おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ものづくり補助金17次締切で公募されている「省力化(オーダーメイド)枠」では、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定することと、事業計画期間内に投資回収可能な事業計画を策定することが要件となっています。具体的に数値で算出をしなければならないのですが、具体的にどうすればいいでしょう?今回は、労働生産性の比較をどう事業計画書に書き表すかについて考察します。
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この記事に関するお断り
この記事は、事務局に問い合わせをすることなく、ぼくの独断と偏見で書いていますので、鵜呑みにはしないでください。もし事務局に問い合わせをして、この記事と異なる説明があった場合には、事務局のほうを信用してくださいね😊
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ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の労働生産性と投資回収年数の計算方法を具体的に考察する(1)
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ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の労働生産性と投資回収年数の計算方法を具体的に考察する(2)
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労働生産性の内容と根拠は事業計画書に書く必要がある
公募要領を読むと、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる具体的な内容と根拠を、事業計画書の「補助事業の具体的な内容(その1)」に書くことが求められています。
■「補助事業の具体的な内容(その1)」において以下の具体的な内容もがわかるようにご記入ください。
3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる具体的な内容と根拠
※労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする。完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に0.1とする。
(ものづくり補助金17次締切 公募要領1.1版 P25より)
なお、ものづくり補助金の「よくある質問」を読むと「なお、それぞれの計算根拠が審査対象となっていますので、「事業計画における付加価値額等の算出根拠」の様式に記載し、提出してください。 」とあります。これは事務局に問い合わせをしても的を射ない回答しか返ってこないのですが、要は定性的な根拠はその1に、そして定量的な根拠はその3に、という使い分けをすることを求めているのではないかと当社では解釈しました。
労働生産性の内容と根拠は事業計画書にどのように書くべきか
では前回の記事で計算した内容は、どのように事業計画書(その1)に書くべきでしょうか。これについては「事業計画における付加価値額等の算出根拠」という参考様式に指定があります。そこには以下のように書いています。
- 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる具体的な内容と根拠
労働時間(補助事業に関わる総労働時間)は、基準年度(補助事業実施前)についてどのように算出しているのか(「労働人数×労働時間」「個々の労働時間の合計」等)を明確にし、「かかる人数を削減するのか」「一人あたりの時間を削減するのか」「その削減がなぜ可能になるのか」等を説明し、具体的な道筋を示してください。
まずは労働時間(補助事業に関わる総労働時間)は、基準年度(補助事業実施前)についてどのように算出しているのか(「労働人数×労働時間」「個々の労働時間の合計」等)を明確にする必要があります。これについては、この連載の第2回目で、①年間延べ労働時間に1日1人あたり労働時間を掛けて求める方法と、②賃金台帳を参考に、本事業に関する人の労働時間を積み上げる方法の2つを紹介しました。そのどちらの方法で、どのように計算したのかという説明をしてあげる必要があります。
そのうえで、「かかる人数を削減するのか」「一人あたりの時間を削減するのか」「その削減がなぜ可能になるのか」等を説明する必要があります。今回の投資内容が、例えば5人でやっている作業を省力化で2人でできるようにするのであれば前者(かかる人数を削減)ですし、5人でやる作業には変わらないけれども、1日8時間かかっている作業を4時間で済ませられるようにするのであれば後者(一人あたりの時間の削減)です。また「その削減がなぜ可能になるのか」も、事業計画書に書くことが求められています。(ふつうに省力化のための投資をするのであれば、このくらいは難なく書けるはずです)
最後の「具体的な道筋を示してください。」というのはどういう意味でしょうか。これは推測ですが、労働生産性を計算する過程を示せ、ということだと思います。
ということなので、「事業計画における付加価値額等の算出根拠」という参考様式の指定に従うと、例えば以下のような記述になるでしょう。
本事業では、◯年目(202◯年◯月期)に、設備投資前と比較して労働生産性が約2.3倍になります。従来プロセスでは現場作業者5人で作業をしていたところ、製造にかかる人数を現場作業者2人にまで減らせるためです。この削減が可能になるのは、本事業でオーダーメイドの◯◯設備を導入することによって溶接や組み立て・検査などの作業を1つの生産ラインとして自動化することができるためです。従来プロセスでの付加価値額の計算は、当社の製品別原価計算の2023年度実績より計算しました。また新生産プロセスの付加価値額の計算は、この度の投資による減価償却費の増加分と省力化(省人化)効果、及び製品粗利益率の向上を考慮にいれて計算しました。労働時間の計算は、労働人数✕労働時間で計算を算出をしました。
具体的な労働生産性の計算過程は「その3」(P9)に示します。
(以下「その3」の記述内容)
設備投資前
(従来の生産プロセス)設備投資後
(新生産プロセス)根拠 付加価値額 19,920,000円 18,000,000円 従来プロセスは、当社の製品別原価計算の2023年度実績より計算。新生産プロセスは、この度の投資による減価償却費の増加分と省力化効果、及び製品粗利益率の向上を考慮にいれて計算 年間のべ労働人数 1,200人日 480人日 従来プロセスは5人/日。新生産プロセスは2人/日。これに年間操業日数240日をかけたもの 1日1人あたり労働時間 8時間 8時間 当社就業規則より、日勤・夜勤とも、1日1人あたりの労働時間は8時間 労働生産性 2,075円 4,687.5円 生産量÷(労働人数×労働時間)
ものづくり補助金では、事業計画書のページ数を10ページ以内におさめるという努力義務がありますので、これ以上詳細に書くことは難しいのではないかと思います。付加価値額の算出根拠の説明に紙面を割くよりも、審査項目に対する記述を充実させるほうに力を入れるほうが、採択への近道ではないかと思いますがどうでしょうか。
(しかし中小企業庁も、申請者にこんな複雑な計算をさせて、根拠まで示させて、しかも10ページ制限も求めるというのは、率直に言って鬼だと思います)