おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、4/15時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします(情報源は、The EU AI Act Newsletter #50です)。
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AI事務局設立の進捗について
EU AI Actの運用を行うための組織として、今年2月に欧州AI事務局が設立をされました。
この事務局は、①EU AI規制法の実施(特に汎用AIに関して)、②信頼できるAIの開発と利用の促進、③国際協力の促進の3点において、重要な役割を果たすことが期待されています。 事務局はまた、汎用AIモデルの能力と到達範囲を評価するためのツールや方法論、ベンチマークを開発し、システム上のリスクを持つモデルを分類することで、法律を支援し、汎用AIの規則を施行することに重点を置くことになっています。
この組織を立ち上げるために、政策や技術、法律、行政の専門知識を持つ人材の募集を開始しましたが、組織の長となる人物もまだ発表されていないようです。AI事務局のトップ選出がまだ発表されていないことから、適切な候補を見つけるのに時間がかかっている可能性があります。その背景として、競争の激しい市場で才能ある人の確保が難しいという懸念があるようです(リニュー・ヨーロッパのSvenja Hahn、グリーンズのKim van Sparrentak、およびヨーロッパ人民党のAxel Vossといった政治家が懸念を表明しているようです)。AIの運用面や技術面に詳しい人材は、世界中どこでも引っ張りだこでしょうからね。
また、採用プロセスの透明性について懸念があるとの声も聞こえてきます。(Dragos Tudoracheら)
法律自体は3月に議会を通過しましたが、事務局の人事も発表されていない状態です。施行後6ヶ月で法は執行されますが、プロセスがスムーズに進んでいない可能性が感じられますね。
各国のAI規制機関の設立について
Euronewsの上級EU政策レポーターであるCynthia Kroetによると、欧州委員会がEU AI法の執行に向けて、EU各国政府にAI規制機関の任命を促しているようです。
各国の規制機関は「AI委員会」というものを形成し、各国が足並みを揃えて、EU域内全体でAI規制への取り組みを調和させる責任があります。各国の「AI委員会」は、法律が2024年6月までに完全に施行され、2024年末までに禁止された慣行に対する禁止が効力を発することを目指しています。
欧州委員会のデジタルユニットの総監であるRoberto Violanによると、こうした各国規制機関の設立を要請する文書が、EU各国に送られると発表しました。12ヶ月以内に設立することが求められるようです。