611便(ボーイング757)がドイツ南部のユーバーリンゲン上空で空中衝突しました。両機の乗員乗客全員71名が死亡するという痛ましい事故でした。

当初はヒューマンエラー(言語の問題や不適切な指示)が原因だと、管制側とロシア当局が互いに指摘しあっていましたが、その後の調査で、設備のトラブルや、ルールへの逸脱が常態化していたこと、TCAS(空中衝突防止装置)の指示と管制官の指示が相反した場合のルールが不明確だったことなどが原因とわかりました。(これが複合的な要因)

これを受けて事故後には、レーダーの安全性を向上させるために早急な改善対策が出されました(これが設備の見直し)。また管制官の指示とTCAS(空中衝突防止装置)の指示が相反する場合にはTCASに従うと定められるなどの再発防止策(これがルールや仕組みの見直し)が取られました。

つまり、事故発生当初に「誰それが悪い」と単純に認識されていたものが、原因分析をしっかり行うことで、設備やルールやシステムの見直しに繋がったのが、この例です。直感的に「誰が悪い」と指摘するのではなく、時間をかけて真の原因を調査する必要があります。

これは航空機事故に限らず、製造業や建設業での事故や品質クレームなどにも当てはまることです。

事故の背景にあるシステムや構造の問題を探求する

上記の例のように、事故原因でヒューマンエラーが指摘された場合でも、個人の責任に帰するのではなく、その背景にあるシステムや構造の問題を探求することが必要です。そこに真の原因が潜んでいるからですね。この度起きた羽田空港での事故もそうですが、事故調査による正確な情報が得られるまでは、原因に対して直感的に口を挟んだり、憶測で分析をすることは避けなければなりません。これは航空機事故だけではなく、民間企業で起きる事故やクレーム対応も全く同じです。

ヒューマンエラーは個人的な失敗ではありません。システムや構造の問題を原因として、ヒューマンエラーが結果として起きるのです。したがって、なぜそのエラーが発生したのかを深く掘り下げ、システムや構造における問題を見つけるというアプローチによってはじめて、同様のエラーを防ぐシステムの構築が可能になります。起きた事故に対して「あいつが悪い」などのように、その当人の問題として片付けてしまうと、「お裁き」によってなんとなく解決したような気持ちになりますが、同じことが繰り返される可能性が残されます。

事故やクレーム調査の目的は「犯人探し」ではなく、「再発防止システムの構築」にあることを理解し、個人の資質や努力に依存しない制度への見直しに焦点を当てることが大切です。その点、航空業界には参考になる考え方がたくさんあります。航空業界にはミスやインシデントを個人の責任にするのではなく、学習の機会と見なす文化が確立されていて、これによって航空安全は日々向上しています。「安全規則は、先人の血で書かれた文字である」という言葉もあるくらいですからね。

繰り返しになりますが、事故は多くの場合、複雑かつ不幸な巡り合わせで起きます。それを単純化することなく包括的に分析することが、事故防止につながるのです。一言でいうと、犯人探しよりも原因分析(それも一つの原因に絞るのではなく、複合的な原因を見出すこと)が重要、というわけです。

最後に、日本の運輸安全委員会による航空重大インシデント調査報告書の冒頭に何が書かれているかをお見せして、今日の記事を終えたいと思います。

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