おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
デミング博士「マネジメントのための14原則」を読み直しています。ただ読むだけではなく、2020年代の現代の考え方や最近の経営理論と比べてみたりもしたいと思います。今回は第6原則です。
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デミング博士「マネジメントのための14原則」の第6原則
⑥当該仕事についてのトレーニングをきちんと実施せよ。
これはシンプルですね。しかしこれが原則として挙げられているということは、かつてのアメリカではトレーニングがないがしろにされていたということでしょうか。
ちなみに日本でも、2017年度経済財政白書によると、教育訓練費については、2006年までは(一人当たり月間で)1,400円前後で推移していたが、2011年以降若干減少し、1,000円程度で推移しているそうです。また労働費用総額に占める割合も2006年の0.33%から減少し、2016年では0.24%となっていて、教育訓練費がコストカットされる傾向が続いているようですが、こうしたことについてデミング博士はどう言っているのでしょうか。
訓練すべきなのは「マネジメント」(管理職)
第6原則でデミング博士が言っているのは、「マネジメント」(管理職)と「新入社員」の訓練のことですね。
マネジメントに対しては「原材料や部品が入ってくるところから、顧客の手に届くまでのすべてを学ぶための訓練が必要だ」と述べています。また訓練内容の中心は「ばらつき」の理解とも言っていますね。
デミング博士はこのマネジメント教育について、日本の管理職は必ず、新入社員のときには現場を経験したうえでジョブローテーションするという話を引用していますので、すこし乱暴にまとめると、要は「管理者は現場を理解しろ」とデミング博士は言っているのだと思います。
日本の大企業では、確かに90年代ごろから複線型人事制度が導入され、スペシャリストとしてのキャリアパスも作られてはいますが、キャリアを現場から始めてジョブローテーションするという幹部候補生育成のキャリアパスは、今でもそれほど状況は変わっていないと思いますね。
適切なリーダーシップの発揮のためにマネジメントの教育をする
適切なリーダーシップの発揮して、人の能力を最大限に引き出すためにマネジメントの教育をすべきとデミング博士は言っているようです。具体的には、人によって学ぶ方が違うので、そうした部下の特性にあわせた教育をすべきとか、部下との対話のやりかたを学ぶべきといった例を、デミング博士は挙げています。
シェアードリーダーシップという考え方
近年のリーダーシップの考え方の一つに、シェアードリーダーシップという考え方があります。要は、一人のリーダーが複数のメンバーに対してリーダーシップを発揮するのではなく、それぞれのメンバーが時にリーダーのように振る舞って、他のメンバーに影響を与えるという考え方です。
この考え方を提唱したピアースは、実証研究を通して、従来の垂直型のリーダーシップより、シェアードリーダーシップのほうがチームの成果を高めることを明らかにしています。ピアースだけではなく、他の研究者もメタ分析を通して、シェアードリーダーシップの優位性を証明しているので、この考え方は近年とても支持をされています。
高度化、複雑化する現代では、一人の管理職がすべてを把握し、正しく判断することは困難ですからね。